赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

落日のイギリス

2023-03-09 00:00:00 | 政治見解



落日のイギリス :230309情報

歴史の教科書で習った日英同盟。

日露戦争の勝利は日英同盟のおかげとも言われていますが、その失効から100年後の2023年、新たな日英同盟の動きが出てきました。

本年1月11日、岸田文雄首相はロンドンでスナク首相と会談し、自衛隊とイギリス軍が相互の国を訪問する際の法的地位などを定めた「円滑化協定」(RAA)に署名し、覇権主義的な動きを強める中国やロシアを念頭に、日英の安全保障面での協力をいっそう強化させることで一致したと報じられています。

その「新日英同盟」の象徴が、2022年12月9日に日英伊が合意した次期戦闘機の共同開発と言えるかもしれません。

ただ、こういう話もあります。

先日、国連が2023年の各国の経済成長の見込みを発表。その中で、「先進国で1国だけ、マイナス成長になる」と予測されたのですが、一体どこの国かわかりますか?
..
それは、イギリス。

イギリスのインフレ率は3カ月連続で10%(日本は3~4%)を超えており、とくに電気代は3~5倍に高騰。2月には、教員や公務員など50万人がストライキを起こし、混乱に陥っています。

かつて、イギリスは大英帝国と呼ばれ、その全盛期には全世界の陸地と人口の4分の1を版図に収めた世界史上最大の面積を誇った帝国ですが、すでにその勢いはなく、金融業が唯一、国を支えている現状です。安全保障の観点を除けば、この国と手を結ぶことが日本の国益に適うのか否か、国際政治学者の分析を伺いたいと思います。


■経済も軍もガタガタのイギリス

イギリスは経済だけでなく、世界5位を誇る軍事力もかなり弱まっています。2/1と2/2、イギリスの大衆紙「The Sun」はこのように報道しました。

2/1:「ベン・ウォーレス国防大臣は、イギリスの重機関銃は全てウクライナに渡したので 国内の在庫は一つもないと発言」
2/2:「米軍の総参謀長が“イギリスは、弾丸の在庫もなくなる寸前だ”と言った」

さらに、2/11、フィナンシャル・タイムズ紙がこのように報道。「英下院の国防委員長は “イギリスは戦争が勃発した場合、兵器不足のため5日間ほどしか耐えられないだろう”と発言」。つまり、今のイギリスはウクライナに全てあげてしまって、銃も弾丸もない状況だというのです。

この他にも、空母「プリンス・オブ・ウェールズ」は欠陥だらけで実践配備が無期限延期に。この空母はなんと4,270億円も費やして建造されたイギリス軍を代表する軍艦であり、NATO軍の基幹空母でもありますが、2019年に就航してから実際に使用されたのは268日のみ。それ以外の時はずっと修理されてきたのです。

ですから、2/8、ウクライナのゼレンスキー大統領がイギリスに緊急訪問し戦闘機が欲しいと頼みましたが、そのような状況のイギリスに戦闘機を出す余裕はないでしょう。イギリスは経済だけでなく、軍もガタガタになっているのです。

ウクライナとロシアが和平に向かった時、その和平案を潰したのはイギリスのジョンソン元首相だったことが明らかになっていますが、それと同じようなことは今のイギリスの力ではできないでしょう。




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