赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナ人の覚悟に思う コラム(391)

2022-02-28 13:54:06 | 政治見解




コラム(391):ウクライナ人の覚悟に思う 

プーチンの誤算
 
ロシアの侵略から2日で陥落すると言われていたウクライナの首都キエフが持ちこたえています。これはウクライナ軍や国民が激しい抵抗を試みている証拠にほかなりません。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は首都キエフから逃げ出すこともなく、連日、「国を解放するまで戦い続ける」と宣言して国民の先頭に立っています。また、それに国民も応えているようです。事実、一時的に国外に退去した若者も帰国し「祖国のために戦う」と述べていますし、民間人がロシア戦車の前に立ちはだかってその行く手を遮った場面も見ました。ウクライナ人の愛国心は頂点に達しているようです。

これによりロシア軍の楽観的な予測が覆されています。病的に見えるプーチン大統領は戦術核の使用を軍に命令した模様で、核の脅しによってしか、ウクライナとの交渉を有利に運ぶことができなくなっています。かりに、プーチン氏が戦術核を使用しなければならなくなった時点で、侵略に成功したとしても核兵器を使用した者としてヒトラー以上の汚名を歴史に刻むことになります。


覚悟が問われる日本人

翻って日本を見ると、日本がウクライナと同様な目にあった場合、70年近くにわたり欺瞞的な平和教育を受けた日本人に、侵略者に立ち向かう気概があるのか、正直なところわかりません。とくに現在の高齢者世代は日教組教育の影響が大きく、我先に逃げ出そうとするのではないかと危惧しています。

こんな事例が過去にありました。ロシアの前身であるソ連が日本侵略を意図していると言われた1970年代後半、関嘉彦早大客員教授と森嶋通夫ロンドン大学教授の間では「戦争と平和」の論争が繰り広げられたのです。

関氏は社会党からのちに民社党のブレーンとなった人で「非武装で平和は守れない」と主張しました。一方、森嶋氏は学徒出陣経験のある経済学者で、「日本が軍事力でソ連の侵攻に対抗できず(中略)一億玉砕か一億降伏かの手しかない(中略)戦争で滅ぶよりも無抵抗降伏のほうが得策であろう」と述べ物議を醸しました。

文藝春秋で特集されたのでご記憶の方もいらっしゃると思いますが、以降、論壇ではソ連の侵攻と日本の防衛問題が論ぜられるようになりましたが、日本の防衛力増強に反対する意見は意外に大きかった記憶があります。

現在の主だった政治家は左右を問わずそのような思想的な風土のなかで育ってきましたので、保守系の政治家であっても国防意識が弱く、ソ連に代わって台頭してきた中国に「無条件降伏」している人もいます。林外務大臣、茂木幹事長などは代表格かもしれません。日中友好議連の主要メンバーは疑ってかかる必要があります。

かりに、中国が日本に侵略してきた場合、彼らの大半はどこかに雲隠れをして国土が中国に蹂躙されたあとに「中国歓迎」の旗を掲げることでしょう。東日本大震災後の原発事故でいち早く逃げ出した小沢一郎氏や、中国や韓国から帰化した国会議員など意外に多いと思われます。そうならないためにも今のどうしようもない政治家たちにはお引き取り頂かないと国民の安全と安心は確保できそうにありません。


安全地帯に逃げ込む日本の報道

政治家と同様、あてにならないのが日本のジャーナリストと報道機関です。ウクライナの危機に際して、現地で取材して生の声を聴いている人が一人もいません。すべて、外国の記者、報道を引用して、さも取材しているように見せかけているだけです。自分の身は安全地帯において、他の報道機関の上前をまねているだけです。

しかも、日頃、反体制を唱えるジャーナリストや機関ほど報道が及び腰に見えます。ソ連時代から太いパイプのあるテレビ朝日などは現地に社員を派遣して直接取材にあたらせたらどうかと思います。NHKも国民から受信料をいただいて運営しているのだから、もっと体を張った取材をして国民に真相報道という形で存在意義を見せたらいいのではないかとも思えるのです。

また、反体制のジャーナリストは現地で戦争の悲惨さやを訴え、戦争が犯罪であることと戦争を起こす国家の存在がいかに「悪」であるかを説いたらどうかと考えます。本気の報道をして見せてこそジャーナリズムとしての価値、報道機関の価値が上がるはずです。


現状では、日本の政治家の多くが、そして日本のジャーナリズムがあてにならない状態ではありますが、その中にあっても日本人は自らの手で国を守る覚悟を定め、行動に移していかねばならないと思います。

ウクライナの悲劇は他人事ではなく、いつのまにか日本で起きるかもしれない現実でもあるのです。「備えあれば憂いなし」の準備と覚悟がいま一番求められているときではないでしょうか。



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ウクライナの悲劇から何を学ぶのか コラム(390)

2022-02-25 10:11:05 | 政治見解



コラム(390): ウクライナの悲劇から何を学ぶのか

小学校低学年のころ父に「日本が外国に攻め込まれたらどうなるの?」と尋ねたことがあります。父は「国連軍が守ってくれる」と即答しました。父は典型的な保守でしたが、それでも当時の日本に蔓延していた奇妙な国連信仰に影響されていたのだと思います。それに、私が生まれる前の年にはじまった朝鮮戦争での国連軍の存在も念頭にあったのかもしれません。

しかし、今度のロシアによるウクライナ侵攻で国連はいつものように何も機能しませんでした。まして、何十年と聞いたこともない国連軍がウクライナに駆けつけるわけでもなく、日本の学校教育で熱心に教えた国連中心主義や平和授業などが絵空事であることを証明するだけでした。

今回のウクライナの悲劇は、厳しい言葉かもしれませんが、ウクライナ自身の甘さにあったと言わざるを得ません。

ロシアという国はソ連時代を含めて自国の領土の外に衛星国を置き、そこを緩衝地帯とするという小心者の国家です。その緩衝地帯のひとつにウクライナがあり、ロシアにとっては絶対に西側にもっていかれてはならない国でした。そのことはウクライナ自身よくわかっていたはずです。

それにもかかわらず、ウクライナはその問題を重要視せず、西側諸国になることを夢見ていました。しかも、ウクライナが保有するソ連製の核兵器を廃棄すれば「ウクライナを守る」とのNATO諸国からの甘い言葉を本気で信じてしまったのです。つまり、ロシアへの強力な抑止力である核を自ら捨ててしまったことが今日の最大の悲劇の主因なのです。

抑止力がなくなったことを見越してロシアは侵攻したのですが、一方、ウクライナを守ってくれるはずのNATO諸国はロシアとの戦争になることを恐れて、経済制裁だけでお茶を濁そうとしています。ウクライナの考えは甘すぎました。生き馬の目を抜くような国際社会でそれは通用しなかったのです。

しかし、翻って日本のことを考えれば、ウクライナを笑うことはできません。ウクライナの現実が日本の現実と重なって見えるのです。日本の憲法前文、9条はウクライナと同じ考え方だからです。

しかも、中国が虎視眈々と日本を狙っているにもかかわらず、政府の要職者、自民党の国会議員のかなりの人が中国に取り込まれ、改憲して国を守ることを第一義にしなければならないことは眼中にありません。

まして、野党の政治家は非常事態にも関わらず、ウクライナの危機が日本の危機であるのに、まるで他人事のように振舞っています。立憲民主党の泉健太代表は「断じて容認できず」と述べたところで、蓮舫氏が「(ロシアの軍事行動に)容認できません。ウクライナの皆さんに連帯します」と述べたところで、ウクライナは救われるわけではありません。

一方、日本共産党の志位和夫委員長は「『 国連憲章を守れ』の一点で世界中が力を合わせる時です」と精神論を説いています。精神論というのは、現実が動き出す前には有効でも、現実が動き出してからでは効果はありません。せいぜい行動の一部を瞬間的に停止させるだけの効果しか期待できないのです。物理的に動き出した作用を止めるのは物理的な力しかありません。この分では、日本が侵略を受けても、志位さんは「平和憲法を守れ」と叫ぶだけで、国民の命を守る行動は何も起こさないと思います。

言うなれば、日本の反戦平和主義者とはカルト宗教の信者と同じで、教祖(党中央)の妄想を固く信じてそれ以外の真実を見ようとしない人たちなのです。現実を拒絶する分、反戦平和を唱えながら暴力的で闘争的な側面を見せるという矛盾撞着した考えに陥っているのです。

なお、余談ながら、社民党のようにロシア支持をツィートし(※1)、後日、黙って削除した例もあります。私たちが見る現実と彼らが見る現実は、同じものでありながら全く違って見えるのかもしれません。ロシアがウクライナに侵攻しようが、中国が台湾や沖縄に侵攻しようが、カルト脳になっている彼らには認めがたい現実が続くと思いますが、彼らはそう簡単にこれまでの考え方を変えるのはむずかしく、これから起きる現実にどういう詭弁を弄してくるのでしょうか。

※1:社民党機関紙「社会新報」;米国のバイデン政権や主流メディアはイラク戦争時のように怪しげな情報を拡散しながら、「ロシアのウクライナ侵攻」を宣伝している。だが真に論議されるべき課題は、ロシアが求めている安全の保障なのだ。


ただし、国民はこの状況を看過することはありえません。憲法がこのままでいいと思うはずもなく、国会で改憲議論を阻む勢力(公明党を含む)に対して厳しい視線を注ぐことは間違いありません。

本年7月の参議院議員選挙で国民の意思がはっきり示されると思います。立憲民主党、日本共産党にとって冬に逆行する時節が到来したようです。



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ウクライナ危機は日本の危機 コラム(389)

2022-02-23 12:54:44 | 政治見解


コラム(389):ウクライナ危機は日本の危機 

ウクライナは米欧に見捨てられる?

ウクライナ情勢が緊迫化しています。ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の一部を実効支配する親ロシア派の武装勢力を一方的に独立国家として認める大統領令に署名し、これにより「ウクライナではなくなった」とみなす2つの地域に軍を派遣するよう命令を出した模様です。

この動きに対し、アメリカのバイデン大統領は「これはロシアのウクライナ侵攻の始まりだ」と断言し、ロシアに対する制裁を発表しました。

その内容は、ロシアが欧米から資金を調達できないようにするため同国のソブリン債(政府や政府機関が発行または保証を行っている債券)に制裁を科し、さらに、ロシア政府系の開発対外経済銀行(VEB)や同国の「エリート層」にも制裁を科すというものです。

これに同調して、英国は、ロシアの銀行5行と富豪3人の国内資産を凍結。対象となる個人は、英国への入国や、英国の個人・団体との取引が禁止されるほか、EUもウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立を承認するようプーチン氏に要請したロシア下院議員351人に対し、資産凍結やビザ(査証)の発給制限を科し、27の個人・団体も制裁対象とすることを発表しています。

ロシアのウクライナ侵攻の動きは現段階ではまだ限定的なものですのでこれが大きな戦争になるのかどうかは未知数ですが、仮にプーチン氏が軍を引くことにでもなれば、かつてのキューバ危機後、フルシチョフ失脚という忌まわしい記憶がよみがえるため、簡単には軍を引かせることのできない状況でもあります。最終的には、プーチン氏にとっても落としどころが難しい状況であると言えます。

一方、欧米諸国も苦渋の選択を迫られています。その第一は、経済制裁が歴史的に見てあまり効果がないことをわかっているのですがこれ以外にロシアに圧力をかける方策がないことです。しかも、軍事力は行使したくない。ソ連崩壊以降、有名無実化したNATOにはロシアに対抗する力はありません。

なお、軍事的対決は欧米もロシアも避けたいとの思惑は一致していますので、最終的には欧米側がNATOの枠組みに入りたがっているウクライナを見捨て、ロシアに属国化させるしか最終的な方法はありえないと思います。要は、ウクライナは欧米諸国とロシア間の思惑に翻弄されて、自主独立の夢はかなわなかったわけです。


中国がロシアの論理を使うとき、台湾と沖縄に危機がくる

さて、ウクライナ情勢は日本にとって、アジアの各国にとって他人事ではありません。中国が、米ロ関係の動向をじっと見て、とりわけアメリカがロシアに対する軍事力の行使がないことを判断すれば、まず台湾侵攻、次に沖縄侵攻(※1)に移ることは誰にも簡単にわかることです。

(※1)本年2月4日、立憲民主党の屋良朝博元衆院議員(昨年10月の総選挙で落選)は、自身のフェイスブックに、(「北京五輪の開会式を見て)独立したらスッキリするねぇ」と投稿している。歴史を見ればすぐわかることだが、自国が他国に侵略されるときには必ず内側で手引きする人間が存在する。

特に、中国はロシアの論理である「独立を宣言した親ロシア派を守るため」を使って、「台湾は中国の一部であり、中国人民を保護する」という口実をつけていまにも台湾に侵攻してきそうです。それほど、この論理はいつも戦争や侵略に都合よくつかわれている常套句なのです。

現、蔡英文政権は反中政権ですが、それ以前は親中政権であったため、中国は彼らの保護を口実に攻め込みたかったのですが、いつも米軍が立ちはだかっていました。っ中国は容易に台湾に攻め込めない状況でした。

しかし、ウクライナ問題でアメリカがロシアに対する軍事力を行使しない状況があれば、NATOは有名無実の軍事同盟で、それと同じように日米安保もクアッド(日米豪印戦略対話)も発動しないと読むのは当然のこととなり、中国の台湾侵攻も現実のものとなりそうです。

また、アメリカの現状の力では、軍事同盟を結んだとしても同盟国を守る気力があるかは本当のところわかりません。だから日本政府も米大統領がかわるたびに、日米安保条約第5条(米国が日本を守る義務を負うことを定めた条文)の尖閣を含めた適用を何度も確認しなければならないのです。


北京冬季パラリンピックが終わる3月13日以降、ウクライナをめぐる米欧とロシアの対峙には注目しなければなりません。そのなかでもアメリカがロシアへも軍事的圧力を放棄する形でウクライナの支配権をロシア側に奪われた場合、「アメリカ、恐れるに足らず」と中国が一挙に勢いづきます。

ウクライナ問題を契機にして、国を守るということはどういうことなのか、いま一度真剣に考えてみることが大切なことではないでしょうか。



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極端と危機を煽る論理 コラム(388)

2022-02-17 13:12:05 | 政治見解



コラム(388): 極端と危機を煽る論理 


人は極端な意見を聞かされると意外にもその論理引きずられます。しかも、その論理に「正義」が粉飾されると人びとは熱狂しています。しかし、それを冷めた目で見るとその論理の裏に、ある種、別の意図が隠されているように思えてなりません。


ワクチン狂騒曲

コロナ禍のワクチン接種に対しても、これに反対する人の中に極端な意見があるのをよく目にします。反対するのは個人の意思ですから構わないと思いますが、その思いが主義主張となって他の人の行動にまで干渉しようとする人もよく見かけます。

私もワクチン接種反対派と見られているので、そのような呼びかけが来るのですが、意見が極端すぎて共感できないことが多いのです。むしろ逆に、それを強く主張する背後には何があるのだろうかと考えてしまいます。

先日、カナダでは、コロナ対策への規制に抗議するトラック運転手が米国との国境の橋を封鎖し、最終的に排除されましたが、両国の通商に重大な支障を与えました。そのありさまを見るうちにトラック運転手を唆して騒動に発展させて一番利益を受けたのは一体誰なんだろうと考えることがありました。

実際、日本でもワクチン狂騒曲の前は「PCR検査」一色だったと覚えておられると思います。メディアや御用コメンテーターたちはこぞってPCR検査を主張しましたが、最終的な狙いは政府批判につなげることでした。とくに、テレビ朝日のモーニングショーはまさに倒閣目的のために利用していたことが思い出されます。

結局、人は危機感を煽られると妙に共感しやすいものですが、前述のように、人びとに危機感を煽ることによってなにがしかの利益を得ようとする人たちが一方にいることは忘れてはならないと思います。

余談になりますが、先日、菅直人氏が橋下徹氏にヒトラー呼ばわりをして居直っている事象がありました。これなども彼が維新に対する危機感に自分の正義を加えて発言して維新つぶしを狙ったものだと言えます。しかも、菅直人氏のプライドの高さゆえに、考え方を修正することも橋下氏への謝罪もなしえず、世間の顰蹙を買うだけの事件でした。極端な論理、危機を煽る論理には、本人をもダメ人間にしてしまう諸刃の剣であることも考慮すべきです。


煽られているウクライナ危機

現在、世界中の人びとが抱いている危機感は、ロシアがウクライナに攻め込むかどうかということです。しかも、アメリカをはじめ各国首脳もメディアも今にも戦端が開かれるような情報を繰り返すばかりです。

しかし、前稿の「避けられない文明の衝突」という観点は別にして、したたかなプーチン大統領がウクライナに直ちに侵攻するとは思えません。むしろ、ウクライナ問題を口実に、ロシアの天然ガス輸入に頼る欧州、とりわけドイツなどを揺さぶって天然ガスを高く買い取らせ、ロシア経済の立て直しを図ろうと考えているように見えます。

また、これに便乗するかのように原油価格が高騰しています。ニューヨーク市場では、国際的な指標となる先物価格が一時およそ7年5カ月ぶりに1バレル = 95ドルを超えたようですが、産油国もロシアに見習って供給を出し渋り、原油価格の吊り上げを目論んでいるように見えます。ロシアと産油国の利害は一致しているようです。

さらに、ウクライナ危機に喜んでいるのはアメリカの軍需産業とその周辺の産業です。重厚長大なロシアの兵器は人びとに目に見える恐怖心を与えることはできても時代遅れで、そのことはロシアも認識しているはずです。むしろ、現代の兵器の主流は、無人爆撃機やロボット兵器、AI(人工知能)の活用などハイテク兵器で、それは主にアメリカが開発しています。

実際、オバマ政権の8年間、ドローンによる攻撃は1878回、トランプ政権は最初の2年だけでそれを上回る2243回の攻撃を、アフガニスタンやパキスタン、ソマリアなどで行っていました。

したがって、ウクライナ危機は、アメリカにとって危機に乗じて旧西側諸国に最新兵器を売り込むチャンスであるため、軍需産業に強く支持されるバイデン大統領は危機を煽ることをやめません。利害得失の観点から見ると、人の好い日本は、アメリカの軍需産業にとって絶好のカモと見られているのかもしれません。

一方、ロシアにとってもウクライナ危機は反米諸国に旧式の重厚長大な兵器を売却できるメリットがあります。また、ソ連時代のように反米の盟主の地位をえることもできる可能性もあります。ウクライナ危機の最中、ブラジルのボルソナロ大統領がロシア訪問をしましたが、国際情勢は魑魅魍魎が跋扈している感があります。


結局、国際情勢の変化の奥にはそれぞれの国の利害得失がなんであるか見極める必要があると思います。とくに、危機が語られる場合には、それに乗じて利益を得ようとする集団が必ず存在することは確かです。

極端の論理、危機を煽る論理の裏に「利害得失」を見極める、その上で、現象に対して柔軟に対応していくことが何よりも大切になると思います。



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避けられない文明の衝突 コラム(387)

2022-02-11 10:38:24 | 政治見解



コラム(387): 避けられない文明の衝突


前回のブログで、昨今の国際情勢は、「西欧文明 対 非西欧文明」の衝突という次元で見るべきだと論じましたが、今回はその続きです。


文明の衝突は破壊をもたらす

文明の衝突は、戦争あるいは極小であったとしても大規模な破壊を伴います。文化的な遺産に対してでさえ他の文明の存在を許しません。たとえばイスラム原理主義者は偶像崇拝禁止の教えを盾に仏教遺跡を破壊します。寛容なイスラム教を標榜する割には他の宗教文化には非寛容です 。寛容とはその文明文化内のことに対してだけで、外なる世界には寛容が適用されないように思います。

このことは、いま起きている「西欧文明 対 非西欧文明の衝突」が確実に戦いをもたらすことを意味しています。これを避けることは現状の思想の力では不可能に近く、せいぜい西欧文明側の政治指導者が「力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対する」と言うにとどまり、経済的な圧力で戦いを抑止させようとするにとどまりますが、非西欧文明諸国にはあまり効果がないように感じます。

なぜなら、非西欧文明諸国にとっての言い分が、「西欧文明の国が過去にやってきたことと同じことをやって何が悪いのか」という論理で対抗するだけでなく、経済制裁なるものが歴史的に効果があった試しはないからです。実際、アメリカから経済制裁を加えられた国々で戦火を交えずアメリカの軍門に下った国は一つもありません。


文明の衝突の勝者は

では、今回の、有史以来初めての地球規模で起きている文明の衝突の勝者はどちらなのでしょうか。

結論から先に言えばどちらも勝者にはなりえないと思います。互いを破壊しあうことで両者ともに次の時代にはふさわしいものでないと判断されるからです。

例えば、非西欧文明が勝った場合、西欧文明諸国で「自由」のありがたさを知っている人びとに非西欧型の思想を受け入れることができません。実際、中国の息苦しさを日本人が受け入れられるはずはないことからもお分かりいただけると思います。

また、逆に西欧文明が勝った場合、非西欧文明が西欧文明の思想に簡単になじむことは不可能です。現に、イスラム社会では西欧文明と1000年にわたって接してきましたが受け入れることよりも敵対することの方が多かった事実がそのことを物語っています。

最近でも、ソ連崩壊のロシアで「ロシア人の半数以上がソ連崩壊を残念に思っている」との調査報告が話題になりました。現在のロシアより、昔のソ連の方が「社会的な保護、強い国家、公平さ」があったと感じているようで、西欧型社会を目指してもなかなかうまくいかなかったようです。昔からの価値観を捨てきれない限り、新しい価値観は受け入れられないのです。


いま、どういう考え方必要なのか

地球規模での文明の衝突という人類史上の最大の危機に対して、いま必要なのは、これを生産的なものに変える考え方です。とくに、それぞれの文明の衝突の根底には、-部族・宗教・伝統・人種・イデオロギーなどがありますので、それらを超え、融合させていく考え方、あるいは社会的な構造変革が求められていると思います。

ただ、それらは思想やイデオオロギー、政治的な主張ではありません。思想とかイデオロギーなどを基準にすれば個人の数ほど正義が存在するため、多数で集約しても少数者は必ず反発します。しかも狂信する少数者ほど激しい反発行動を起こします。人びとに思想や信念がある限り、信念の対立は避けられないのです。

それよりも、有史以来、人類の悩みや争いごとの殆どが経済的な利益に基づいていることを喝破すれば、むしろ経済的利益を調整してみんながwin-winになることで、思想とか信念とは無関係に対立を収めることができると思うのです。

経済的利益の調整の第一は量を増やすことです。第二は量を増して後、みんなで分かち合うことです。

これまでの人間間、国家間の争いは限られたものを収奪することによって生じているという事実に気が付けば、量が争いの根本問題を解決するということがわかります。これは、食料でも品物でも量を大量に生産できる現代にあって初めて可能になりました。

そして、分かち合えば必ずみんなに行きわたります。「奪い合えば足りないが、分かち合えば余る」という有名な格言がありますが、この発想が、かつての資本主義や共産主義の対立、現在の富の独占化をはかる金融資本主義の考え方が過去の遺物として廃棄できるようになります。


対立はコントロールできる

これを政治システムに取り込めば、国内政治の運用でも国際政治の運用でも可能となります。

幸いなことにその先行モデルは存在します。それはアメリカ合衆国の建国時の手法にありました。現状のアメリカは建国の理念から大きくかけ離れていますので信じがたいかもしれませんが、建国時、それぞれ独立した州(事実上の国家)を合衆国にまとめあげたのは、共通の経済的利益を認識させることでした。以降、アメリカは政治の問題を経済的利益や経済的問題に転換して国家としての体裁を整えました。これは、いわば実験済みの最良の方法と言えます。

もう一つが、とりわけGAFAMと呼ばれるIT社会をけん引するグローバル企業群です。現段階では各社ともに自社の利益追求に必死ですが、社会的機関にイノベーションできた時点で新しい形での国際政府機関になる可能性を秘めています。

結局、現状の経済という考え方に新しい価値観を吹き込めば、何もかもが変わるということです。

要は、手っ取り早く量を増やして、みんなで分かち合って豊かになっていけば、無理に宗教や思想をいじることなく、また奪い合いや戦争をすることなく人類の諸問題を解決するのではないかと思います。

人間の悩みの大半は経済問題であるという厳然たる事実を認識することができれば、世界の平和と人びとの安心感は意外と簡単にコントロールできるのではないかと思います。発想の転換がまさに必要だと思います。



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いま世界で何が起きているのか コラム(385)

2022-02-03 14:42:37 | 政治見解


コラム(385): いま世界で何が起きているのか


昨今、国際間の緊張がとみに高まっています。それにもにもかかわらず、国会でも、メディア報道でも新型コロナウイルス対策ばかりに目が向いているのはぜなのでしょうか。

わが国の周辺では、北朝鮮が今年の1月に入ってから7回ものミサイル発射を行っています。その真相はわかっていません。また、覇権主義中国は現段階では国威発揚目的の冬季五輪に夢中になっていますが、その裏で民間フェリーの軍用改装や海軍の大増強を行い、台湾や尖閣・沖縄簒奪に向けて欲望をあらわにしています。

一方、中東に目を転ずるとイランとアメリカの確執が気がかりです。核合意をめぐって、制裁の解除が先決とするイランと、核合意の順守を要求する米国との隔たりは大きく進展は見られていません。この間、イランは中国からエネルギー、通信、交通などの分野に総額4000億ドル(約44兆円)の投資を引き出しただけでなく、ロシアと米欧との対決を確認しあって100億ドルに上る兵器購入を合意した模様です。

また、ヨーロッパではウクライナ情勢をめぐって暗雲が漂っています。1月23日には、米政府がウクライナの米大使館職員の家族に国外退避を命じ、さらに、ウクライナにいる米国民に出国を検討するよう強く求めています。2月2日にはバイデン大統領が米軍を東欧に3000人規模派遣する命令を出し、NATO加盟国間も緊張に包まれていますが足並みはそろっていません。ロシアとの天然ガス取引が影響しているからです。


西欧秩序と非西欧世界

メディアではこれらの事象を個別に報道するため、同時多発的にいま世界で何が起きているのかということがわかりません。また、世界情勢を把握していたとしても、これらの問題は政治的、あるいは軍事的な問題と見て、その奥にある問題の本質を見逃している論評が多く見られます。

そのため、いつもと同じ「戦争反対」を唱えるだけで、この重大問題が日本人の生き死にの問題に直結するということをも見過ごさせてしまい、国民全体が傍観者になってしまいました。

いま世界で起きている問題の本質は、西欧世界が支配してきた国際秩序に対して非西欧世界が反乱を起こしているという事実です。

日本は西欧秩序に組み込まれているため、中国、ロシア、北朝鮮、イラン、さらにはイスラム教国家の考えがなかなか理解できないのですが、彼らの立場に立てば、これまで世界を支配してきた西欧秩序こそが彼らを苦しめてきた元凶ともとらえることができると思います。

いまそれらの国家群が連動して西欧秩序に反抗しており、政治的軍事的にアメリカと対峙しているように見えても、その奥では西欧文明と今まで抑圧されてきたそれぞれの文明が衝突していると見ることができます。


ウエストファリア体制が西欧秩序の基礎

もともと現在の国際秩序に関する考え方は1648年のウエストファリア体制に由来します。今日の主権国家【※1】という概念、国際法の原則などはこの時代に生み出されたものです。
【※1】主権国家:国家権力が最高の力として排他的な統治を行い、かつ対外的には外国の支配に服することのない独立性を持った国家。主権国家内部においては、国家主権の及ぶ範囲の国民と領土が次第に明確にされる。

現在でもこの原則に則って国際間での国家承認が行われていますので、国家権力の上に部族や宗教や存在するアラブの国々やイスラム教国などであっても主権国家の体裁を整えざるをえませんでした。

その外にも、ツァーリズム(専制君主支配体制)をめざすプーチン氏のロシア、中華帝国【※2】復活を目論む習近平氏の中国、金正恩氏の北朝鮮などの専制国家や、ミャンマーなどの軍政の国家群なども存在し、西欧型民主主義国家とは価値観がまるで違う国が多数あります。
【※2】中華帝国:中国の歴史上において、統一王朝である秦・漢・晋・隋・唐・宋・元・明・清など、漢民族居住地域を超えた領域を支配し、周辺諸国に中華思想の影響を及ぼした「帝国」的な統一王朝を指す言葉。現代中国も例外ではない。

いま、これらの国々が無意識に連動して西欧秩序、あるいは文明観に挑戦・反抗していると見るのが正解のようで、いわば西欧文明対非西欧文明の衝突が起きていると見るべきだと思います。

しかも、どこかで戦端が開かれれば、それがたとえ侵略戦争であったとしても、どの国も祖国防衛のための戦争と称するでしょう。

(続きは次号で)



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