[※ 報道特集(2017年7月8日)↑]
毎日新聞の記事【共謀罪 安倍政権が急いだ深層 「戦時体制」への恐るべき野望=斎藤貴男】(https://mainichi.jp/sunday/articles/20170626/org/00m/010/031000d)。
《人々の会話や内心までもが取り締まりの対象となる正真正銘の悪法だが、これによる監視社会の形成には、さらに恐ろしい野望がはらまれているとジャーナリストの斎藤貴男氏は言う。経済とも連動した「戦時体制」づくりが目指すものとは?》
必読! 国会を「突破」してしまった「平成の治安維持法」…読んでいて怖くなります…。アベ様らは何を狙っているのか? 斎藤貴男さんは、《人間が人間であるために、最後まで抗おう》と呼びかけます。
『●「「共謀罪」の必要性強調 首相「東京五輪開けない」」…
ならば、共謀罪も不要だし、五輪開催権も返上を』
『●「裸の王様」が支配する、ダークな五輪のために
「大切な人権を蔑ろに?」出来る不思議王国・デンデン王国』
『●「平成の治安維持法」で、室井佑月さんや斎藤貴男さん
「なんて、最初から一般人扱いされないだろうしな」』
『●「平成の治安維持法」で、室井佑月さんや
斎藤貴男さん「なんて、最初から一般人扱いされないだろうしな」』
『●「政治的修文」ではなく、法案の目的や「その他」に
『平成の治安維持法』「内心処罰」という文言追加を』
『●当局の解釈次第で恣意的に内心を罰し、
お互いを監視・密告しあう社会…「平成の治安維持法」の完成』
『●金平茂紀さん「僕らの国の司法にはかつて
「予防拘禁」という仕組みが合法的制度として存在していた」』
『●森達也さん「人は誘惑に負けることもあるが反省もする。
…それをも許さない」「平成の治安維持法」』
『●「恣意的な廃棄は無い」!、って一体どの口が…
「特定秘密」「公文書が、秘密指定期間中でも廃棄」可能』
『●「沖縄の大衆運動そのものを取り締まっていく
国策捜査だと思う」…山城博治さん「予防拘禁、プレ共謀罪」』
『●沖縄でのプレ「平成の治安維持法」実験…
《実験の結果、今の国民の無関心は国に自信を与えてしまった》』
『●「誰が見ても安倍政権による政治的弾圧」…
山城博治さん「沖縄の大衆運動を潰す政府の方策」』
『●「基地の偏在を沖縄が訴えても「裁判所はほとんど答えない」」…
「政治判断」しかできない司法の悲劇』
『●「平成の治安維持法」…「一般人がこの国からいなくなり
嫌な世の中になるのは時間の問題」(政界地獄耳)』
『●「平成の治安維持法」=「テロ対策には全く役に立たない
共謀罪を、誰が何のために作ろうとしている」?』
『●「官憲が内心に踏み込んで処罰して、人権を著しく
侵害した戦前、戦中の治安維持法」が亡霊のように…』
『●青木理さん「供述が立証の柱…もっと物証が欲しい。
「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と…」』
『●「平成の治安維持法」=「テロ対策には
全く役に立たない共謀罪を、誰が何のために作ろうとしている」?』
『●「官憲が内心に踏み込んで処罰して、
人権を著しく侵害した戦前、戦中の治安維持法」が亡霊のように…』
『●「戦前の治安維持法」の亡霊…「共産党幹部の
夫のために家事をしただけで処罰の対象に」という悍ましさ』
『●ソレは既に彼らの手中…「大量監視の始まり。
日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものに」』
『●「国連とは別の個人の資格」な訳のない
国連特別報告者のアピールを無視?…沖縄でのプレ「治安維持法」』
『●『キネマ旬報』…「戦前・戦中の言論弾圧につながる
治安維持法が成立した大正末期と…現在が似ている」』
『●「本当の権力の恣意的運用というルビコン川を渡った」自公お維
…「平成の治安維持法」参議院突破』
『●既に「「一般の方々」のプライバシーに踏み込み、
権利を侵害する捜査が、現に各地で行われている」のに…』
『●内田樹さん「泥靴でふみにじられた戦後立憲政治の常識」…
国権の最高機関という素朴な願望も打ち砕かれる』
都知事選投票日を前にして、市民に報復宣言するアベ様…コンナ「裸の王様」を未だに頂く大悲劇なニッポン。
日刊スポーツの記事【キレた首相「こんな人たちに負けない!」国民に応酬】(https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/1848959.html)によると、《安倍首相にとって「聖地」の秋葉原で、支持者に交じって反安倍派の「帰れ&辞めろコール」が飛び交ったことは、党内に少なからず衝撃を与えた。関係者の1人は「ある程度(ヤジは)予想していたが、ここまでひどいとは…」。ヤジが激化するにつれ、首相も「憎悪や誹謗(ひぼう)中傷からは、何も生まれない!」と語気を荒らげ、「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と、自身に批判的な聴衆を「こんな人たち」と呼び、国民のヤジに応酬。首相としては異例の行動で、「自分への批判を許さないという空気も感じられ、大丈夫かと思った」》…そうだ。取り巻き連中や、オトモダチやオトモダチのオトモダチには好優遇、一方、気に入らない者にはブチ切れ。トンデモない「裸の王様」。
『●2017年都議会議員選挙: 「「安倍政治」を許さない」
→自民党亜種・トファや公明に投票? 理解不能』
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【https://mainichi.jp/sunday/articles/20170626/org/00m/010/031000d】
共謀罪
安倍政権が急いだ深層 「戦時体制」への恐るべき野望=斎藤貴男
2017年6月28日
Texts by サンデー毎日
(「共謀罪」法案採決の投票に向かう安倍晋三首相(左)。
右端は金田勝年法相=国会内で2017年5月23日
午後4時12分、西本勝撮影)
安倍政権が国民的な批判を押し切って強行採決した共謀罪。人々の会話や内心までもが取り締まりの対象となる正真正銘の悪法だが、これによる監視社会の形成には、さらに恐ろしい野望がはらまれているとジャーナリストの斎藤貴男氏は言う。経済とも連動した「戦時体制」づくりが目指すものとは?
第193回通常国会が閉会した。翌6月19日に官邸で行われた記者会見は、はたして安倍晋三首相の嘘(うそ)と開き直りの見本市だった。
国会答弁での自らの姿勢が、「結果として、政策論争以外の話を盛り上げてしまった」ので「深く反省して」いると述べた。だが、「印象操作のような議論に対して」が前置きなのだから、それこそ野党を貶(おとし)める“印象操作”そのものだ。「テロの恐怖」にしても、首相自身がむやみに米国との同化を進めたり、彼に近いメディアが排外的な報道で民心を煽(あお)らなかったら、と悔やまれてならない。数字の上での有効求人倍率が「バブル時代をも上回」ったとして、非正規ないしワーキング・プアの一層の拡大を自画自賛できる神経は尋常なのか。
極め付きが、加計(かけ)学園疑惑にかかわる“妄言”だ。「透明で公平、公正なプロセスこそ」が、“岩盤規制”を「打ち破る大きな力となる」。これぞ国家戦略特区だ、と。例の獣医学部新設についても、(諮問会議の)民間議員らは「一点の曇りもないと断言されておられ」るという。私自身に、と胸を張らないところが、彼なりの誠意なのかもしれないけれど。
ああ、なのに政治記者たちは実に慎(つつ)ましやかだった。質問に立った新聞・テレビなどメディア各社とも型通りのやり取りに終始した。御用ジャーナリストの異名を取る山口敬之氏のレイプ疑惑および官邸筋による揉(も)み消し疑惑を質(ただ)す気配もない。数日前に菅義偉官房長官が、己を追及した東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者の身辺調査を警察に指示したとの報(『週刊新潮』6月22日号)が効いてでもいるのだろうか。
かくて会期の延長は見送られ、首相をめぐる無数のスキャンダルの国会審議は舞台ごと消滅した。口封じかどうかは知らないが、生き証人である籠池泰典(かごいけやすのり)・森友学園前理事長の逮捕も近いと聞く。以上の文脈の中核に、たとえば委員会での審議・採決を省略した掟(おきて)破りの強行採決で“成立”した「共謀罪」もあった。
犯罪の実行がなくても、警察に“テロ集団”“組織的犯罪集団”と見なされ、何らかの“準備行為”をしたと見なされた者は、それだけで投獄か罰金刑に処せられる仕組みだ。詳しくは本誌の4月30日号に書いたが、要は人々の会話や個々の内面も取り締まりの対象にされるという話である。
ということは、警察はテロに関係あろうとなかろうと、権力やそのスポンサーたちに隷従しない人間やグループを、いつでもどこでも恣意(しい)的に逮捕できてしまいかねない。警察も、その上に君臨する勢力も、言わば神様の地位を与えられたことになる。彼らの強烈な得物になり得るのは、昨年成立した刑事司法改革関連法制が認める司法取引や、権限が拡大された盗聴法(通信傍受法)ばかりではない。
仮面ライダーのオチは「国民総背番号制」
目下のところはまだ警察庁の構想段階とされるDNA型データベースや、信じられないかもしれないが、嫌疑をかけた相手の事務所や自宅に警察が無断で侵入して盗聴器や監視カメラを仕掛けてよいとする「会話傍受」。あるいは全国の津々浦々に張り巡らされた監視カメラ網、これと顔認証、音声認証、しぐさ認証などといったバイオメトリクス(生体認証)を連動させていく計画、携帯電話やスマホのGPS、“税と社会保障の一体改革”を掲げて私たち全員に割り当てられた12桁の“マイ”ナンバー……。最後のは事実上のスティグマ(隷属の烙印)番号(コード)と言い換えた方が適切だ。望んで頂戴したのでもない奴隷の刻印を、所有格で呼ばされる筋合いはない。個々の監視ツールを駅、得られた個人情報を名寄せし串刺しにする国民総背番号(マイナンバー)制度をレールとすると、そのありさまは“山手線”になぞらえられるだろう。
特撮テレビドラマ『仮面ライダー』の敵役・悪の秘密結社「ショッカー」は、石ノ森章太郎氏の漫画原作では日本国民を総ロボット化する計画を進めたが、その大本は現実の政府がそれ以前に着手し、現在に至った国民総背番号制構想だったというオチになっていたことをご存じか。ショッカーの首領がライダーに、「だから われわれがうらまれるのはめいわく千万な話なのだ! うらむのなら日本政府を…そう じぶんらでえらんだ政府なのだから じぶん自身を…」と嗤(わら)うシーンもあった。石ノ森氏の先駆的な慧眼(けいがん)に脱帽する。
私の父は戦後の11年間をシベリアの強制収容所で過ごした。“お国”に尽くした揚げ句に極寒の地で強制労働に従事させられ、帰国したらしたで祖国の公安警察に死ぬまでつきまとわれた。シベリア帰りはイコールソ連のスパイと見なされていた。
器でない勘違い人間が上に立ってしまった時代の恐ろしさを、だから私は戦後生まれのわりには理解しているつもりだ。共謀罪の施行(7月11日の予定)で件(くだん)の“山手線”に大量の電流が送り込まれ、本格的な運用が開始される様子が目に見える気がする。
密告が奨励され、当局はそこいら中に密偵を撒(ま)き散らすだろう。放置しておいたら仲間同士が信じられなくなる私たちは、やがて東西冷戦時代にしばしば伝えられた秘密警察大国ソ連や東ドイツ、近年なら北朝鮮や中国のイメージにも似た社会の“生産性”を、最先端のハイテク技術でもって飛躍的に高めていくのではなかろうか。
当然のことながら、監視社会は共産主義国の専売特許ではない。戦前戦中の治安維持法体制はもとより、“赤狩り”時代、さらには9・11以降の米国、CIAの後ろ盾で樹立されたピノチェト政権下のチリ等々、資本主義国のサンプルもいくらでもある。
暴政に右も左もない。かつ現代日本の監視社会において民衆は、ジョージ・オーウェル『一九八四年』式の「ビッグ・ブラザー」による支配に加え、これに相乗りする民間企業のダイレクト・マーケティングの海に漬からざるを得ないのだ。
まず米国に「愛(う)い奴(やつ)」と思ってもらう
首相自身の発言や公表されたIT戦略本部の「工程表」によれば、ICチップ内蔵の「マイナンバーカード」には近い将来、公的な健康保険証や運転免許証、パスポートなどは言うに及ばず、Suicaの類(たぐ)いやクレジットカード、病院の診察券、流通系の会員カード、社員証や学生証といった民間のカード類を一体化させる「ワンカード化」が急がれる予定。近ごろはNHK受信料の徴収やカジノへの入退場にも使おうという方向性も打ち出された。マイナンバーカードの携帯がなければ一歩も歩けない世の中への予兆である。
某大手エレクトロニクスメーカーは、個々の従業員が社内のどの場所で誰と接触したかを瞬時に捕捉できる管理システムを開発し、外販している。各所各人に取り付けたICチップ同士が一定距離に近づくとセンサーが作動し、その情報が人事部門に送信される。
企業内だけに限定される保証はない。私たち一人ひとりがテレビでいつどの番組を観(み)たのかといった嗜好(しこう)傾向も、いわゆるIoT(モノのインターネット化)の深化で一元管理され、解析されて、マーケッターたちに供されていく。
便利か便利でないかと問われれば、疑いようもなく便利だ。ただ、それは誰にとってなのか、直接の利益を得ない者が支払わされることになる代償の意味と重さを、今度こそみんなで考え、検証する必要があると叫ばずにはいられないのである。
私は本稿で、監視社会の問題だけを論じたいのではない。安倍政権が今なぜ、こうも共謀罪を急いだのか。理由はおそらく大きく二つ。
ひとつは新自由主義イデオロギーに基づき、連綿と続く“構造改革”が、現状にも増して階層間格差の拡大を必然とするから。
もうひとつは、もはや多くの人々の共通認識となりつつある、戦時体制の構築だ。いずれも推進している側の層が、大切なものを片っ端から奪われる層による必死の抵抗に怯(おび)えつつ、せせら笑い、あらかじめ排除するためではないのか(複数の拙著およびJ・ヤング著、青木秀男ら訳『排除型社会』洛北出版、2007年など参照)。
新自由主義は小泉純一郎政権の頃に目立ったが、ここでは現政権の特徴について書く。
安倍氏が戦時体制を志向するのは、(1)祖父・岸信介元首相が追い求めた大日本帝国の“夢”よもう一度の悲願、(2)対米従属だから――。
どちらも的を射ていると思う。一見矛盾するようでいて、だが少し考えれば、そもそも戦前の再現が米国に許されるはずもなく、首相が国内の支持者向けにでもそれらしい立ち居振る舞いをしたければ、まず米国に「愛い奴」と思っていただかなくてはならないということに気付かされる。それには彼らの戦争に付き合うのが一番だ。
私はこれらと同時に、(3)日本の支配層には彼らなりの、戦争を放棄したくない事情があるという私の取材の成果と実感を、可能な限り多くの人々に訴えたい。背景には少子高齢化があるのである。
少子高齢化で彼らが最も心配するのは、一般の思いとは違って、社会保障の前に、ビッグ・ビジネスの将来だ。労働人口が減れば、当然、内需は縮小する。それでも売り上げ規模の拡大を目指せば外需の開拓以外に道がない道理だから、アベノミクスの成長戦略の柱には「インフラシステム輸出」が明記されている。
原発などの発電所と電力網、通信網、鉄道、道路、ダム、水道、もっと言えば計画的な都市建設そのものといったインフラストラクチャー(社会資本)の整備が遅れがちな新興成長国群に対して、それぞれのコンサルティングから設計、施工、資材の調達、完成後の運営、メンテナンスに至るまでの大量受注を、「官民一体」の「オールジャパン体制」(大量の公表資料で強調されている形容)によって推進しようとの国策だ。
ビジネスの用心棒として「軍事力強化」
これだけなら、わかる。なるほど経済成長はみんなが幸せになるための有効な手段のひとつだから。だが現政権は、この国策に二つの危険な要素を組み入れた。「資源権益の獲得」と「在外邦人の安全」だ。
インフラシステム輸出で友好関係を築けた相手が地下資源の豊富な国の政府なら、それらを有利な条件で回してもらおう、しかし資源国といえばグローバル・ビジネスと開発独裁vs.部族社会の紛争が付き物で、丸腰の日本人労働者やビジネスエリートがのこのこ出かけていけば、本物のテロリストらの標的にされかねない。産業戦士たちを守るためにも、海外で戦える武力が不可欠だ――。
折しもインフラシステム輸出の国策が本格的に動き出す直前の2013年1月、アルジェリアの天然ガス精製プラントが武装グループに襲撃され、外国人労働者ら約40人(うち10人は日本人)が殺害される事件が発生した。直後に首相の指示で発足した自民・公明両党のプロジェクトチームで座長を務めた中谷元・衆議院議員(後に防衛相)に、私は取材している。「そういうのは米国やフランスでは当たり前」だと、彼は語っていた(詳細は拙著『戦争のできる国へ 安倍政権の正体』朝日新書など)。
何のことはない、これは帝国主義ではないか。かつての“過剰人口のはけ口”を口実とした植民地支配が、自由貿易を盾に、過剰資本のはけ口を広げたい非公式(インフォーマル)な経済支配のモチベーションに置き換えられただけだ。首相がかねて、「普遍的な価値観を共有する米国とわが国」と強調してきたゆえんである。
まとめると、大日本帝国モドキの創生、米国への積極的な隷従と自衛隊の傭兵(ようへい)化、ビジネスの用心棒としての軍事力強化。それらゆえの戦時体制であり、反戦機運を抑え込む監視社会、言論統制なのである。
こんなことを今さらいくら叫んでみても、もしかしたらかえって読者を萎縮させてしまう結果ばかりが招かれるのかもしれない。だが、誰もがそんな空気を読む達人のような生き方を目指すようなら、この国の民主主義は完全に命脈を絶たれる。1%の富裕層のために残る99%の人々が命がけで奉仕させられる社会になってしまう。私はどこまでも、改めて現状を見据え、深く考え直していただくために必要な素材と見方を提供した。人間が人間であるために、最後まで抗(あらが)おう。
(ジャーナリスト・斎藤貴男)
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