[※東京新聞(2017年3月8日)↑]
東京新聞の社説【「共謀罪」閣議決定 刑法の原則が覆る怖さ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017032202000141.html)。
《◆行く末は監視社会か …実は捜査当局が犯行前の共謀や準備行為を摘発するには国民を監視するしかない。通信傍受や密告が横行しよう。行き着く先は自由が奪われた「監視社会」なのではなかろうか》。
一連の国有地無償譲渡問題・「裸の王様」御妃問題・教育破壊問題、さらに、第二、第三…の森友問題、…南スーダンの問題や「平成の治安維持法」など、問題山積に。にもかかわらず、今月上旬の時点で、《内閣支持率は前回二月より6・0ポイント減って55・7%》というオメデタイ状態(『●アベ様の「政」とニッポン社会: タカのガナリ声が大きくなるばかりで、少数派のハトも「都会のハト」化』)。この国は大丈夫でしょうか?
『●「政治的修文」ではなく、法案の目的や「その他」に
『平成の治安維持法』「内心処罰」という文言追加を』
当局の解釈次第で恣意的に内心を罰し、お互いを監視・密告しあう社会…そんな超監視社会を目指す自公、それを支持するオメデタイ皆さん。《ジョージ・オーウェルが描いた『一九八四年』の「世界」》。ここでも、デンデン王国「裸の王様」を支える公明の酷さ、醜さ。「学会さん」はな~にも感じないのだろうか?
『●保坂展人さん、あの小泉純一郎氏でさえが
「『平成の治安維持法』をつくった総理」と呼ばれることを嫌った』
『●2016年7月参院選「あとの祭り」…
「平成の治安維持法」をつくった総理まであと一歩』
『●争点は「壊憲」: 「ト」な自民党改憲草案は
「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」』
『●「ト」な自民党壊憲草案の「新たな三原則」…
「国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限」』
『●「平成の治安維持法」…「共謀罪の本質はテロ対策に
名を借りて「心の中で思ったこと」を処罰」』
『●教員について密告させ、労組を監視する
=自公支持者の皆さんの大好きな「超・監視管理社会」』
『●「平成の治安維持法」: 「もうすでに、
政府に刃向かう人は一般人じゃないって解釈が許される世の中に」』
『●唖然・呆然…自民党「等」が推進する
「平成の治安維持法」、「提出前に批判しないで」』
『●「アベ様「記念」広報局NHK」が、
世論を「平成の治安維持法」へとミスリードして「裸の王様」を歓喜…』
『●「平成の治安維持法」…「先輩たちが歌うことすら制限する
米軍に抗い、勝ち取った自由が危機にある」』
『●室井佑月さん「それとこれは別です」:
東京の五つのダークな輪と3.11東電原発人災と共謀罪と…』
『●室井佑月さん、「なんで2週間余りの祭りのために、
大切な人権を蔑ろにされなきゃならないの?」』
『●「「共謀罪」の必要性強調 首相「東京五輪開けない」」…
ならば、共謀罪も不要だし、五輪開催権も返上を』
『●「閣僚の適格性に関わる重要問題」連発…
そもそも「テロ等準備罪 必要46%」というような法案なのか?』
『●「瑞穂の國記念参院予算委員会」は酷かった…
「平成の治安維持法」を目指す「裸の王様」の取り巻きの醜さ』
『●「平成の治安維持法」で、室井佑月さんや
斎藤貴男さん「なんて、最初から一般人扱いされないだろうしな」』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017032202000141.html】
【社説】
「共謀罪」閣議決定 刑法の原則が覆る怖さ
2017年3月22日
政府が閣議決定した組織犯罪処罰法改正案の本質は「共謀罪」だ。二百七十七もの罪を準備段階で処罰できる。刑事法の原則を覆す法案には反対する。
盗みを働こうと企(たくら)む二人組がいたとしよう。だが、人間というのは犯罪を共謀したからといって、必ず実行に移すとは限らない。現場を下見に行ったとしても、良心が働いて「やっぱり悪いことだからやめよう」と断念する、そんなことはいくらでもある。
共謀罪が恐ろしいのは、話し合い合意するだけで罰せられることだ。この二人組の場合は共謀し、下見をした段階で処罰される。そんな法案なのだ。何も盗んではいないのに…。
◆当局の解釈次第では
今回の法案では二人以上の計画と準備行為の段階で摘発できる。準備行為とは「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」と書いてある。ずいぶん漠然としてはいないか。「その他」の文字が入っているから、捜査当局にどのように解釈されるか分からない心配もある。
犯行資金をATMで下ろすことが準備行為に該当すると政府は例示するが、お金を引き出すというのはごく日常的な行為である。それが犯罪なのか。どう証明するのか。疑問は尽きない。
共謀罪の考え方は、日本の刑事法の体系と全く相いれない。日本では既遂を処罰する、これが原則である。心の中で考えただけではむろん犯罪たり得ない。犯罪を実行して初めて処罰される。未遂や予備、陰謀などで処罰するのは、重大事件の例外としてである。
だから、この法案は刑事法の原則を根本からゆがめる。しかも、二百七十七もの罪に共謀罪をかぶせるというのは、対象犯罪を丸暗記していない限り、何が罰せられ、何が罰せられないか、国民には理解不能になるだろう。
◆現行法でも締結可能
この法案は「キメラ」のようでもある。キメラとはギリシャ神話に登場する怪物だ。一つの体に獅子とヤギと蛇が組み合わさった姿をしている。目的である本体は国連のマフィア対策の条約締結だ。その体に「共謀罪」がくっつき、政府が強調する「テロ防止」がくっついている。
安倍晋三首相は国会答弁で「東京五輪のために必要な法案だ」という趣旨の発言をした。これは明らかな詭弁(きべん)というべきである。そもそも日本はテロに対して無防備ではない。テロ防止に関する十三もの国際条約を日本は締結している。ハイジャック防止条約、人質行為防止条約、爆弾テロ防止条約、テロ資金供与防止条約、核テロリズム防止条約…。同時に国内法も整備している。
例えば爆発物に関しては脅迫、教唆、扇動、共謀の段階で既に処罰できる。サリンなど化学物質などでも同じである。
むしろ、政府は当初、「テロ等準備罪」の看板を掲げながら、条文の中にテロの定義も文字もなかった。批判を受けて、あわてて法案の中に「テロリズム集団」という文字を入れ込んだ。本質がテロ対策でない証左といえよう。
「五輪が開けない」とは国民に対する明白な誤導である。本質は共謀罪の創設なのだ。
確かに国連の国際組織犯罪防止条約の締約国は百八十七カ国・地域にのぼる。だが、そのために共謀罪を新設した国はノルウェーやブルガリアなどだけだ。むしろ国連は「国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めている。「共謀罪がなくとも条約の締結は可能だ」とする日弁連の意見に賛同する。
そもそもこの条約は国境を越えて行われるマフィアの犯罪がターゲットだ。麻薬やマネーロンダリング(資金洗浄)、人身売買などで、テロ対策の条約ではない。少なくともこの条約締結のために、刑事法の大原則を覆してしまうのは本末転倒である。
危惧するのは、この法案の行く末である。犯罪組織の重大犯罪を取り締まるならともかく、政府は普通の市民団体でも性質を変えた場合には適用するとしている。米軍基地建設の反対運動、反原発運動、政府批判のデモなどが摘発対象にならないか懸念する。
◆行く末は監視社会か
専門家によれば、英米法系の国ではかつて、共謀罪が労働組合や市民運動の弾圧に使われたという。市民団体の何かの計画が共謀罪に問われたら…。全員のスマートフォンやパソコンが押収され一網打尽となってしまう。もはや悪夢というべきである。
実は捜査当局が犯行前の共謀や準備行為を摘発するには国民を監視するしかない。通信傍受や密告が横行しよう。行き着く先は自由が奪われた「監視社会」なのではなかろうか。
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