ドイツ語圏のバイカーで知らない人がいないであろうターボライダー。非難と賞賛の嵐の中で彼の人生は閉じました。先週の土曜日の事でした。
このターボライダーは、きちんとした定職があって、結婚もしていて、二児の父親で、まだ30半ば過ぎの若さでした。ドイツでもトップなプロレーサー (元) だった一人です。しかしある時からターボ付きバイクで速度無制限区間のあるアウトバーンではなく、時速100キロ制限の公道でオーバー300キロの走りを試み続け、それをプロフェッショナルに撮影させ、DVDはここ数年で10万枚近い販売実績(欧州全体) があったそうです (私も1枚持っています)。
彼と知り合ったのは、ZZR1400のチューニングをお願いしたドイツの名チューナー・ディートリッヒさん経由で、彼もこのチューナーのところでチューニングしてもらっていたのです。初対面の時の印象は、「どこにでもいるサラリーマン」 といった風貌で、話し方も真面目でどちらかと言えば朴訥、しかし話題が "ゴーストライダー" の事になると、「自分の走りは元スタントマン (ゴーストライダーのこと) の走りとは次元が違う」 と口から泡飛ばす勢いでした。「こういうおとなしそうな人に限って、内に巨大なマグマを抱えていたりするんだな」 が私の印象でした。会った場所は、直前に携帯にかかってきたIP電話で指定された田舎の工業団地の駐車場のキャラバンの中でした。
そのチューナーから先週の日曜に 「奴が死んだ」 と電話を貰いました。どんな風に逝ってしまったのかは、普通のバイクで時速80キロ位で走っている時に、彼に優先権があった (ドイツでは右側優先) 交差点で小型のバスと接触して転倒、事故自体は大したことなく彼にも目立った外傷がなかったようなのですが、「首の骨が折れて即死」 だったそうです。
「あの人が死ぬんだったら、絶対に時速300キロオーバーの様な極限状態でだ、と信じていた」 とチューナーに言ったら、「私も同じだよ」 とため息を付いていました。チューナーの手元には彼の次の新車 (邦貨約500万円) が引き取り手不在のままほぼ完成状態であるそうです。「お葬式は行くんですか?」 との私の問いに 「葬式は近親者だけで済めせるので来ないで欲しい」 と奥さんが知り合いに言っているらしく、「行きたくても行けない」 とのこと。
ターボライダーのした事は 「非合法の極み」 でした。しかし、その是非を別にすれば、彼もライダーの一人だったのです。今は彼の魂の安寧を祈るのみです。知っているライダーの死は初めてではありませんが、永遠に慣れるということにはならない悲しいお話です。
http://www.youtube.com/watch?v=29HpcEit8_k
http://www.youtube.com/watch?v=az6oPbdXC9Q&feature=related
このターボライダーは、きちんとした定職があって、結婚もしていて、二児の父親で、まだ30半ば過ぎの若さでした。ドイツでもトップなプロレーサー (元) だった一人です。しかしある時からターボ付きバイクで速度無制限区間のあるアウトバーンではなく、時速100キロ制限の公道でオーバー300キロの走りを試み続け、それをプロフェッショナルに撮影させ、DVDはここ数年で10万枚近い販売実績(欧州全体) があったそうです (私も1枚持っています)。
彼と知り合ったのは、ZZR1400のチューニングをお願いしたドイツの名チューナー・ディートリッヒさん経由で、彼もこのチューナーのところでチューニングしてもらっていたのです。初対面の時の印象は、「どこにでもいるサラリーマン」 といった風貌で、話し方も真面目でどちらかと言えば朴訥、しかし話題が "ゴーストライダー" の事になると、「自分の走りは元スタントマン (ゴーストライダーのこと) の走りとは次元が違う」 と口から泡飛ばす勢いでした。「こういうおとなしそうな人に限って、内に巨大なマグマを抱えていたりするんだな」 が私の印象でした。会った場所は、直前に携帯にかかってきたIP電話で指定された田舎の工業団地の駐車場のキャラバンの中でした。
そのチューナーから先週の日曜に 「奴が死んだ」 と電話を貰いました。どんな風に逝ってしまったのかは、普通のバイクで時速80キロ位で走っている時に、彼に優先権があった (ドイツでは右側優先) 交差点で小型のバスと接触して転倒、事故自体は大したことなく彼にも目立った外傷がなかったようなのですが、「首の骨が折れて即死」 だったそうです。
「あの人が死ぬんだったら、絶対に時速300キロオーバーの様な極限状態でだ、と信じていた」 とチューナーに言ったら、「私も同じだよ」 とため息を付いていました。チューナーの手元には彼の次の新車 (邦貨約500万円) が引き取り手不在のままほぼ完成状態であるそうです。「お葬式は行くんですか?」 との私の問いに 「葬式は近親者だけで済めせるので来ないで欲しい」 と奥さんが知り合いに言っているらしく、「行きたくても行けない」 とのこと。
ターボライダーのした事は 「非合法の極み」 でした。しかし、その是非を別にすれば、彼もライダーの一人だったのです。今は彼の魂の安寧を祈るのみです。知っているライダーの死は初めてではありませんが、永遠に慣れるということにはならない悲しいお話です。
http://www.youtube.com/watch?v=29HpcEit8_k
http://www.youtube.com/watch?v=az6oPbdXC9Q&feature=related
知り合いの方の訃報、大変悲しい思いをされているかと心中お察しいたします。
同じような悲しみがあった事を思い出し、コメントを書かせて頂きました。
同じくらいの年の二人組と北海道のロングツーリング先で知り合い、携帯電話番号を交換しました。
別れて未だ道内にいる途中で「相方が単独事故で死んじゃったよぉぉお」と携帯から訃報を聞き、
たった少ししか顔を合わせていない仲だったのに、とても深い悲しみに襲われました。
その際の涙を出さずに泣いているような声は未だに忘れることが出来ません。
同じライダーとして出来ることは
最大限五感を研ぎ澄まし、危険を可能な限り察知し
知っている誰かを悲しませないよう、心に念じながら運転するのみだと感じております。
おっしゃる通りです。我々に出来ることはタダ一つ、無事に帰ってくる、だけでしょう。バイクで出たら、無事に帰ってくる、それは次のバイクでの楽しみに繋がるのですから。そして周りの人たちを納得させることができるのですから。お互いに油断しないで生きて行きましょう。