おきらくごきらく

社会人大学院(早稲田大学大学院商学研究科プロフェショナルコース)へ通う、のんきなサラリーウーマン実録

ビックマックの形をした名刺

2005年07月25日 | お勉強
7月24日のNIKKEI NETの記事より

日本マクドナルド、名刺で商品PR・全社員4600人に配布
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売り上げアップへ全社員で商品をPR。日本マクドナルドホールディングスは「ビッグマック」など自社商品をかたどった新しいデザインのカラー名刺を制作し、約4600人の全社員に配布した。収益低迷の打開策として22日に新商品を投入したばかりで、売り上げ増加に向けて躍起だ。

名刺のデザインはビッグマックなどハンバーガー2種類、ポテト、シェイク、サラダの計5種類。本部社員に加え、店舗社員にも配る。「一丸となって増収を達成するよう連帯感を強める狙いもある」(同社)という。
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このマクドナルドの記事から、二つのブランドに関する試みが読み取れます。

一つは、ブランド・コンタクトポイント。

多くの企業は、消費者がブランドと接する(=コンタクトを持つ)全ての点でブランドが形成される、という考えに基づき、あらゆる接点(ブランド・コンタクトポイント)でそのブランドの持つメッセージを一貫性を保ちつつ伝達できるよう努力をしています。

例えば、ティファニーを挙げてみましょう。
消費者がいくらティファニーに対して高級なイメージを持っていても、店舗の立地がそのイメージとは違う場所だったり、店内が汚れていたり、店員の態度が悪かったりすると、ティファニーというブランドに対する印象は悪化してしまいます。もっと極端な例で言うと、『この人は、本当にファッションのセンスが悪い』と思っている人がティファニーの商品を身につけているのを見るだけで、ティファニーというブランドに対する印象が変わってしまう場合もあります。

コントロールが効く、効かないに関わらず、あらゆるシーンで、ブランドの印象というのは消費者の頭の中に形成されていくのです。

名刺もその一つと考えられるでしょう。一般の消費者とまではいかないものの、日本マクドナルドに属する4600人の社員が日々、名刺交換をする取引先の人に対して、名刺という紙切れ一枚からマクドナルドというブランドのメッセージを伝えることが出来るのです。

社員に斬新な名刺を持たせるマクドナルドの自由な企業風土、新しいアイディアを受け入れる柔軟性、または若々しさ、など。その名刺を受取った人は、いろいろな印象を持つでしょう。

だって、ビックマックやポテトの形をした名刺ですよ。見てみたいと思いませんか?

私がもしそんな名刺を受取ったら「さすがマクドナルドさんですね、自由で楽しい会社なんでしょうね」って言うでしょう。えぇ、単純ですから。

二つめは、インターナル・ブランディング。

記事内で、マクドナルド側が「一丸となって増収を達成するよう連帯感を強める狙いもある」ともう既に述べているように、この名刺作戦は社外だけでなく、社内にも働きかけを図っている、ということです。

つまり、会社の従業員に対してブランド構築をしているのです。社員に対して、自社のブランドを認知、浸透させ、理解を深めようとしているこの試みで、社員の士気を高めたり、同じ価値観を共有させて連帯感を強めたり、帰属意識を高めたり・・・いろいろな効果が期待できます。

だって、なんだかんだ言って、最終的にお客さんと接するのは、従業員なんです。この人達に、自社のブランドの価値観や世界観を理解してもらわないことには、顧客への伝達もうまくいかないんです。

さらにさらに、マクドナルドはこの名刺ネタがこういった記事になることで、PR効果も得ています。もっと言うと、私のようにブログに記す人がいる事によって、口コミ効果も狙えるのです。

・・・と、いろんな効果が期待できる今回の名刺ネタ。
果たして、売上に結びつくのでしょうか!?