魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

太平洋奇跡の作戦 キスカ ★★★★☆

2008年02月15日 | Weblog


【概要】
昭和18年(1943年)、アリューシャン列島のアッツ島守備隊が玉砕し、同列島のキスカ島も玉砕の危機に襲われた。大本営はキスカ島守備隊五千名の救出を決意する。北方担当の第五艦隊司令長官川島中将は、作戦実行部隊である第一水雷戦隊司令官に同期の大村少将を指名した。キスカ島守備隊5千余名の運命は、海軍兵学校を「ドンケツ」で出たという大村少将の手腕に託されることになる。
Wikipediaより抜粋

【感想】
二日振りの投稿です。

私が戦争映画を本格的に見るきっかけになった作品です。戦争映画と聞いて思い浮かべるのは、召集された兵士達が血を流して次々に死んでゆくシーン。それは、反戦を訴える上で重要な場面で、私も必要だと思うんですが、あまりも痛々しくて可哀想で、やりきれなくて見ていて辛いんですよね。
本作品は、キスカ島撤退作戦を題材にした戦争映画ですが、團伊玖磨の美しい音楽と丸山誠治のテンポのいい演出で緊張感溢れる作品になっていて、いわゆる、一般的な戦争映画のような悲壮感はあまり感じられませんでした。しかし、悲壮感無い=戦争高揚映画ではなく、ちゃんと反戦の映画になっているのが本作の特徴です。

キスカ島の兵士達が救助の船に乗り込む時、船の人達に向かって手を振って笑うシーンがあるんですが、誰だって玉砕は望まない、生きていたいんだという想いが伝わってきます。
三船敏郎の「戦争をやっているんだからな。」の一言も重い。

東宝の俳優の常連が多数出演しているのも、本作を見やすくしている要因かな。
特撮映画を見ている延長線上という感じ。世界大戦争という傑作反戦映画も、人類滅亡という暗い結末を用意していながらも、見終わった後重苦しい気持ちにならなかったなあ。
60年代の映画は、戦後がまだ色濃かった時代なのに、(だからこそでしょうが)70年代の映画よりどこか作風が明るい気がするんですが…、あっ、これは勿論東宝の映画に限ってです。
他社の作品はあまり詳しくないんで…

このDVDの特典映像に「証言キスカ」という、キスカ島で実体験をされ、映画でも監修をされている方の証言VTRがあるんですが、当時の東宝とのやりとりなど興味深い話が聞けます。

教科書には決して載らない史実を見事に映像化した隠れた名作。まず、戦争映画と聞いて拒絶される方に見て欲しい作品です。


監督 丸山誠治
特撮 円谷英二
脚本 須崎勝弥
原作 千早正隆 「太平洋海戦最大の奇跡」
音楽 團伊玖磨

大村少将 三船敏郎
川島中将 山村聡
国友大佐 中丸忠雄
玉井中佐 稲葉義男
阿久根大佐 田崎潤
天野少佐 佐藤允
俵少尉 久保明
秋谷司令官 藤田進
寺井先任参謀 土屋嘉男
工藤軍医長 平田昭彦
軍令部総長 志村喬
軍令部赤司参謀 西村晃

1965年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)


なかなか毎日文章を打つというのはしんどいですなあ。
ま、毎日って無理ですよね。今度からは二日おき、出来て一日おきくらいで投稿していく予定です。
私がブログを書いてる理由は、勿論日本映画でこんなにいいものがあるんだよというのを多くの人に知ってもらおうと思うからなんですが、まず、文章を書くということはどんな題材にせよ、頭の整理にもなりますよね。
自分が見て感動した作品を、どうして感動したのか、どうして面白かったのか、はたまた、見たときは興奮していたものの、後で考えればそんな大した映画じゃなかったな(笑)とか、改めて作品を見つめなおすいい機会にもなります。

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