魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

電送人間★★★

2008年02月01日 | Weblog
【概要】
遊園地で起こった殺人事件を発端に、戦時中に研究されていた物質電送機の存在が明らかになる。仁木博士が開発した物質電送機を須藤兵長が連続殺人を侵していたのであった。その裏には、ある事件があった。

【感想】
キャバレーDAIHONEIと中丸忠雄の不敵な(不適な?)笑みを見れただけで、この映画のもとはとったなと言う感じ。全員軍服で軍事用語しか使わない店員と、金粉を全身に塗りたくっって怪しげな音楽に合わせて踊る踊り子はインパクトありすぎです。「うぅっ!」って…
昔の映画を見るとき、こういった時代を感じさせるものを見るのも面白いのですが、戦後15年でこういうキャバレーを経営するというのはどういう神経なのでしょうか。戦争を経験していない私には理解しかねますが、う~ん。
今回は終戦の日に裏切られた博士の科学を悪用した須藤の復讐劇。戦争と言うのはバックボーンに過ぎず、むしろ関沢新一の脚本、福田純監督のスリラーアクションを楽しむ作品になっています。怪奇スリラーという歌い文句は、まさにこの映画の為に生まれたといってもいいくらい。

円谷英二の特撮が今回もすばらしい。電送人間(正確に言えば、物体電送機で電送された人間。液体人間やガス人間のようにもとから変質しているわけではなく、あくまでアリバイの為に電送人間になるというのも本作の特徴)の、まるで電線が走ったように青白く光る演出は、今のCGでは表現できないリアルなものになっています。
勿論、コンピューターは無いので、フィルムのコマ一枚ずつ手描きで青白い光の線を描いていき、あたかも動いているように見せるわけです。
よくやった!としか言いようがないですね。
DVDを買えとまではいいませんが、俗に言う変身人間三部作(凄い名前…)は地元のツタヤにも置いてあるので、借りてきて見ることをおすすめします。



監督 福田純
脚本:関沢新一
音楽:池野成

桐岡勝 鶴田浩二
中条明子 白川由美
小林警部 平田昭彦
岡崎捜査主任 土屋嘉男
中本伍郎(須藤兵長)中丸忠雄
大西社長 河津清三郎
隆昌元 田島義文
滝 堺左千夫


1960年度東宝作品(カラー・シネスコ)