厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2009年の肝臓がん死亡者数は、3万2725人(男性:2万1637人、女性:1万1088人)でした。
肝臓がんで死亡する人の大部分は肝炎ウイルスに感染しているそうで、特にC型肝炎が多いそうです。
1965年以前は、輸血のための血液は主に売血でまかなわれていたため、輸血を受けた人の2人に1人が肝炎を発症していたそうです。
また、「フィブリノゲン」という血液製剤によっても、多くの人が肝炎ウイルスに感染したそうです。
しかし、問題はそれだけではありませんでした。
かつて日本では、1970年代から肝臓がんによる死亡者数が急速に増加し続けました。
逆に、先進国では肝臓がんによる死亡者数は減少していたため、これは大きな謎だったそうです。
これより先、1953年に世界保健機関(WHO)は肝炎ウイルスの感染予防のため、世界に向けて予防接種に用いる注射器の連続使用を止めるよう勧告を出したそうです。
しかし、日本では1958年に厚生省が予防接種要項で注射針を取り替えるよう指示を出しただけでした。
その後、1988年にC型肝炎ウイルスが発見され、WHOが発展途上国に向けて改めて注射器の連続使用を止めるよう勧告して、ようやく厚生省は注射器の連続使用を禁止する通達を出したそうです。
厚生省の怠慢によって、注射器の使い回しによる肝炎ウイルスの感染が日本中に拡大し、肝臓がんによる死亡者数が増加したというわけです。
なお、肝臓がんには肝炎ウイルス以外の要因もあります。
多くの疫学調査によって、食べすぎやお酒の飲みすぎ、喫煙習慣などが、肝臓がんのリスクを高めることが分かっているそうですので、身に覚えのある方はご注意ください。
また、カビが生えた食品にも注意が必要です。
ピーナッツやトウモロコシなどにつく「アスペルギルス・フラバス」というカビは、アフラトキシンB1という自然界で最強の発ガン物質を作り、これを食べると肝臓がんが発生するそうです。(急性毒性で死亡する場合もあります)
このカビは日本にはいませんが、世界的に見るとありふれた種類のカビで、輸入された食品にこのカビが生えていることはよくあるそうです。
以前、三笠フーズという会社が汚染米を食品用として流通させていたことが判明して大騒ぎになりましたが、この汚染米の中には、アフラトキシンB1に汚染されたものも含まれていました。
カビの毒は加熱調理してもほとんど分解されないため、カビが生えた食品は捨てるしかないのですが、こういったものを食品として流通させる神経には驚かされますね。
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