最近は、福島県の原発事故によって、子どもでも「シーベルト」という放射線の単位を知っていますが、最初にその意味を簡単にご説明しましょう。
放射線によって単位重量(kg:キログラム)当たりどれだけのエネルギー(J:ジュール)を受けたかを表わすのが吸収線量で、単位はグレイ(Gy=J/kg)です。
そして、この吸収線量の生物学的な影響を表わすのが線量当量で、単位はシーベルト(Sv)です。
放射線の生物学的な影響は、飛んできた粒子の種類(アルファ線、ベータ線、ガンマ線など)やエネルギーによって異なりますが、テレビなどでは、吸収線量(グレイ)をそのまま線量当量(シーベルト)として報道しているようです。
ちなみに、神奈川県がインターネット上に公開している「環境モニタリングシステム」では、放射線の測定値を吸収線量(グレイ)で表示していますが、厳密にはこちらが正しいことになります。
一般人の被ばく線量の限度は年間1ミリシーベルトですが、これは毎年10万人あたり5~12人ががんで死ぬ程度のリスクのようです。(ICRPおよびUNSCEARの推定による)
我々は、自然界から常に放射線を浴びていますが、1988年の推定によると、その量は世界平均で2.4ミリシーベルト/年、日本では1.4ミリシーベルト/年だそうなので、日本では最大で毎年2万人あまりの人が、自然界の放射線によって死亡している計算になります。
肺のレントゲン写真による被ばく線量は、かつては1ミリシーベルト程度あったそうですが、現在では0.05~0.3ミリシーベルト程度のようです。
また、胸部エックス線CT撮影の場合、被ばく線量は約10ミリシーベルトかそれ以上となるようです。
ちなみに、厚生労働省の研究(「最新の科学的知見に基づいた保健事業に係る調査研究」)によると、胸部エックス線検査について、「肺がん検診としての有効性を支持する証拠はない」としています。(毎日新聞:2005年8月14日)
さて、前置きが長くなりましたが、本題の放射線治療では、トータル50グレイかそれ以上の放射線を分割照射するのが一般的な治療方法のようです。
単純にグレイ=シーベルトと考えると、致死量(7シーベルト)の7倍以上の放射線を患部に照射することになるわけです。
これが全部がん細胞に吸収されれば問題ないのでしょうが、当然そんなにうまくいくはずはなく、周囲の正常な細胞も障害を受け、免疫力が低下してしまいます。
インターネットで検索すると、放射線治療による副作用や後遺症に苦しむ人の話がたくさん出てきますが、私が思うに、こういう人たちは放射線の危険性を十分に知らされなかったのではないでしょうか?
一説によると、健康な人でも40歳になるとがん細胞が毎日5000個以上発生しているそうですが、がん化した細胞は免疫細胞に食べられてしまうので、いくらがん細胞が発生しても、免疫機能が正常であれば何の問題もないそうです。
つまり、がんになる(がんが大きくなる)のは免疫力が低下しているからで、がんの治療には免疫力の活性化が最も効果的なのです。
発がん性がある放射線や抗がん剤をがんの治療に使うのは、商売としては最高のビジネスモデルだと思いますが、医療としては最低だと思います。
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【追記】 2022年1月4日
被ばく線量およびそのリスクについて訂正があります。
日本人が自然界から浴びる放射線量 → 2.1ミリシーベルト
年間1ミリシーベルトの死亡リスク → 10万人あたり約1.2人
詳しくは「放射線の被ばく量について」、および「低レベル放射線被ばくリスク」をご覧ください。
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