ー彼ー
それにしても上品(かみしな)寿(ひさし)に木面(きづら)先輩が僕の事をどう話したのかが分からない
念の為に聞いておくことにした
研究室でおっそろしい速さでキーボードを叩いていた木面さんは言った
「肩」
「はい?」
「情報はただじゃない 欲しかったら肩をもみなさい」
言われるままに揉み始めて半時間後 木面さんが言う
「うん 前にちらっと言っちゃったのよね 冗談ぽく
家の人に言えないトラブルを解決してもらった
ぼ~~っとしているように見えて あれで中々役に立つー
ほら わたしってば後輩思いだから悪く言われると我慢できないの
深空野はできるコなんだって褒めてあげたのよ
それだけよ
そしたら上品ってば 親友の自分も聞いたことがあるーって言い出したらしいわ
話が誰を巡り回ったものか知らないけどね
親友なの?」
「名前しか知りません」
「でも良かったじゃない 親友ができて
うん肩凝り治ったわ
じゃまた親友の話 聞いてあげるから」
話は終わった 出て行けーと言わんばかりに木面先輩が手を振った
僕はお化け屋敷もダメなくらいの怖がりだったんだ・・・
全く何の因果でー
或る事情から僕は祖父母の物だった家に一人暮らしをしている
一人暮らしなんだけど 賑やかな家なんだ
ーというのもね
「おっかえり~~~」弥生はいつも明るい
「ふん・・・またトラブルに寄ってこられたか」タマキはいつもさめている
「まもり甲斐があるというか 手がかるというか」大正時代のモダンガール「モガ」のような断髪のアキ
祖父母の家に棲むモノ達
彼女達は人と異なる出生の僕の護り手だ
どういう力を持つのか まだイマイチ僕にも分かってない
ただ木面先輩の家について 家に出ようとしたモノ達については動かしてくれた
三人の中の一人と関わりあるモノ達であったそうだ
ごくごく普通の人間でいる為に 僕の父と母と夢鬼と呼ばれるモノまでが 本来僕が持つ何かの力を封じたのだと言う
それぞれの理由で弥生もアキもタマキも僕に期待をかけているらしいんだが
この僕にはなんにも分かってない
僕は霊媒でもなんでもない
ただ・・・・
夢を視(み)る
さて僕を無視してお三方は会話を進めていた
「普段はおとなしく家でお留守番している 良いコのあたし達だけど
相手は怨霊だし これは緊急事態
付き添ってあげても掟破りじゃないわよね」
などと弥生さん
「速攻で一口で喰われそうだしねえ やれやれ手のかかること」
タマキとアキはうなずき合っている
まあ確かに一緒に居てくれたほうが有り難いが
彼女達は彼女達が他の人間にも姿を見せてやってもいいーそう思わない時には 僕と僕の母親以外には姿は見えない
彼女達の判断も実に気紛れだが
それにしても上品(かみしな)寿(ひさし)に木面(きづら)先輩が僕の事をどう話したのかが分からない
念の為に聞いておくことにした
研究室でおっそろしい速さでキーボードを叩いていた木面さんは言った
「肩」
「はい?」
「情報はただじゃない 欲しかったら肩をもみなさい」
言われるままに揉み始めて半時間後 木面さんが言う
「うん 前にちらっと言っちゃったのよね 冗談ぽく
家の人に言えないトラブルを解決してもらった
ぼ~~っとしているように見えて あれで中々役に立つー
ほら わたしってば後輩思いだから悪く言われると我慢できないの
深空野はできるコなんだって褒めてあげたのよ
それだけよ
そしたら上品ってば 親友の自分も聞いたことがあるーって言い出したらしいわ
話が誰を巡り回ったものか知らないけどね
親友なの?」
「名前しか知りません」
「でも良かったじゃない 親友ができて
うん肩凝り治ったわ
じゃまた親友の話 聞いてあげるから」
話は終わった 出て行けーと言わんばかりに木面先輩が手を振った
僕はお化け屋敷もダメなくらいの怖がりだったんだ・・・
全く何の因果でー
或る事情から僕は祖父母の物だった家に一人暮らしをしている
一人暮らしなんだけど 賑やかな家なんだ
ーというのもね
「おっかえり~~~」弥生はいつも明るい
「ふん・・・またトラブルに寄ってこられたか」タマキはいつもさめている
「まもり甲斐があるというか 手がかるというか」大正時代のモダンガール「モガ」のような断髪のアキ
祖父母の家に棲むモノ達
彼女達は人と異なる出生の僕の護り手だ
どういう力を持つのか まだイマイチ僕にも分かってない
ただ木面先輩の家について 家に出ようとしたモノ達については動かしてくれた
三人の中の一人と関わりあるモノ達であったそうだ
ごくごく普通の人間でいる為に 僕の父と母と夢鬼と呼ばれるモノまでが 本来僕が持つ何かの力を封じたのだと言う
それぞれの理由で弥生もアキもタマキも僕に期待をかけているらしいんだが
この僕にはなんにも分かってない
僕は霊媒でもなんでもない
ただ・・・・
夢を視(み)る
さて僕を無視してお三方は会話を進めていた
「普段はおとなしく家でお留守番している 良いコのあたし達だけど
相手は怨霊だし これは緊急事態
付き添ってあげても掟破りじゃないわよね」
などと弥生さん
「速攻で一口で喰われそうだしねえ やれやれ手のかかること」
タマキとアキはうなずき合っている
まあ確かに一緒に居てくれたほうが有り難いが
彼女達は彼女達が他の人間にも姿を見せてやってもいいーそう思わない時には 僕と僕の母親以外には姿は見えない
彼女達の判断も実に気紛れだが