夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「僕の出逢い」

2015-04-21 14:44:24 | 自作の小説
地獄だった・・・・・ 息が止まりそうで 止まらない  気が狂いそうなほど熱い

僕は燃え続けている 卵の殻が焼けるような もっときつい匂いが鼻をつく

火はずっと消えない   どれほどの時間 僕は燃え続けているのだろう

何故 気も失えないのか     何故
誰も気づいてくれない  いっそ狂えたら

どうして狂うこともできない!

へとへとだ いつになったら死ねるのか





「あなた もう死んでいるけど?」涼やかな声がする

え?!と思った
僕はもう・・・死んでいる? 死んだ・・・・・


「炭化して真っ黒だったみたいね そろそろ燃えるのやめたら?
燃えるのが趣味のドMなら好きにしたらいいけど」


僕は燃え続けることを止めることができたのか?!

僕の姿に皮膚が戻ってきた まだ焦げ臭いにおいは残っているが

死んで・・・いるということは「僕」は 僕は!

「『あなたの知らない世界』へようこそ」

僕より年上らしい めちゃくちゃ美人のこのお姉さんもー



「できるなら とっとと成仏した方がいいわよ
暇すぎるし 退屈だから幽霊でいるのは」



僕の「死」を教えてくれた幽霊美女


ごくたまに幽霊になった僕でも腰を抜かすほど 恐ろしい姿にもなる
いかにも幽霊らしい姿にもなれる


そんな彼女に迷惑がられながら 僕は幽霊修行中だ

「と ある暇つぶし」

2015-04-21 09:07:37 | 自作の小説
あたしは死んだ 死んでる 死体は醜い 膨れ上がり腐っていく 崩れていく
自分の死体をじっと見てた
何処にも行けないから

自分の死体の足元にずっとうずくまっていた


部屋には誰も来ない 新聞すらとってなかった

家賃や水道光熱費は銀行から口座引き落とし


職場はー

職場の人もどうしてか来ない
長いこと欠勤してるのにー


欠勤になっているだろうに


あたしは動けない

見たくないのに自分の体が醜く崩れていくのを見ているしかない
動けないから



辛くなって窓の外を見てみた


朝が来て昼になり夜が来る その繰り返し


ところであたしは誰

なんで死んでいるの 

あたしだってことしか 死んでいることしか
わからないなんて 嫌だ 気持ち悪い


自分が誰かわからないのがひどく嫌だ


「君は動けるよ 動こうと思ってごらん」

窓をするりと抜けて入ってきた青年が言った

「大丈夫 僕らもみんな最初はそうだったんだ  だけどちょっと頑張れば動けるようになるから」


「みんなって?」あたしが尋ねたら青年は窓際を指さした

そこにはいつの間にか随分綺麗な女性がいた

あたしより少し年上なのだろうか
白い肌 長い黒髪

青年は人なつっこそうに笑う「僕はずっと燃え続けていてね 熱くて苦しくてーきつかったなあ」

青年は燃えていたようには見えないのだけれど

「あの人がね その火を消してくれたんだ だから僕はもうへっちゃらだよ」

「もう死んでいるんだから あとは自分の気持ちよ  頑張ったら思い出せるから 
最初はね 自分の死因が思い出せないってこと多いみたい 特に殺された場合は」


ちょっとうるさそうな表情で でもその女性が教えてくれた

「僕を殺した人にさ きちんと仕返しもさせてくれたんだ 」

「いきがかり上ーね ほっとけなかっただけよ だからってなついてこなくても なつかれるんならー犬のほうがいいわ」




「だからーね 君も仕返ししたくない?」


彼等は幽霊仕置き幽霊ーみたいなことを成仏できるまでの暇潰しにしているーと言った

自分を殺した相手に仕返ししたのに 何故か成仏できず
困っている幽霊さんをお手伝いしていると


「何しろーさ 世間には悪い奴が多いんだ」


死んだからって退屈だけはしないよー良かったら仲間に入らないかーと青年は言うのだった

「まずはお試しとしてー」
あなたの恨み引き受けましょうーと それは明るく青年が言った