夢見るババアの雑談室

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ほぼ身辺雑記です

宮部みゆき著 「ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷」下巻 新潮文庫

2015-04-05 14:03:32 | 本と雑誌
ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社




裁判が進むにつれて 次第に明らかにされる柏木卓也という少年の普通ではない言動

森内恵美子を中傷し さらには暴力でも傷つけた垣内美奈絵の顔に 自分と同じモノを見る三宅樹理

彼女は反省するだろうか それとも心は闇に落ちたままだろうか


柏木卓也が死んだ夜 大出俊次が自宅にいたことを見る第三者の存在も明らかとなり 大出俊次は柏木卓也の死に無関係なことはー大出俊次の無実は ほぼ明らかとなる


この裁判に弁護士として尽力してきた神原和彦

彼こそが柏木卓也が飛び降りた屋上に居合わせたことが分かる


柏木卓也は身近な人間(兄の宏之や神原和彦)を死に追い込もうと考えていたらしいことが 人に記憶されている



柏木卓也は自分が死ぬのではなくて 神原和彦を自分から死なせようと そうさせることに喜びを感じていたらしかった

しかし事は卓也が思うようには操れなかった




おまえなんか おまええなんか


自分以外の人間を自分より下の存在と見ている少年





大出俊次には無罪の判決
陪審員たちはー柏木卓也が柏木卓也を殺したーと


閉廷


そして中学三年の夏が終わる



それからー
この学校裁判で弁護士助手を務めた野田健一は教師として母校に戻ってきた
現在の女性の校長は 事件が起きた頃の校長先生だった津崎にどこか雰囲気が似ている
いまや伝説となった学校裁判について 当事者だった野田の話を聞きたいと言う

健一は言った「何でもお話できます」「どんなことでも」



同時収録「負の方程式」では成長した藤野涼子が弁護士となって登場
「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」を経て探偵となった杉村三郎と共演します

ある教師と中学生達 どちらが嘘をついているのか

中学生は恩師の為にも立ち上がったのでしたがー

藤野涼子は物語の終わりに「ソロモンの偽証」 学校裁判で弁護人を務めた神原和彦が自分の夫であること
その職業は「清らかな象牙の塔の住人ー学者ってどんどん浮世離れしていくから困っちゃうー」と 杉村に話す

「どっちの親にも孝行なお婿さんだし 子育てもしてくれる」
神原和彦は幸せになれたのだ

その不幸な生い立ちにもくじけず 生きている



映画化もされており 現在上映中です
映画化に伴い多少の変更 いじりーは あるようですが




宮部みゆき著「ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷」上巻  新潮文庫

2015-04-05 13:01:56 | 本と雑誌
ソロモンの偽証: 第III部 法廷 上巻 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社


中学二年生の冬 死んだ少年 柏木卓也
その死をめぐり流れる噂
配達された三通の告発状
その告発状に関わったらしい一人の少女は死んだ 浅井松子
松子の死に責任ある少女三宅樹理
三宅樹理は顔中にできたニキビのことで大出をリーダーとする井口と橋田 この三人にいじめられていた
その恨みから見ていない殺人現場に居合わせたと言い張る

その言い分を嘘と知りつつも検事として 三宅樹理を信じる側にまわっている藤野涼子

柏木卓也と{なんらかのつながり}があり 他校の生徒ながら弁護士としてこの裁判に関わる神原和彦

勝者なき裁判が幕を開ける

弁護側 検事側の証人がそれぞれに呼ばれて証言をする

学校の教師
元校長
事件をテレビで熱かった記者
少年課の刑事

子供達の保護者

大人たちも敬意を見守る


判事役の井上康夫の健闘

廷吏のヤマシンこと山崎晋吾の周囲への気配り

陪審員をかってでた生徒たちの物事のとらえかた


自分たちの手で真実を突き止める

先生たちをやりあい殴られても それを取引材料として 学校裁判への道を作った藤野涼子
その正義感

わたしたちは真実を知らなくてはいけない

それは柏木卓也がどういう人間であったのかーにもつながっていく


求めるものは「真実」


人はまた 自分にとっての正義も求める


知らず知らず あるいは意識的につかれる嘘



両親がかわいがっていた柏木卓也という少年

弱った蝶の羽をもぐことに喜びを感じるような性格にも見える少年


つまらないから学校に行かなかったー

人を殺すことにも興味があったような少年


柏木卓也は被害者だろうか?