

子供の頃 母は私に 「お母さんの本は 中学を卒業するまで読んではいけない」と言った
しかし本好き人間にそんな事が守れるはずはない(笑)
こっそり母の本棚から一冊 一冊 引き抜いては読んでいた
戸川昌子「大いなる幻影」「猟人日記」
笹沢左保「美貌の翳」
松本清張「点と線」
高木彬光「白昼の死角」
母が持っている本はミステリを中心に 時代小説あり 洋モノのSFあり ヒロイック・ファンタジーありと多彩だった
後に昼ご飯をヨーグルトひとつにして 浮かせた金を本代にし 母が持っていた本のシリーズモノ 作家の作品を集めるようになる私だが
そんな母の本の中に横溝正史「女王蜂」があった
貴人の血を引く孤島の美女
対するや 稀代のドンファン
その名もレッドアウルの謙ちゃんこと 死に損ねた特攻隊員 多門連太郎
ギリシアの神の如き―と形容が出てくる
当時 少女漫画家になりたかった私は これを漫画化したい!と思いつめ レポート用紙の裏に下書きを描いたりもした
私なら―大道寺智子が 山百合の花を断崖から海に投げる場面から始める
その横顔のアップから 背景に「彼女は女王蜂である」という一文を入れ それから題ページに
外せないのは智子が島を出て 宿泊するホテルへ登場する場面
金田一耕助が 風呂場で多門連太郎の肉体に息をのむさま
智子と連太郎の出会い
そして時計台での殺人
東京で華やかさをました智子の姿
大輪の牡丹のような着物姿
余計なモノはいらない
あくまで原作に忠実に
そう思ったのは私ばかりではなかったらしく
週刊マーガレットで岩川ひろみさんが漫画化をした
これは単行本にもなっている
ずっと後には サスペリアミステリーで たまいまきこさんが 漫画化されている
惜しむらくは 与えられたページ数が足りなかったか かなり話がはしょってある
で金田一耕助を漫画にしておられるのはJETさん「犬神家の一族」「本陣殺人事件」他この方はミステリ好きで エラリ―・クィーンやシャーロック・ホームズも絵にし原作を損ねることなく 漫画化しておられます
もう一人秋田書店「サスペリアミステリー」を中心に描いておられる長尾文子さん
「悪魔の手毬唄」「本陣殺人事件」「八つ墓村」「本陣殺人事件」他 かなりな横溝作品を漫画化しておられる
いつか彼女が 「女王蜂」を漫画化してくれないかと思う
彼女は横溝作品の雰囲気を絵にすることが巧みなのだ
「女王蜂」は横溝先生の作品との最初の出会いであり 今でも思い入れがある
合った配役で必要な場面を削らない映像化された「女王蜂」も見たいと願っているけれど
で 今かなり叩かれている沢尻エリカさん
この方 大道寺智子役なんてどうかな―と今なら思ったりするのです
CMや映画 ドラマで見せる様々なガラリと雰囲気の変わる顔
しかし 多門連太郎がいない
とび抜けていい男
金田一耕助役も誰がいいでしょうね
よれよれ さえない男
だけどしんからさえないのでは駄目で
あ 金田一!って思える俳優さん
誰かしらん