管理人つきのしらぬいハウス そこへ様々な事情から集まった人々
しかも台風の通り道
勝手に入り込んだ逃亡者
キレかかっている管理人
不倫のカップル
映画研究会メンバーの大学生
甥を連れたフリーライターの青年
離婚を考える人妻
釣りの好きな妻に死なれた男
火事 台風 人災
それらの中で人は死に助かり 自分を見出だす
小説は終わっても まだ続きを読みたくなる 想像してしまう そんなお話です
管理人つきのしらぬいハウス そこへ様々な事情から集まった人々
しかも台風の通り道
勝手に入り込んだ逃亡者
キレかかっている管理人
不倫のカップル
映画研究会メンバーの大学生
甥を連れたフリーライターの青年
離婚を考える人妻
釣りの好きな妻に死なれた男
火事 台風 人災
それらの中で人は死に助かり 自分を見出だす
小説は終わっても まだ続きを読みたくなる 想像してしまう そんなお話です
「何すかしてるんだ 野獣の親玉が!」 二人がかりで橋本を取っ組み合いに巻き混む 「いっそたたんじまえ!」 砂の上 で 大きな男達が暴れている しかも楽しそうに― 早智子は言った「ガキはほっといて帰ろうか?」
「お弁当食べてからにしない?」と美智留
珠洲香の家に前日から泊まり込み 三人で頑張って作った絶対に二度とは作れない超絶弁当である
「それもそうね」 空揚げだけでも洋風和風中華タンドリー・チキン 竜田揚げと5種類 卵焼きはだしまき ひと口ミニオムレツ 普通の卵焼き フライ 天ぷら 煮物 肉団子甘酢あん 肉のたたき 色々な具の見た目も鮮やかなおにぎり 巻鮨 いなり寿司
さつまいもあんの寒天 ゆで卵
もう作った人間も何をどれだけ作ったか覚えていない
「エビチリ~ ひと手間かかったけど美味しい~」 美智留が悲鳴を上げる 「でしょぉ~料理には省いちゃいけない手間もあるの」 「うんうん うわ~シアワセ」これは早智子
と背後から情けない声の三重唱 「あの~俺たちのお弁当は~」
「あ ほっしい~」と美智留が見せびらかす 「う~ワン!」仁慶が吠える
美智留はずっこけた 「あの・・・」
「うん?」輝く頭むき出しで黒のサングラスかけた仁慶に 美智留は確認した「本当にお坊さんなのですか」
「ギャハハ!もっと言ってやって」 高倉が笑い転げる
「あ・・・傷ついた わたし わたしは 明るく健全な青年なのに」
「そうそう明るいのは頭を見れば分かる」と橋本
「お前達は~~~」 拳をふりあげかけ 「それ何?」
今にも口に運ぼうとしていた美智留は やや焦りつつ「かぼちゃを裏越しして生クリームたしてオーブンで焼いただけ・・・だけど」 仁慶は美智留の手からソレをひったくった
みんなの注目を集めながら ひと口で飲み込む
「う・・・うまい!」 「おっもしろい人~~~」ウケまくりの早智子
しっかり食べたその後はスイカ割り
ビーチバレー
またたく間に時間は過ぎていく
残ったお弁当は男三人へのお土産に
「ああ楽しかったな 又行きたいな 泊まりがけもいいな~」
高倉は誰にともなく言う 帰りの車内は高倉が運転 横に早智子
二列目に仁慶と美智留 三列目に橋本と珠洲香が座った
美智留は何となく仁慶が気になり それで気付いてしまった
で珠洲香の様子を伺うのだが― 彼女は疲れたのか 黙りがちで やがて瞼が落ち その頭は隣りに座る橋本の肩の上に
そして橋本は彫りの深い顔に優しい微笑を浮かべる
見てはいけないものを見てしまった気に 美智留はなった
橋本と珠洲香 二人はお似合いだった
どうも感情が見えにくいところもある珠洲香だが 信用していない男の横で無防備に眠ったりはしないはず
珠洲香の家の前で女三人を降ろし 男三人は帰って行った
「疲れったね~」「うん」「早く寝よ」 迎えた母の淹れてくれたお茶を飲み 海水浴での様子を少し話して 交替でお風呂に入り部屋へ引き上げる
海に入った後のだるさが 体に残っていた
珠洲香は起こされた時を 入浴中も布団に入ってからも 幾度も思い返した
肩にかかる大きな手に軽く力が入り そうっと珠洲香の体を揺り動かしながら 「着いたよ 珠洲さん」
開けた瞳の前に男の唇が見えた
もし あの時まわりに誰もいなかったら 二人きりだったら どうなっていただろう
自分の唇に指で触れ 珠洲香は男の唇を想像する
何か焦れて自分の指を噛む