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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「冬の残照」1

2006-11-07 17:46:33 | 自作の小説

僅か十代である意味人生を諦めた男がいた

そんな生き方を選んだ自分を厭い 安易に走った己をおぞましく思い すっかり夜と女の匂いが体に沁みついた頃 彼は春を見た

ただその春に手が届こうとは かけらも考えなかった

一 陽だまり

この春初めて自分のクラスを持った村井千花(ちはな)は 心弾む日々を送っていた

クラスの学生で 顧問を引き受けているクラブの新入部員でもある生徒達が 学園祭の準備の手伝いに 数名家へ 学校帰りついてきた

千花は嫁いで一年で未亡人となった姉の家に同居していた

「賑やかねぇ 千花さん どうしたの」

廊下に出てきた姉の鶴子に 千花は ちょっと唇を噛んでから早口で言う

「お姉様 学生がインクを被っちゃって ちょっとお風呂お借りします」

「楽しくていいこと」その時 鶴子の目が光った事に 千花は気がつかなかった

そしてそれが全ての始まりとなる

「大丈夫 田宮さん インク落ちるかしら ここに着替え置いておくから ゆっくり入ってね」

「ご迷惑かけて すみません」

「あとで お家まで送っていくわ」

手から首に散ったインクを洗い落として 失敗だァーと 田宮かずひは溜め息をつく

この春 高校に入ったばかり 担任の先生は若く美しい お姉さんに欲しいような女性だった

文芸部の顧問と聞きアイドルのおっかけやるように入部

五月に早速学園祭があるので 張り切ってお手伝いに来たのだが―

級友の片野弓子が 蓋がきっちり締まってないインク瓶を ふざけて振り回し その中身が座っていた かずひにドバッとかかったのだ

すっかり汚れを落としてから 湯船につかる 何処かの旅館のように 豪華で広々とした風呂だった

「先生のお姉さんってお金持ちなんだ」

手足を伸ばして寛いで・・・上がりにシャワーを浴びる

少女から若い娘に変化しつつある伸びやかな細い手足 膨らんではいるものの まだかたい胸の線

開花後の美しさを予感させる蕾の美しさ誇り高さが肢体にみちていた

土曜の昼下がり 高窓から日が差し込む

もう一方のはきだし窓からは 庭へ出られるようになっている

かずひは知らず その姿から目が離せない人間がいた

―こういう事か あの人はなぶるような真似をする―

青年は舌打ちをする

さっき鶴子から頼まれたのだ「もう雪柳が咲いていたの ひと枝取ってきてちょうだい いいものが見られるかもしれなくてよ」

その時の変な笑いの意味が判った

切った雪柳の枝を折りそうになって 我に返り踵を返す

だが彼には鶴子に逆らえない事情があった

―ふん 男妾さ―苦いものが こみあげる

―あの少女は春そのものだ 許されぬ花だ 夜の生き物は 明るい光りにこがれてはいけない―

男が思えば思うほど 少女の姿は彼の心に住み着き まるで 彼が諦めた人生のように浮かぶのだった


「紅葉狩り外伝―妖怪始末人―5―」

2006-11-07 15:09:31 | 自作の小説

「どういう事だ?」

「夢なのさ」

怪訝そうな顔をする俺に 亜貴欧は微笑む

「中国には夢を見る巨大な蛤がいるそうな その名も蜃気楼の蜃という・・・

この島は それさ 貝は ずっと眠っているが その夢と人の夢が混ざり 夢を取り込み 人を取り込む

だから最後は 誰もいなくなる」

夢が人間を食うのか

人間の夢を現実とし 現実を夢とし 一切合切飲み込むというのか

「そんなのありか?」

「あるんだよ」亜貴欧は肩を竦める

では島ごと退治しなくてはいけないのか

どうやれば治まるのか

「島を消すしかないなぁ」と亜貴欧は呑気だ ここが こいつの恐ろしいところだ

「迷子の大蛤の はた迷惑な赤ちゃんだ 親蛤に呼んでもらうさ こういう伝ては また役にたちそうだし」

「派手な立ち回りはなし?」

「体力自慢の先輩には悪いけど」

「お前 いま小声で体力だけ自慢って言ったろ」

「変なことだけは聞こえるんだ」

「こらっ」

ひとしきり笑ったあと 真顔に戻り亜貴欧が言う

「悪いけれど叔父さんは駄目だ すっかり蜃と同化してしまっている」

では叔父は永遠に夢を見続けるのか 醒めない果てしない夢を

このまま この島が成長し続けたら日本さえ飲み込んでしまうかもしれない

「中国のものは中国へ 4000年の歴史に任せるさ」

こいつは中国はのまれてもいいのか?!

「こうしてる僕達が 誰かの見ている夢じゃないなんて誰にいえる」

最近理解できないことは「魔法」と思い込むことにしているのだが 亜貴欧のワケの判らない魔法で 島は消えた

俺は龍の背中に乗り 本州へ戻った

そして とめどなくデカくなった蜃が 地球を飲み込む夢を見た

(例によって竜頭蛇尾で終わります

ごめんなさい)


おかき食べたい!

2006-11-07 11:26:20 | 子供のこと身辺雑記

おかき食べたい!
おかき食べたい!
水曜日がバス日帰り旅行の娘にと 夜 塾帰りにお菓子を買いに行きました

なのに娘ってば 潰れるとヤだから ガムだけでいい

そう言って家で食べるおやつにとポテトチップスを買った・・;

醤油味が食べたくなった私は おかきに おせんべいを

ついでに同じ建物の二階で ビデオ借りてきました

で 夕食代わりに おせんべい囓っていたら

主人も早速手を伸ばし 1枚食べて「かたい」と

いつもは 知らない間に袋カラにしてるのに残してました

私は平気だもん!

勝ったわ(笑)

そして甘辛ソフト

ふふん 本当に好きなお菓子は主人がいない時に食べるのよ?!(爆)


群ようこ著「アメリカ居すわり一人旅」角川文庫

2006-11-07 11:14:31 | 本と雑誌

群ようこ著「アメリカ居すわり一人旅」角川文庫
学生時代アルバイトで 費用を貯め アメリカ暮らしを敢行した その爆笑記録

筆者を養女に従った情の深い元女優の肝っ玉おばさん

美人のスーザン

嫌味な秘書

筆者は いきいきと その滞在で出会った人々を描写している

毒舌の中にも愛情を持って

おばさんが近くに住んでいたとはいえ 度胸と勇気に乾杯を♪