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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「運命の剣 のきばしら」PHP文庫

2006-07-15 14:20:20 | 本と雑誌

ひと振りの刀{のきばしら}の誕生から終焉までを 7人の作家のリレー形式で綴った連作時代小説

中村隆資作 第一話「敢えて銘を刻まず」 刀鍛冶・助平は 切ないくらいに物欲しげな顔をする若者へ 報酬を受け取らぬことで神への奉納太刀を打つつもりで おくる

思うところあって無銘にしたその刀は ひょんなことから 「のきばしら」と名付けられた

それには犬 黒丸がからんでいた

鳴海 丈作 第二話「犬死将軍」 時代は鎌倉の末より移り 室町中期 涼やかな若侍は腕を買われ 和泉屋の世話で 赤松入道の屋敷で暮らすこととなる 彼は弟達の復讐はたすべく足利義教の命を狙っていた 勝四郎の運命に関わるのきばしら

火坂雅志作 第三話「利休灯籠斬り」 独特の美意識で生きた千利休 彼はのきばしらを得たことで若き日に女と知らず斬った相手を思いだす 盗賊の頭であった美女 その生き写しの娘に親の敵と言われて―

不完全な中にこそ 真の美がある

と彼は言う 彼の辞世の句は 堤ル我得具足の一太刀 今此時ぞ天になげうつ

宮部みゆき作 第四話「あかね転生」

時代は江戸 紅一点・宮部嬢の登場である

子はないが仲睦まじい夫婦が 災害にて頼るべき家を失った子を育てることになる あかねと呼ばれる口もきけぬ娘は 子牛ほどもある鬼丸という犬と仲良しになった

そこへ持ち込まれた刀は あの のきばしらであった

喉を斬って殺す盗賊 彼らが夫婦を襲った時あかねに前世の記憶がよみがえり―

前三作のバトンを見事に引継ぎ 丁度半分 続く三作への 中継地点となっています

安部龍太郎作 第五作「斬かん刀」

人斬り以蔵の斬首で終わる短い生 そこへ絡む死の匂いのする女 勝海舟 坂本竜馬 幕末の実在人物がさりげに出てきます

宮本昌孝作 第六話「明治烈婦剣」 元は武士の娘であったが今は子守のけい 彼女の最後の兄弟も無惨に目の前で撃ち殺された 彼女は仇打ちの為に剣の修業をしながら仇の行方を探す

柔道の創始者・嘉納治五郎 その弟子・西郷四郎 物語を温かく彩ります

東郷 隆作 最終話「残欠」 第二次世界大戦末期 人の命を救い 多くの名刀を救った のきばしらは 平和な世 形を変えて残る


山田風太郎著「忍法創世記」小学館文庫

2006-07-15 03:36:26 | 本と雑誌

不仲な柳生と服部を平和にする為に選ばれた柳生三兄弟と服部三姉妹

そこへ邪魔が入る

彼らは戦うことになるが 若い男女

操り手の思い通りにはいかぬ

けれど 死は訪れる

奇妙テキレツな忍法・剣法 作者の独壇場です


「暗号名はゼロ」―4―

2006-07-15 00:02:59 | 自作の小説

そもそも どうして父の研究が狙われるのだろう

傷ついた皮膚の再生 人命を救う為の無害なものではないか

それを口にすると ゼロは言った 「世の中は善人ばかりじゃない」

「?」

「つまりね 再生する皮膚を強化すれば 人間を武器にできるんだ 傷つかない兵士も作れる 何世代かに強化を繰り返すことで遺伝子が安定するかもしれないとすれば 無敵の軍隊を持つことも可能になる

その研究を独り占めすれば よそさまに高く売ることもできる」

「ば・・・馬鹿げてるわ」

「血友病の子を持つ親も そう思うだろうか」

「実験段階にはいってないのよ」

「そう思うか?」

冗談じゃない! 憤慨した私は ゼロの声が含むものに気付かなかった

助けたいものは命

でもそれは両刃の剣なのだろうか

ある日ゼロは隠れていても進展がないなら うってでてみようか―と言い出した

つついて掻き回してみようかと