ひどい降りだった
雪が目にも口にも入り込もうとする
少女は自分を守る男を不安げに見上げた
黒いサングラスの男は頭も歯も雪より輝かせ ニカッと笑った
そうして 少女を逆さに抱くと一回転
何と頭で雪上を滑り始めたのだ
少女は思った 幾ら輝く磨き上げた頭とはいえ それをスケート もしくはスキー代わりにするなんて
できるなんて
こんな事あってもいいの~~~?!
あれから十年経つが あの時の悪夢のような冗談のような逃避行は 現在も彼女の記憶に刻み込まれている
彼の名は・・・暗号名ゼロ
まさか暗号名が髪型からきてるなんてコトは無い・・・よね?! まさか・・・にもホドがあるってものだし
でもって呼び出しを受け 外部の客用面会室へ出向いた彼女 レベッカ・アンダーソン博士は ずっこけた 何故なら あの十年前のゼロが待っていたから
「お嬢ちゃん」 相変わらず頭も歯も白く輝いていた・・・
彼女が非業の死を遂げた父から受け継いだ研究が 狙われているので 護衛にきたのだという
「美人になったなエンジェル」と この年齢不明の男は言う
「あなたは変らないわ」 心の底から正直にレベッカは言った
と急にゼロがレベッカを押し倒す
何かが飛んできた ゼロの頭は それを跳ね返している
―弾丸!
ゼロは反撃を始め 相手を仕留めた
彼にレベッカは尋ねた「あなた人間?」
“世界統一同盟” なる名前の組織があるらしい 合い言葉は「世界は俺っちのモノだよ ~ん」とか 話を聞いていてレベッカは眩暈がしてきた
しかもそんな間抜けな名前の組織の企みで父は殺され 彼女は誘拐されかかったのだ
ゼロは言う「君の命は俺が預かる」 「預けても利子はつきそうにないけれど」
それでもレベッカは微笑んだ
暗号名はゼロ 彼の活躍は これからである 多分・・・