のんびりぽつぽつ

日常のこと、本のこと、大好きなこと・・・
いろいろ、と。
のんびりと。

一日過ぎて。

2009年08月25日 22時37分08秒 | 山本耕史さん
外見の美しさ。
それだけで人は惹きつけられて行くものだろうか?

・・・・・抜け出せないでいます。
「ドリアン・グレイの肖像」
甚だ怪しい記憶力を頼りに、昨日を振り返ってしまってます。
何回も。

あ。今日のほうが目一杯感想(の、ようなもの)を書く気でいます。ネタバレありです。
新鮮に観たい、まだ初日に至らない方々、どうぞお気をつけくださいませ

昨日の私。
ガチガチに固まって椅子に座り、
ガチガチに気持ちも固まったまま舞台は始まりました・・・
自力観劇初体験だったからね。
ストレートプレイでもミュージカルでも同じだったろうな。
緊張で視野も狭まる~
暗い舞台を睨んでた・・・と思います・・・・(苦笑)


スタートはピアノの生演奏。
そこで姿を現す彼は、「誰?」
ものすごく歳をとったボロボロの人に見えたのだ。
最初にここを持ってくるなんて思ってないし、
も、ガチガチだったんです。緊張MAX!
背を向けて、そこに有る「絵」にナイフをむける。
そこで初めて「ああ、ドリアン・グレイだ」と気付く。


そして、その「絵」が描かれた時に遡る。

ヘンリー卿とバジルの怒涛の会話。
それにまずメチャクチャ怖くなった。
あの。。
正直に言います。
私、だめなんです。海外文学。
今回は山本耕史さんが舞台だ!ってんで原作読みましたけど、
ええ、とっても苦労しました。
あの文体、話運び、そして・・・・・名前・・・・・
だから。
19世紀そのものの会話の運びに、ものすごく「こりゃ大変だ!!」って思った。
この舞台、お話判るんだろうか?
難しくて困るんじゃないか?・・・・と・・・・
でも。
その次にひょいっと出てきたドリアンが、
明るいドリアンの声が、「ふうっ」と一息つかせてくれた。

始まりに、確かにドリアン・グレイがほっとさせてくれてたんだと思う。
(耕史くんだ!とは、不思議と思わなかった。声も、彼の声だけどTVと違う。発声がきっと全く違うんだろうけど、なんていうか、、、
とても判りやすくてハッキリしていて・・・うーん・・・なんていうんだ?
生の合唱を聴いていてその歌詞が気持ちと一緒にはっきりと聴き手に届くっていうあの状態。/これじゃ私しかわかんないかなあ。。)

声に感情をきちんと乗せて聞き手に届けてくれる。
そういうこと、かな。
舞台は遠い席からも観ている人が居て、当然「アップの表情」なんて見せてくれないから、
やっぱり聞こえる声も本当に大事なんだな、と思う。
そこに気持ちが「見える」ととても判りやすくなるんだ。言葉って。

そこから始まる、ヘンリー卿のドリアンに対する言葉。ことば。
絡めとるように向けられることばに、簡単に絡め取られてゆくドリアン。
ちゃんと、言葉が頭に入ってきた。
ああ、そっか、と意味を理解することができる自分にほっとした。

原作をものすごく判りやすく作り直してくれた感じ。
要所要所、そぎ落とされて浮かび上がった部分のみで舞台の時が進む。

昨日書いたバジルをドリアンが刺殺してしまう場面。
あそこは、静かに短剣を手に持つドリアンが辛そうで苦しそうで、、
そっと近づくドリアンの姿に思わず涙してしまった。
「やめて!」と止めたくなる辛すぎる場面。
ところが、シビルの弟ジェイムズをドリアンが射殺してしまう場面。
そこは、何と言うか「ああ、やっちゃった・・・」という印象。
銃口が、何だか真正面の私に向けられてるよーで怖くて(いやそんなこと絶対ないです。後ろの方だし舞台から見えるわけないし・・・)ど迫力ではあったんですが。
何だか「組!」で刀を持った相手に銃を突きつける、あの武士道にあるまじき行為?それをふと思い浮かべてしまった。
やっぱり飛び道具って・・・キライだ・・・

話がそれました。

そうして、ドンドン落ちていくドリアンの姿。
身体全体が苦しそうで悲鳴を上げているのに笑う彼。

猛烈な孤独感は、ラストヘンリー卿に『過去を殺す』と言ったときに押し寄せて。
最初に貰った指輪を外し、ヘンリー卿に返すドリアン。
そしてラスト。

ラスト。。。。
苦悩の末に刃を絵に向けるドリアン・グレイがいました。

・・・・そして・・・・

これは、どう理解したらいいんだろ?
ヘンリー卿は彼を見て何を思ったのだろう?
倒れたドリアンに指輪をはめたとき。
黙って去る彼の心は・・・・?

あれ?ここは、、本と同じ。私は丸投げされて混乱してる?

気付いたというか何となく判ったかもしれないこと。
ヘンリー卿は、傍観者。
外からじっと変わって行く作品を観ている人。
ドリアンは、自身を絡め取られて内側でもがく人。
外と内。

この舞台は。
絵の扱い方も「なるほど!」と思ってびっくりしたけれど、
観る側に思いっきり想像力とそして課題を突きつけてくれる気がする。

一日たって、
繰り返し思い出してもそれは私の記憶の中の舞台であって、
昨日のそれとは少しずつずれているんだろうけれど。

そしてふと思った。

美しい。それだけで人は1人の人物に惹きつけられて人生まで壊すものだろうか?

美の探究なんて、私には向かないよー。
ってか、わからんよ、そんな事。
だけど何だか結局そこまで行くのか?っていう
小難しい頭になりつつある。

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