のんびりぽつぽつ

日常のこと、本のこと、大好きなこと・・・
いろいろ、と。
のんびりと。

次ぎにナニを読もうか困って。

2010年03月20日 08時31分55秒 | ★★東野圭吾
「使命と魂のリミット」(角川文庫)を読んで。
最近の東野さんは、ストレートに「いい」って思えないものが増えたな、と思う。
何ていうか、登場人物に対する微妙な「ずれ」を自分の中に感じて、
ラストまで読むのが辛いときも多い。

この作品は、途中から穣治にほんとに腹が立ってきて。
なんて身勝手なヤツだ!
とか思ったら・・・もお・・・。
だって、自分の手で行わずに医者にやらせようとする。
なんてやつだ!って・・・。
(いや、もちろん自分の手で下すのも絶対だめだけど。)
夕紀の廻りの大人の身勝手さも目に付くし・・・

でも、それでも最後まで読んだし、最後はほっとしたし面白かったんですけど、ね。
読み応えはばっちり、充分にありましたので、満足もしてますが。


ってぐだぐだ思って本を閉じた後。


次ぎに手にする作品をどれにするか困ってしまって。



ついうっかり・・・(アレ?)。

「名探偵の掟」なんか読み出しちゃった。

ほんとに、ついうっかり・・・・なんだよなあ。
だって、これはある意味ホントにフザケタサクヒンで・・・・


そして思う。毎度の事だけど。



同一人物か?この作者!

関西人の底力っていうか、東野圭吾の広すぎる作品群って言うか、なんていうか・・・

爆笑と同時に投げ出したくなる本っていうのも、東野さんならではといえばいえるんだよなぁ。


・・・・それにしてもよくこれを映像化したね。深夜帯とはいえ、、映像にしようと選んだ人の感覚が楽しいけどわからない~~~けどたのしい~~~
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「赤い指」

2009年10月02日 14時52分24秒 | ★★東野圭吾
東野 圭吾 著 講談社文庫。

久々の1日で1冊一気読み(笑)
最近、苦手分野だったり文庫本なのに1000ページを越すものだったり、
そんなのばっかり読んでいたから、
そういえば、こういう勢いで読むこともあったよね~
なんて、自分で自分の行動を思い出してみたり・・・・・(苦笑)

さてさて。
以下ネタバレありです。
まだ読んでいらっしゃらない方は推理小説ですからお気をつけて




では、いきます。
(ああ、こういう書き出しも久々だ・・・・/^^;)



加賀恭一郎シリーズ!
久々の、ほんとうに久々の彼のお話は、私事でいきなりかなりヘビーな導入部分。
お父さん・・・辛い・・・。
久しぶりにあった、加賀恭一郎という刑事は、随分とどっしりと落ち着いて、
上司の覚えも良く、更に頼れる存在になっていた。
(犯人に惚れてしまったりしてたのにねぇ~/笑)

それにしても。
事件の中心にいる家族3人。
この家族の身勝手さに正直心底腹が立った。

一番気になるのは嫁であり母であり妻である人。
この人は、自分の過ちに気付くのか?
自分の犯してきた罪、仕打ちに心底から気付くことができるのか?

そこを気にしだすと正直楽しめない。
楽しめないんだけれど、、
でも。気になる。
結局息子を追うように連行されていったけれど・・・
あなたはきちんと自分の罪に気付けるのか?
(私も妻で嫁で母だからね・・・/)
ああ、苦しい・・・・・



恭一郎とその父親隆正。
このふたりの関係には、もどかしくてたまらなくて、
ある意味、女親、妻のいない家庭の悲しさも感じてしまう。
つなぐ立場になれたかもしれないいとこ、松宮の存在。
でも、時間がなかったね

いや。
そんなもの必要なかったか。

将棋。
最期、桂馬を握っていた隆正という人の不器用さをイヤというほど感じてしまうのは、
私も歳をとったのかなあ~(苦笑)


あれ?
これはネタバレありといえるのか?

微妙に焦点がずれてるかもしれないけれど。

子の罪に対する身勝手な親という人種の行動。
それを見つめる悲しくて辛い母の行動。
犠牲になる子ども達。
でも罪の責任は犯した本人にあると思うよ。間違いなく。

赤い指が、辛すぎる・・・・

そんなことが頭の中でグチャグチャ入り乱れた。

「刑事の仕事は、真相を解明すればいいというものではない。
 いつ、どのようにして解明するか、ということも大切なんだ」

加賀恭一郎の大きさ。更に懐の深くなった彼を見る事ができた。
満足。

しかし。。次回作「新参者」はハードカバーじゃないかいな。
うわぁ~~~ん。
文庫化するのはいつですか~。講談社さん~~~~!!!!!

 今回織り込まれたチラシに加賀恭一郎シリーズのリストが載っていて、
 それはとってもうれしいなあ~。
 ざっとみて、ああ、よかった。読んでいない作品はとりあえずない♪
 なんて、ひとりほくそ笑んでおりますよ
 再読リスト、だな。このまんま(笑)
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「探偵ガリレオ」「予知夢」

2007年09月18日 22時53分48秒 | ★★東野圭吾
東野 圭吾 著 文春文庫

直木賞受賞作「容疑者Xの献身」って、シリーズ物だったのですね。本の帯にそうあって、びっくりしました。
単純に、、東野圭吾病で本屋さんをうろうろしていて手にした作品だったんですが・・

帝都大学理工学部物理学科助教授、湯川学。警視庁捜査一課草薙俊平が、不思議な不可解な事件にぶつかるたびに知恵を求めてたずねる友人。
そうして、事件の概要と不思議な出来事を聞き、読み解いていくのが湯川の役どころで、物理を駆使して予知夢や火の玉、人体発火(?)等などの、種明かしをする。
短編が集まって2冊。
どれも、とてもおもしろくて、さすが理系で関西人の東野さんだと、改めて魅了された

東野さんのシリーズっていうと、どうしても大好きな「加賀恭一郎」を思い出してしまうのですが、、雰囲気が全然違う。
物理学者である湯川の位置づけが探偵の立場だからだろうか、加賀は刑事だから事件に直接関わり、ずっと生臭い現場に立ち続け、加害者にも被害者にも直接向き合う「重さ」があるのに対し、湯川学は、やっぱりどこか学びの世界の人間という雰囲気で、物語全体が、あっさりと柔らかい(変な表現かな・・
草薙刑事も、友人に語るからか、現場の「デカ」って雰囲気があんまりしなくて、、、、

サクサクと、とても興味深く楽しめた2冊でした。

重いものから軽いものまで。
東野作品は、幅が広すぎる~~~って思うけれど、またまたちょっと変わった推理物。この雰囲気はこれまた好きだなあ。大学でもなく警察でもなく、、、バランスが、いい感じ。

この秋、フジTVで映像になるそうで・・・
福山雅治さんも、柴咲コウさんも、二人とも好きだけど、、公式HPにいってみて、1つ、激しく疑問。。。
あのー。草薙刑事役は誰がやるんですか?
彼が、主役の1人では、、、ないんですか?
もしかして、、映像的には女性が良いってことで・・・草薙は女性に変わってそれをコウちゃんがやるんですか?

うううう~~、ん。どうなってるんでしょ?
東野さんも女性を出すことはOKしたってことですが、、それは草薙刑事と入替えるって、、、ことなんでしょうか????

私、男性の友人二人、で、作品のイメージ固まってるので・・・なんだかなあ。。。と、ちょっと不安なんですが

佐野史郎さんでは、いかれなかったのかな、とも、、思ったりするんですが。(探偵ガリレオのあとがきを佐野さんが書かれていて、東野さんが彼をイメージしつつ湯川を描いたってあったので。それはそれは、ぴったりだなあーと思ったわけです。まあ、、、それから年月たってるし、福山さんでもなかなか良さそうだけど、ね)

本は間違いなくおもしろい。
長編が苦手って人にも、これは短編だし、絶対お薦め!
長編も大好きって人にも、ちょっと楽しんで読みましょってことで、絶対お薦め!

「容疑者Xの献身」・・・文庫化は、いつでしょうか~~~~~
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怪笑小説・毒笑小説・黒笑小説

2007年09月01日 11時30分42秒 | ★★東野圭吾
東野 圭吾 著 集英社。

東野圭吾のお笑い3部作。。というか。
以前「東野圭吾は面白いよ」とこの道にひっぱり込んであげた友人が、すっかり東野作品の「笑い」にハマり、大人買いしてくれたので、薦めた私が逆に貸してもらった3冊です。

肩を震わせて・・・眼科の待合室で笑ってしまった・・・・・

痛烈に今を批判するものもあれば、
いきなりほろっとさせられるものもある。
バラエティって、これだよなあ~~なんて、全然違うことを考えてみたりして。
嫌な気持ちの悪い痛みがない、純粋な笑いなんだな。

内容を説明する必要はないし、やっちゃだめだなあ、と思います。
以前読んで本気で笑った「あの頃ぼくらはアホでした」
その雰囲気をそのままに短編小説集になった作品たち。

涙流して気持ちよく笑いたかったら、読みましょう
でも、鋭い「毒」とか怪奇な「笑」とか、ちょいとキツい「黒」も確かにあるからね。それだけ注意してね~
思わず「ほろり・・」となるお話もあります。



とにかく、笑う。
小説で、笑う。

「笑い」を書くことは推理小説を書くことよりも格段にエネルギーが要る。
そう、東野さんは「毒笑小説」の巻末で京極夏彦さんとの対談で話しています。
「泣かす」ことの方がずっと楽だよって。
なるほど、ね。うん。確かに、「文章」で涙流して笑わせられるってこと、なかなかないものね。

「怪笑小説」の解説で真保裕一さんが東野作品の説明を端的に「理科系」「関西人」こうおっしゃっているんだけれど。
ものすごく、よく、わかる。そうだよなーと、納得できてしまう。
そして、もしかして、理系の関西人っていうのは、作家として最強の組合せ?

・・・・という訳で、続いて東野圭吾著「探偵ガリレオ」を読み始めてます。

やっぱり、、理系の関西人は最強かもしれない。「天空の蜂」→お笑い3作→「探偵ガリレオ」と現在東野作品は続いていて・・・とんでもないわ。これ、同一人物なんだよね・・!!!
・・・だいたい、「白夜行」もだもんなあ・・・
おそろしい人だ。東野圭吾って作家は!
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「手紙」

2007年02月16日 23時17分23秒 | ★★東野圭吾
弟の大学入学資金ほしさに盗みに入り、1人暮らしの老婆を殺害して「強盗殺人」の罪で捕まる兄、剛志。家族は兄しかいなかった弟直貴は、それからずっと、「強殺犯の弟」というレッテルを貼られて生きていくことになる。
始めは「兄は自分のために罪を犯したんだ」という立場にいた彼が、進学、就職、恋愛、音楽・・と次々とその「レッテル」のためにあきらめざるを得なくなり、「レッテル」のために、彼がようやく手に入れた安らかな暖かい家庭も脅かされるに至ってついに、1つの答えを出すまでの物語。

塀の中から月に一度、手紙をよこす剛志と、それを受け取ることを次第に苦痛に感じていく直貴。
二人の周りの状況のあまりの違いが、直貴に対する差別と重なって辛くなる。
兄は、刑に服しているとはいえ、塀の中という特殊な環境とはいえ、今現在弟が受けている苦痛をまったく知らないでいる。想像もできないでいる。そんな、手紙の内容。

手紙の文面と直貴の生活の描写の対比が、あまりにギャップがあって、それが更に直貴の受けている差別を浮き立たせる。

でも、ね。
内容はとても辛くて、読んでいても自分自身が苦痛になるのだけれど。
由実子と平野社長の存在が、そして寺尾と倉田の存在が私を物語に引き寄せた。
真実を知った後でも唯一態度を変えずに直貴のそばにい続ける由実子。
真実を知った後、あえて直貴に「これが現実だ。当然だ」と突きつける平野社長。
多分、ただ1人の友である、直貴の中の音楽を見つけ出し導いてくれた寺尾。
服役の経験がありながら、地道に大学に進学しようと努力している倉田。

どうしたって。
こういう差別を否定は出来ない。
私だって、きっと同じ立場になったら直貴から離れるだろう。
この物語の「その他大勢」には、読者である私も含まれる。心の中の、普段は隠している物を突きつけられる。

そんな人の冷たさ、弱さ、無情さの合間に、ほんの少しの暖かさ、強さを隠すように置く。
それが、読んでいて絶望しないですむ、先を思い描くことが出来る根本なのかもしれない。

そして。
直貴の答えと、その先のラストに号泣する。
嗚咽すら漏れそうで、ほんとに困ってしまった。(布団にもぐって読んでいたから、家族がびっくりしてしまいそうで・・・)
ラストシーンは、今思い描いても泣きそうだ。切ないのだ。とんでもなく、桁外れに・・・

手に取るまでにかなり勇気がいるんだけれど、読み始めると止まらなくなる作品。
読み終えても絶えず問われ続ける。
その先は、何が見えてくるのだろう?
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「秘密」

2007年02月13日 23時15分24秒 | ★★東野圭吾
東野 圭吾 著 文春文庫。

関係ないんだけど、そっか。文春って文藝春秋なんですねー・・・って、今更気づいて納得してます・・・・(^^;)

読みました。「秘密」
導入部は、正直、きつかったです。
なぜかと言うと・・某小説のほうを先に読んでしまっているから。あちらにもそれなりの思い入れを持っており、加えて映像としての作品も観ているわけで・・・
それと重なる重なる・・・・
めちゃくちゃ・・・ダブってしまって辛かった。

本音は。。
こっちを先に読んでおきたかったな。
です。ハイ。(あちらを否定するわけではないし、今でもあれはあれでとてもいい作品だと思っていますよ。それも、本音。あっちもこっちも、、心は難しいです)

奇妙な夫婦の生活が始まってからの、直子の気持ち。
やっぱりそこに気持ちがぴたっとはまります。
もし、もう一度若い時代からやり直すことができるなら、私もきっと直子と同じ行動をとった。楽に流されず、その時の「今」を真剣に生きたい。しかもそれが、もしかして娘がよみがえってくれたとしたら、絶対にいい環境になるわけだから。

ただ、夫婦の視線で見ると、辛いな。

ラストはとにかく衝撃で。
この終わり方は・・・
平介の涙の重さ、辛さは同時に藻奈美・・・の覚悟の重さと辛さでもあるようで。
だけど、それがどうかは誰にも確認なんてできないんだよね。

最初のきっかけ部分を越えてしまったら、後は純粋に夢中で読んでおりました。さすがは東野作品。どの視線から捉えても、どの立場で読んでも、ほとんど手抜きがないように感じます。それは、被害者と加害者っていう立場でも。
だから余計に、先に読みたかったって思うのかもね。

面白い視点からの夫婦愛の物語でもあって。これが、一直線に「好きだ~きらいだ~」だと、非常に苦手で読めないんだろうけど、、東野圭吾というフィルターを通すと、とても心に響きつつ、不思議な世界に翻弄されつつ、すっかり虜にされてしまいました。

広末涼子主演の映画。これも、観てみたい。
原作とは違うって、文庫本最後の寄稿文(っていうのかな?)で書いてあるし、某作品も映像を大切に観ていて、どうしても導入部にその画面が重なっちゃうから、、それを消してもらいたい・・(消してもらえるものならば・・・)
半額(爆)になったら探しに行こうかな、映像版の「秘密」。
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「ある閉ざされた雪の山荘で」

2007年01月30日 22時41分55秒 | ★★東野圭吾
東野 圭吾 著 講談社文庫。

久しぶりの東野作品。
実は「手紙」と「秘密」も購入済みなんだけれど、どうしても読む気になれず・・(気力がないとこの2作品は無理な気がする・・・?)、ちょっと軽めなものはないかな~と、手にとってみました。

早春の乗鞍高原。そこにあるペンションに集められたのは、有名な舞台監督のオーディションに合格した男女7名。「豪雪に襲われて孤立した山荘での殺人劇」という設定で、3日間ストーリーを考えつつ演じるように、という指示をされる。
実際の殺人ではなくても、殺され役っていうのはいるはず?
犯人役は、外にいるのか、この7名の中にいるのか?
どういう基準で、どんな形で殺されるのか?
一体何人が?
同じ劇団に所属する6人に、別の劇団から参加した1人を含め、話は進む。

おもしろかったのは、地の文の使い方。
別の劇団から唯一合格して参加した1人が、所謂「探偵役」かな?という感じで、最初から一人称の単元が設けられ、ほかは三人称で物語は進むのだけれど・・・
ラスト、『探偵が人を集めてさてといい。。』だったっけ?その場面になると、微妙な違和感が現れる。
読んでいておかしくはないんだけれど、「あれ?あれれ??」って。

こういう進め方、表現力、さすがです。東野圭吾。

殺された人たちは果たして劇中での殺人なのか、実際に起こっている現実の出来事なのか、、?
ふっと、恩田陸の理瀬のシリーズを思い起こしつつ、似て非なる心理劇を読み終えた。

すこし前の作品だから、「悪意」とか「百夜行」のような雰囲気はないんだけれど、結構楽しめた。軽めに東野作品を読みたいな、って思った今回には大正解だったな、と思う。

「秘密」「手紙」さて、この2冊、どうしようー。
今年中に手がつくだろうか?気力が有り余らないと、、読めそうにないなあ・・・
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「悪意」

2005年07月31日 12時59分11秒 | ★★東野圭吾
東野 圭吾 著 講談社文庫。

人が人に対して抱く気持ち。
その中でも、負のエネルギーである「悪意」
それを、人は一体どのくらいの激しさで相手に対して抱くことが出来るのだろう。

この作品は、「犯人」は簡単にわかります。
そして、その犯人と、加賀恭一郎刑事とのやり取り、「何故?どうして?」がとても重要なポイント。
そのポイントを、いろいろと騙されながらも考えて考えて、ラスト。
読み終わっても、とても複雑な思いで、現実に置き換えて更に考え込んでしまいました。

加賀恭一郎が出てくる作品ってことで、前作で教えていただいた1冊なのですが、彼が何故教師を辞めたのか、その原因もここで判ります。なんともやりきれないものが全体を覆い、それは彼の苦い記憶もある意味で関係している話の運び。

「嘘をもうひとつだけ」もこの前に読んだのですが、そちらは、加賀恭一郎のひととなりの確かさ、抜群の推理力と相手に対する思いやりのようなものが、鮮やかに描かれた短編集で、すっきりと読み終わりました。で、今度は長編~と読み始めたのですが、その内容のまったく違う扱い方に、びっくりし、引き込まれ、そしてまだ、考えています。

犯人の気持ちが理解できない。そこまでの「悪意」が存在することを私はどこかで否定したいと思ってしまう。でもまた一方では、今の世の中そんな状態なんてめずらしくないような気もする。

人と人。
相手と自分。
身内と他人。
仲間と一人。
親と子。

推理小説の分野で、こんなに考え込んでしまうことは初めて。これは、そんなお話でした。傑作です。今まで読んできた作品中で一番かも。
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「卒業-雪月花殺人ゲーム」「眠りの森」

2005年07月11日 18時20分43秒 | ★★東野圭吾
東野圭吾 著 講談社文庫。

もしかしてネタバレかもしれない。ので、これからこの2作品を読みたい人は以下は読まないでくださいね。



*************

加賀恭一郎に恋をした。
多分、そんな読み方をしたんだとおもう。気持ちの整理がつかず、次の本に集中できない。

東野先生の作品はまだまだ入門したばかり。入り口をちょこっと入った程度。とにかく作品が多いので、とりあえず講談社文庫刊行のものを順に読んでみようと今まで手に取ってきた。
その中で。
「卒業」は放課後に次ぐ作品。高校生のときに茶道部で知り合い、同じ大学に進んだ加賀恭一郎、沙都子、波香、藤堂正彦、祥子、若生、華江。この中に殺される側と殺した者がいて、それを明らかにするのが、父親が刑事で、それに強く反発をしている恭一郎。
「眠りの森」は、その 恭一郎が紆余曲折(?)の末、刑事になってかかわったバレエ団の殺人事件の話。
それぞれ、話もさすがにうまいし、すごくおもしろかった。そもそも、「眠りの森」は「加賀恭一郎」という名前に反応してひょいっと購入してきたものだし。
謎解きよりも登場人物に視点を置いて読んでしまう私には、同じ人が出てくる作品っていうのは、すごく読みやすいし感情移入もしやすいのだ。

で、この「眠りの森」を読み終えたとき、ひどく動揺している自分がいて。
単純に刑事が容疑者を好きになってしまったってこともそうなんだけれど、この加賀恭一郎が魅力的なのだ。大学生のくせに、いきなりプロポーズしてしまったり、殺人か正当防衛かの捜査の最中に気になる女性を見つけてしまったりする普通の男かと思うと、剣道は全日本に通用する腕前で、鋭い推理力や観察力もあったりするいかにも推理物の主人公的実力の持ち主。刑事物のこういうのに弱いんだな。私は。

東野さんはシリーズっぽいものは書いているのだろうか。作品のあらすじを本屋さんで見る限り、この2冊以外に加賀恭一郎が出てくる作品は講談社文庫ではなさそうなんだけれど。
ああ、気になる。彼は彼女と一緒になれるのだろうか。しかし、明らかに彼女は殺人を犯してしまっており(不運なといえるのならば、とても不運が重なった殺人だけれど)、そういう人と警察官は一緒になってはいけないようなことを、以前どこかで聞いたような覚えもあり・・・
ま、余計なお世話ではあるのだか。

久々に登場人物に恋をしつつ読んでしまった私。
気持ちの整理に書くつもりのなかった感想文を書いてみた。(推理小説って種明かししちゃうから感想ってだめでしょ。ねえ?)

ちなみに、次に手に取っているのは「観覧車」という本。これは解説と帯が新井素子さんだ~と手に入れたものだったりする。またまた探偵物らしい。
その次には、そろそろ届くであろう梨木さんのエッセイが待ってるから。気持ち切り替えて読まなくちゃ~(って、別に誰にも義務があるわけじゃないんだけどね。)
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「宿命」

2005年05月06日 21時45分39秒 | ★★東野圭吾
東野圭吾作。講談社文庫。

この二日間、ブログお休みしてました。
理由は。GWで遊んでいたわけでもなく、家の片付けと子どもの相手で疲れて夜起きていられなかったっていう、情けな~い理由なんですが・・・

もう1つ。

これ、読んでいました。
「宿命」

なんだか、先日読み終えた「慟哭」と同じ、謎解きのみの作品じゃないっていうのにべっくら仰天。いや、面白かったです。
さすが、東野圭吾だ~~という読み応え。

もちろん、「誰が彼を殺したのか?」というきっちりミステリーも追えるんですが、同時に「彼と彼はどういう関係?」「彼と彼女は一体?」なーんてことが謎になり、そっちがメインの小説になってるんです。ミステリーだけれど。
ラストの解説を読んで「ああ、なるほど」と思いました。東野さんは、単純な「どうやって誰が殺したんだ」っていう謎解き小説にしたくなかったんですね。その試作品のような立場なんですね。この本は。

すでにプロとして活躍しているから、確立された安心感のある文体で、非常に楽しめました。
作家さんの「処女作」をちょっと続けて読んできたので、そのあとに東野さんの本を手にしたら、ある種の「違和感」を感じずに物語に没頭できる「幸せ」も味あわせてもらいました。

ストーリーは読んでのお楽しみ。東野さんが「最後の1行」を書きたかったというこの作品。お話わかっちゃうとつまらないですから、ね♪
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あの頃ぼくらはアホでした。

2005年02月07日 18時02分42秒 | ★★東野圭吾
東野圭吾作。集英社文庫。

これは、タイトルにつられてヒョイっと買ってしまった本です。
も、そのものずばり、タイトル通りの本でした(笑)最初から最後まで、笑いながら読めました。
東野さんの作品は1度挫折したこともあり、その後復活してからも、なかなか読み進まない系(?)の本だったのですが。
あ、誤解されるかな。東野作品は、おもしろいんですよ。でも、途中で考え考えしてるとわからなくなっちゃうんです。私の頭では・・。

うーん。
時代が、少し私の子ども時代とずれているもんですから、「?」な部分もありましたけど・・
ウルトラマンとかゴジラとかは何とかわかりますから。。

本を読んで、大笑いしたい少し年上の人たちに、丁度いい感じ?あ。ただし、お上品な人向けではないですねー。話題もしょっぱなから、なかなかびっくりな中学校の話題ですし。ほんとにこんな中学校あったのかなあー。私も実は中学入学は大阪なんですけれど。。10組だか12組くらいまであって、とても大きな中学校。小学校高学年から中学1年の1学期まで大阪と京都の間くらいの市(?)に暮らしていたんですねー。でも、幸い(?)こんな状態の学校ではなかったなあ。中学受験の子はめったやたらと頭の良い子たち数人のみで、質が悪いから私立にっていう土地ではありませんでした。。

一般庶民の、ゴジラとかウルトラマンとか怪獣物が好きな人たちには(笑)ぴったりハマるんじゃないかな、と思います。

正直、ここまで笑えると思ってなかったので、ちょっと得した気分の読書タイムでした。

で、「宿命」を次に購入してしまった私です。
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