日々、暮らしの中で考える。・・・・・・木もちeー暮らし

普通の暮らしの中で気がついたこと、考えたこと。またこのような生活の視点を通し、仕事で出合った方々のお話を綴っています。

鋸(ノコギリ)業界の常識を覆した「理論と現実が一体化した21世紀の長勝鋸研ぎ」~アサリの考え方~

2011年05月23日 16時14分44秒 | 仕事_長勝鋸
長勝さんの鋸は、挽く音も軽やか。

一般に鋸挽きというとギゴギゴ音をたつものですが・・・挽く音まで違います。

切るときに余分な力が入らず、切り口もカンナでかけたようにピカッピカッのスベスベ。

従来の鋸(ノコギリ)の常識を覆す 長勝さんの鋸。

今日はアサリのお話をさせて頂きます。



鋸は木の繊維に沿って切る縦ひきと横ひきがあります。横きりの場合、木の繊維を切断します。



鋸の刃をみてみると・・・・・こんな感じになります。
  
▲長勝さん曰く「下刃の角度や上目の角度が、とても重要になります」
 横挽きは、小刀の刃を並べたような形になります。
 長勝鋸は、小刀のように研いだ左右の刃で、木材の繊維を両脇でカットしながらきり進み、切断します。



▲つまり・・・・こんな感じで繊維を切断しているのです。






木材の切断が進んでいくと、木の切断部分と鋸とが接触し、抵抗が増してしまいます。

その抵抗を小さくするために、鋸の刃には「あさり」と呼ばれる技術が工夫されています。

「あさり」とは、鋸の刃が交互に外側に出ていることを指します。

それによって、鋸の厚み以上の太さで切断することができますので、材料と鋸との接触による抵抗が少なくなります。

また、木屑も外に排出しやすくなり、作業効率が上がるというわけです。






▲鋸の刃を上からみるとこんな感じになります。
 
▲替え刃式鋸 Zソーのアサリ(刃を上からみた場合)




▲長勝さんの理論では、アサリを出す際は、左右の刃の隙間が刃厚の1/4までがベストだとか。

更に・・・・
長勝さんは「アサリとは、一般的にのこぎりには必要不可欠なものと考えているが、私はそのようなことはない、と考えている。一歩進んだ技術を身につけることにより、アサリをほとんど出さなくても使用が可能になる」と言われています。
鋸業界では「どれだけアサリを出せるかが技術」という考え方がありますが、長勝さんの発想はそこから一歩進み
「より摩擦が少なく、キレイに切れるにはどうしたらよいのか」が追求されているのです。



その結果・・・・長勝さんの導突鋸(建具や木工など細かい作業をする時に使う鋸)にはアサリがありません。

 
▲長勝さんがつくった、導突鋸の刃を上からとった写真です。


▲写真下が導突き鋸になります。


▲切り口を見れば、一目瞭然。硬いケヤキもこの通り。カンナでかけたような切り口です。
まるで光を放つような美しい切り口は、刃の角度+アサリを出さないことにより実現できるのだそうです。



長勝鋸の理論をふまえて、。改めてこの切り口をみると、納得というよりは感動を覚えます。

鋸研ぎの技術向上とともに、理論に裏付けられた
より良い鋸の開発を目指している長勝さんの鋸は
まさに「理論と現実が一体化した21世紀の長勝鋸研ぎ」といえます。


▲長勝さんの唱える、日本伝統の鋸の良さを味わえる4拍子揃った最良の鋸研ぎ


長勝さんは、このままでは鋸を造る職人さんがいなくなってしまうことに非常に危惧されています。

「鋸造りの伝統技術を後世に伝え残すために、
 鋸技術の向上と共に技術の伝承が急務であり皆様方のご理解とご協力を切望するものであります。」

といわれています。

いま一度、使い捨ての鋸を考え直してみませんか。

一度この切れ味を味わったら

使い捨ての鋸に戻れなくなるかもしれません。

幸い、今年の春から高校卒業したばかりの子が弟子入りされました。

刃が消耗してきたら鋸研ぎ(目立て)の有料アフターサービスを利用すれば

ずっと使えます。

販売してはじめてわかったことですが

意外とプロの方ばかりではなく、一般の方々からも多くのお問い合わせやご注文を頂いております。

*家を建てたことをキッカケに日曜大工に目覚めた方

*息子さんと日曜大工をはじめたお父さん  他

料理の世界でも同様ですが、料理好きな方ほど、シンプルな道具「包丁」にこだわりますよね。

鋸も同じことがいえるかと思います。

これだけキレイな切り口だったら、仕上げの時間も短縮できますし

何よりこの鋸は余分な力を必要としません。

スポーツの世界でも上手な人ほど余分な力が入らず

しなやかな動きをしますよね。





日本人が日本の職人技術を正当び評価、継承していくことは

本当に大事なことだと思います。

まだまだ自分は勉強不足ではありますが、

出来るだけ多くの人に長勝理論をご紹介し

この技術が後世に残るよう、頑張っています。



どうぞ皆様お願いします。


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