2
「いてててて……」
サトルの落ちた所は、広い草原の真ん中でした。幸運にも、頭から落ちるのはまぬがれましたが、地面に足がつく前に、お尻をしたたかぶつけてしまいました。
サトルが落とされたドアはというと、サトルが落ちるやいなや、煙が風に吹かれたように、すーっとどこかへ消えていってしまいました。
お尻をさすりながら体を起こしたサトルは、消えてしまったドアの方を見ながら、一体どうしたものだろうか、とすぐに考えました。
まず、ここはどこなのでしょう。墜落してくる前に見た限りでは、公園の外に広がっていたのと同じ場所のようでした。しかし、落ちてみると、どことなく雰囲気は似ていましたが、すぐに違う場所だということがわかりました。
この場所には、公園の外で見たような、小高い坂はありませんでした。そして、真夏のようにぎらぎらとした太陽が、空の一番高い位置で、煌々と輝いていました。
自分の居場所がどこかわからず、途方に暮れたサトルは、自分をドアから突き飛ばした子供のことを思い出しました。あの不思議な子供は何者で、どうして人をドアの外に突き飛ばしたりしたのでしょうか――。
「――おい」
と、大きな声が聞こえました。
「――おい」
と、声はサトルのお尻の下から聞こえてくるようでした。
「おい!」
三度同じ声が聞こえたかと思うと、
「うわーッ」
見えない糸で吊り上げられたように、サトルの体がふわり、と地面から浮き上がりました。そして、ぽーんと横に飛び出したかと思うと、草むらの中にごろり、と転がっていきました。
「いつまで人の上に乗っかってんだ。重てぇじゃねぇか。さっさとどきやがれってんだ。まったく――」
仰向けになったサトルは、驚いて顔を上げました。しかし、声の主がどこにいるのか、すぐにはわかりませんでした。
「いてててて……」
サトルの落ちた所は、広い草原の真ん中でした。幸運にも、頭から落ちるのはまぬがれましたが、地面に足がつく前に、お尻をしたたかぶつけてしまいました。
サトルが落とされたドアはというと、サトルが落ちるやいなや、煙が風に吹かれたように、すーっとどこかへ消えていってしまいました。
お尻をさすりながら体を起こしたサトルは、消えてしまったドアの方を見ながら、一体どうしたものだろうか、とすぐに考えました。
まず、ここはどこなのでしょう。墜落してくる前に見た限りでは、公園の外に広がっていたのと同じ場所のようでした。しかし、落ちてみると、どことなく雰囲気は似ていましたが、すぐに違う場所だということがわかりました。
この場所には、公園の外で見たような、小高い坂はありませんでした。そして、真夏のようにぎらぎらとした太陽が、空の一番高い位置で、煌々と輝いていました。
自分の居場所がどこかわからず、途方に暮れたサトルは、自分をドアから突き飛ばした子供のことを思い出しました。あの不思議な子供は何者で、どうして人をドアの外に突き飛ばしたりしたのでしょうか――。
「――おい」
と、大きな声が聞こえました。
「――おい」
と、声はサトルのお尻の下から聞こえてくるようでした。
「おい!」
三度同じ声が聞こえたかと思うと、
「うわーッ」
見えない糸で吊り上げられたように、サトルの体がふわり、と地面から浮き上がりました。そして、ぽーんと横に飛び出したかと思うと、草むらの中にごろり、と転がっていきました。
「いつまで人の上に乗っかってんだ。重てぇじゃねぇか。さっさとどきやがれってんだ。まったく――」
仰向けになったサトルは、驚いて顔を上げました。しかし、声の主がどこにいるのか、すぐにはわかりませんでした。