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「憲法は機能しているか」井上武史教授の論説に思う

2022-06-21 16:03:26 | 日記
読売新聞が参議院選を前に「視点参院選2022」と
銘打ったコラムを発表して、4回目の6月15日の朝刊。
4のタイトルは「憲法は機能しているか」
論者は関西学院大教授で憲法学者の井上武史氏。45歳

そしてそれは
憲法は作られた状況や時代の下で、必要とされたことを
定めている。施行75年、日本国憲法は一度も改正されていない。
そういう憲法は世界中にほかに例がない
」から始まり、
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの
安全と生存を保持しようと決意した
」の憲法前文を取り上げて
これは日本の安全を国際社会に、とりわけ国連に委ねるという
前提に基づく。だが、安全保障理事会の常任理事国である
ロシアが国際法に反してウクライナに攻め込み、核の脅威を
振りかざしている状況で、そうした前提はなお成立していると
いえるだろうか
」と疑問を投げかける。つまり「そうではない
だろう」と仰りたいのだ。だから続けて「前提が変わったのなら
それに基づく9条の平和主義が今でも本当に通用するのかと
いうことを議論すべきだろう。これまでの9条論は、侵略戦争の
反省から、日本が再び他国に侵略しないことを念頭に展開されて
きた。今や『9条が対外的な侵略への歯止めになっているか』では
なく、『9条が日本の安全保障にとって足かせになっていないか
どうか』が問われるべきだ


仰るとおりだが、教授の論調は日本の政界の、とりわけ自民党の
「危うさ」という暗部を踏まえたものではないような気がする。
「9条平和主義」を唱える野党はじめ平和主義者たちは、自民党
の「危うさ」に不安を感じて「9条平和主義」を手放せない一面
もあるのではないだろうか。

周知のように自民党には、「戦後レジュームからの脱却
(ウイキペディア・戦後レジューム:第二次世界大戦での日本の
降伏後、GHQによる占領下で出来上がった日本国憲法を始めと
する憲法や法令、テレビや新聞などのマスコミ、経済や金融で
は通貨発行権や通貨管理権の所在を意味する言葉として使われ
ている
)を唱える安倍元首相の周りに「反東京裁判史観」を唱え
る者や「太平洋戦争は日本の自衛のための戦争だった」「太平洋
戦争はアメリカが仕向けた戦争で、日本は悪くなかった
」等々戦
前回帰を唱える者がウヨウヨしている。こういう連中がいるか
ら、野党はなおさら9条の歯止めが必要と頑迷に、その主張に
しがみつくのではないのだろうか。

例えばよく比較されるドイツ。
ドイツは戦後、50回以上の憲法改正を行ってきたと言われてい
る。なぜ、それができるのか?
一つには、日本のように政権党の中に、戦前回帰を求める極右
勢力がいないのとナチスによる凄惨な戦禍を残した反省を子供
の歴史教育の中でも「強制収容所跡をはじめとするさまざまな
記念館、歴史博物館、展示会の見学が校外学習プログラムとし
て授業に組み入れられています
(web記事)」と徹底していたから
憲法改正を行えたのではないだろうか。

日本で憲法を改正するには、教授の論説のように議論を深め
同時に政権党から戦前回帰を求める勢力を一掃するか、再教
育することが求められる。

ただ日米同盟が強固である限り、その同盟のくびきによって
日本が戦前回帰の方向へ逸脱していくことはないとは思うが。