分け入っても分け入っても本の森

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●「幻影師アイゼンハイム」

2008年04月30日 23時19分05秒 | 映画
映画の試写会に行きました。
アメリカでロングラン、話題になった映画のようですが、どうなのかな。
ストーリーは、始まって程なく通しの予想はついてしまいます。

 幻影師アイゼンハイム=ロミオとジュリエット(身分格差アレンジ)+イリュージョン+サスペンス

要素点、ほぼ満点。作り込み、上等。
でも、大概成功している公式の運用に足りない何か。

ひとつには、縦の線になるロマンスと配役が爆発しません。
映画界のロマンス・ストーリーは、往年のハリウッド名画を超えることができないようです。
(だからストーリーで勝負できない分、今はアクションとスペクタクルのない映画はつまらないです)
メジャーでベタですが、たとえば「ローマの休日」(←書いてて嫌だな)、「慕情」、「風と共に去りぬ」etc,etc...

「サウンド・オブ・ミュージック」のような家族愛以外には、恋愛は成就しないことが鉄則です。*1
近年の「タイタニック」でさえ、それを踏襲したのに、あえての定石破りはなぜ。
<ラストの爽やかな余韻>――そう押しつけられても、何かちょっとちがうような。

「タイタニック」の配役は、なんといっても主演のディカプリオに力がありました。
側線のラブ・ストーリーも、変てこりんなテーマソング("My Heart Will Go On"ですっけ)も、ディカプリオのパワーで押しまくったことは否めず、あれが他の配役だったなら映画の評価も船と共に沈んでいたことでしょう、ブクブク。

「幻影師アイゼンハイム」はヒロインがそう美人ではない、のは「タイタニック」と同じ。
なら、引っ張り役のヒーローにパワーが足りないのです、やはり。
ちょっとエロティックな造作、フェロモン(これを「色気」というのかも)の男で「渋い演技」――だけじゃダメだあ、やはり。

話は飛んでしまいますが、ぼくは「タイタニック」のディカプリオは、「パワフルなヤングボーイ」としか思わなかったのですが、日本では去年公開された「ブラッド・ダイヤモンド」のときは、すごいなあ♪と思いました。
ダイヤモンド業界(だけじゃない)からの圧力なのか、上映期間は極端に短かかったのですが――「ブラッド・ダイヤモンド」――ここ数年でいちばん好きな映画かも♪ 


*1 「昼下がりの情事」のようにちょっと傾いたものはまた別ですが、これも名画。ということは、いちがいにひとくくりにはできないか。