分け入っても分け入っても本の森

本読む日々のよしなしごとをそこはかとなく♪

●本をめぐるあれこれ(嫉妬編)

2007年06月03日 22時53分39秒 | 読書
去年のことです。
中央公論新社から箱入りの愛蔵版で、村上春樹訳『グレート・ギャツビー』が出ました。
当時、神保町、三省堂書店1階フロアのいちばん目立つところで平積みに披露目られている、それを見て、ぼくは――ああ、これは買わなけりゃ(ならない本だ)――そうではなく、ぼくは。
ぼくは、嫉妬の炎で自分の身が燃え上がるような思いでした。あやうく、その場で嫉妬の涙をこぼす寸前でした。
こう書くと、よほど『The great Gatsby』が好きで、それを村上春樹に獲られたような、屈折した思いがしたのだろうかと思われそうですが、そうではありません。
もちろん、ぼくも『The great Gatsby(グレート・ギャツビー、華麗なるギャツビー)』は過去に何度か読んでいますし、好きではあるのですが、そうではなくて。


いまどき、箱入りの愛蔵版で本を出せるなんて、よほどのことだと思います。
しかも、何かの全集ではなくて、一冊を、自分の思い入れの一作品を。
どうしたら、そんなことができるでしょうか。
どう認めるか(認めないか)は問題ではなく、現にそれができるのは、「村上春樹だから」です。

――村上春樹の思い入れた本だから。

ぼくにも、大切な思い入れの本が、物語があります。
知る人は知っているでしょうが、今ではポピュラーとはいえない名作です。
ぼくも、その、ぼくの大切な物語を、ぼくの訳で豪華愛蔵版にしたい、されたいです。
だから、ぼくは嫉妬しました。


ぼくは、うらやましくてたまりませんでした。
ぼくは、うらやましくてたまりませんでした。
うらやましくて――嫉妬で涙がでそうでした。
その場では我慢したけれど、家に帰ってから泣きました。(ヨンダ泣き)


本を見てそういう思いを抱いたのは、はじめてでした。
ぼくは、有名になりたいです。
ぼくは、ぼくの大切な本をぼくの訳で豪華愛蔵版にするために、有名になりたいです。
はじめて、ぼくは渇望します。

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(今日のこと♪)

著名人の語る「すきなもの(3つ限定)」コーナー(毎日新聞)で、山田太一が、音楽、絵画、本からそれぞれひとつずつを選んで挙げていました。
中でも、本については、『サミング・アップ』モーム(岩波文庫)を取り上げ、そのエッセイを褒めています。(でも、モームの書く小説はそれほどでもないのだとか)

実はぼくは、『サミング・アップ』をまだ読んでいません。
がぜん、読みたくなりました♪
なんだか、読む前から期待でわくわくします。
まず、書店で本を探す悦びから。(2007年2月刊、いくつかの書評でも話題になっていましたが、まだ入手していないのです)