書籍を買い込んでいるので身内にも小説をたくさん読んでいると思われたが、小説はほとんど読まない。というか読む集中力がない。同じ理由で映画館に行くこともほとんどないし、レンタルすることもまずない。とはいえ、ドリフ大爆笑を借りるついでに表題の北野武作品を借りた。たしか高校生の時に見た記憶。映画館に行ったような気もするが、公開が1996年なのでレンタルビデオだったかな。
借りたドリフより先に一気に見た。論評する能力はないが面白かった。ヤクザの汚さとボクシング界の非情さを通じ、冷たい現実にぶつかり潰される二人の姿。キタノブルーと呼ばれる青色が痛い。
石橋遼が演じる組長はかっこいい。金子賢が憧れるのも当然だ。しかし、石橋はあくまでヤクザだ。寺島進に敵対組員の射殺を命じ、石橋に憧れて組員となったカズオに身代わりとして出頭させる。それでも金子は親父である石橋への忠誠を尽くす。石橋が敵対組織に殺されたため、金子は愚直に報復を主張する。しかし会長(下条正巳)は敵対組織と適当に手打ちすることを考えている。石橋の死よりゴルフのほうが大事だ。組織の和を乱して正論を説いた金子は粛清される。
安藤政信が残ったボクシングの世界は、とにかく勝ち残ることがすべて。ばれなければバッティングや足踏みも有効な策となる。勝てば周りにチヤホヤされ、敗ければ一夜ですべてを失う。もちろん、反則はともかく勝つためには辛い日々をつづける覚悟がいる。これを怠り誘惑に流された安藤にも敗北が待ち構えていた。
北野武らしい甘くない終わり。それでも最後の校庭の二人は前を向いているように見えた。