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法令用語としての「保護者」

2019-11-28 23:24:37 | 親族法・児童福祉

[法令における「保護者」の使用状況]

e-Gov法令検索にて「保護者」という用語を検索すると、68件の法律がヒットする(2019-11-28時点)。

・法令によって「保護者」の定義は一定しないが、「少年法の定義」と「児童福祉法の定義」に大別されようか。□辞典1291参照

・当然ながら、「保護者」を用いる法令は、教育・医療・社会保険関係が多いか。

 

[少年法における「保護者」;親権者+監護者]

・少年法2条2項は、保護者を、[1]「少年に対して法律上監護教育の義務ある者」、[2]「少年を現に監護する者」と定義する。講学上、前者を「法律上の保護者(親権者、親権代行者、監護者、未成年後見人、児童福祉施設長など)」、後者を「事実上の保護者(住み込み就労中の雇主、寮長、里親、継父母、親権者でないが同居する親族など)」と呼ぶ。□守屋47-8

・少年法の定義を引用するものとして、少年院法(2条4号)、少年鑑別所法(2条7号)、更生保護法(59条)など。

・少年の「保護者」は、付添人選任権(少年法10条2項)、審判出席権(少年審判規則25条2項)、抗告権(少年法32条)などを有する一方、出頭義務(少年法11条)などを負う。□守屋48-50

 

[児童福祉法における「保護者」;監護者]

 ・児童福祉法6条は、保護者を(原則的に)「児童を現に監護する者」と定義する。少年法のそれと比較すれば、親権等の有無は問題とならず、監護という事実が決定的になる。児童虐待の防止等に関する法律も同様に「保護者」を定義し、それを「児童虐待」の主体とする(同法2条柱書)。□廣瀬48-9

・児童虐待に関する規定において、「保護者」は、1号措置や2号措置の名宛人(児童福祉法27条1項)、28条申立ての虐待親権者(児童福祉法28条1項1号、2項)又は不適当親権者(28条1項2号、2項)、保護中の児童との面会通信制限の名宛人(児童虐待の防止等に関する法律12条1項)などとして現れる。なお、児童福祉法での「保護者」に関する規定の大半は、障害児に関するものである。

・母子保健法6条4項、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条2項3号の「保護者」の定義も同様。

・同種の意味だと推測されるものの、無定義に「保護者」を使用するものとして、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律22条2項。

 

[「保護者」を親権者とほぼ互換的に用いる例]

・「保護者=親権を行う者(補充的に未成年後見人)」と定義するものとして、学校教育法16条、いじめ防止対策推進法2条4項。

・「保護者=親権者or後見人」と定義するものとして、予防接種法2条7項。

・同種の意味だと推測されるものの、無定義に「保護者」を使用する法律として、教育基本法10条1項(父母をその例示とする)、行政手続法3条1項7号、行政不服審査法7条8号、等。

 

[それ以外の「保護者」の例]

・心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律は、「(心神喪失者等の)保護者」を「後見人又は保佐人>配偶者>親権を行う者>前二号に掲げる者以外の扶養義務者のうちから家庭裁判所が選任した者」と定義する(23条の2第2項)。

・警察官職務執行法3条1項2号の「保護者」は定義されていないが、事実レベルに注目した概念だろう。

 

廣瀬真理子「第2条」佐藤進・桑原洋子監修『実務注釈 児童福祉法』[1998]

法令用語研究会編『有斐閣法律用語辞典〔第3版〕』[2006]

守屋克彦「第2条」守屋克彦ほか編集代表『コンメンタール少年法』[2012]


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