健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

22日  術後覚醒時の”事件”フラッシュバック

2009-06-22 10:52:56 | インポート
術後に個室まで連れ帰ってくれた看護師さんが昨日の担当、「私のこと覚えてますか?」、

「???」

奥様に確認すると、確かに”その日の”担当”だったらしい”けど、自分の中に確証はない。ただ、声に何となく覚えはあるような。。。昨夜、レンドルミン服用でうとうとしていると、点滴交換にその看護師がやってきた。あぁ、その声だ、あーあ、思い出した、確かにそうだ、術後、分かりますか、って言われたとき、目が覚めて最初に目に飛び込んできた人の声と(^^)だ。しかも、術後の時は複眼のようにグルグルと同じ顔が見えていたはずだ。でも、キレイだって言った直後に、麻酔が覚めてないって失礼ですよね。怒っているんでしょうか?ごめんなさい。。。だって、いくらキレイでもいっぱい見えたら、まだ酔ってる、って思いますよね(^^; )



抜糸。。。

なぜ、私はここにいる。。

手術して1週間の間に考えたことのまとめ。


研究者として。。。


私が研究者であることは以前にもお話しました。その中でも、薬の開発をしています。Iさんから戴いた宇宙創成を読み始めて、高校の理系を目指し始めた頃を思い出しました。元々私は、天文学者になりたかったのですが、それじゃ、飯が食えないと、部活の先生に言われて、薬の研究者になることを決めたのが運命だったのです。ただその時、元々目指していた天文学は面白くて、夢があって、でも、いくら生活のためとは言え、薬の研究をやるからには、それなりの夢を描こうと思いました。レンズを通して見るものの対象物の大きさが大変大きなものから小さなものへ変わってきます。さぁ、どうする?何が面白い?夢?人類はどこから来た?これからどこ へ行く?宇宙は永遠?宇宙はいつ始まった?いつ終わる?境目はどうなっているの?そこへはたどり着けるの?発見って何?ブラックホール、彗星、新星、それらが発見された後、話題にはなって本は売れるけど、何か役に立ってきたのかなぁ?

(もちろん最近では、これらを”発見”するためのデバイスの開発は進んでいて、その開発に役立っているだろうし、そのデバイスを使った別の用途で注目を浴びることもありますよね。)

私は小さい頃体が弱くて病院を転々としていた時期があったし、医者になろうか、いやいや、医者は偉そうにしているから嫌だ、それなら、医者より偉い奴になればいい、 医者が困ったときに助けることができるのは、薬なんだ、私は自分の目で小さいときから何度も見てきている、どんなに偉そうにしている医者だって、薬が無けりゃただのオッサン、ってね。で、レンズの対象物を星から薬へ変えたのです。 実際、今もそうなんです。夜眠れない、レンドルミンが助けてくれます。熱が下がらない。吐き気があって食べられない、プリンペランが助けてくらます。セファメジン、それでもだめならブロアクトが助けてくれます。これらの薬剤を開発してくれた陰には、多くの研究者の努力と研究用に使われた動物達があることも感謝しなければなりません。みんなつながっているんだ!脳神経外科の腕がどんなに素晴らしくても、どんなに精密でも、手術がどんなに上手く行っても、その後は薬に頼る他はありません。 高校の頃に思い描いていた、薬が医者を救うというイメージは間違っていなかったんだ。


そして、ここ数年、研究にも経営の物差しが入るようになってきて、まぁ、時代の流れだから仕方ないのですが、少し、薬を研究したいと思い始めた若いあの頃のことを忘れかけ始めていました。ただ、それが何だったのか、手を伸ばせば思い出せそうで思い出せない、当たり前のことなのですが、明確に導き出せないものでした。


しかし、ココへ来て、私の周りの私よりももっと重症の患者さん達、もっと適切な表現であるとすれば、もっとステージの進んだ患者さん達、医師、看護師、いつも元気な声をかけてくれる掃除のおばちゃんに至るまでのあらゆるスタッフを含め、真剣に闘って生きている人達を見ていて、やっと思い出しました。そうじのおばちゃんは痛い腰をさすりながら毎日多くの部屋を周り多くの患者さんに、私が声をかけて元気を出してくれたらそれでええんよ、って言いながらそうじをして行きます。それも立派な医師のサポートです。やっと、30年前に導き出した答えにたどり着きました。薬を研究する理由。。。。私がここにいる理由。。。。

ちょっと、遅かったかな。。。 あと何年研究ができるか分からないけどね。。。。


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15日  いざ出陣。。。

2009-06-22 04:08:51 | インポート
奥様と姉夫婦と一緒に歩いて手術室へ。 奥様と姉夫婦とはクリーンルーム入り口で別れを告げ、さらに歩いて進みます。 さぁさぁ、どうぞこちらへ、こちらは天国でございます。のような感じです。そして、当日の数人の”友”とともにこちらへ座ってお待ち下さい。と声を掛けられ、次から次へ様々なスタッフがやってきて、挨拶されます。今日、麻酔担当の○○でございます、よろしくお願いいたします。そのたびに、こちらも頭を下げて挨拶を交わしますが、あまりの人数の多さに覚えきれない。ここはまさに、天国への入り口か?と思ってしまいました。(^^;)


手術台。。。

とても明るい照明に照らし出された手術台、その上には、高級絨毯?を思わせるような毛布か敷布がしかれている。きっと出血時に対応しやすいものなのだろう。それにしてもケバケバしたあの材質は何だ?それから、何だか癒し系の音楽が流れているぞ、麻酔をかかりやすくするためのものなのか、ドクターの気分を安定させるものなのか、手術の進行時間感覚代わりなのか、ドクターは聴いていて眠くはならないのだろうか、何の曲だったか、クラシックだったような、、、ジャンルさえも全く記憶がありません。。。
その上に寝かされ、上半身は裸、下は、会社のマラソン同好会のハーフパンツを履いています。あのー、これはまだ、脱がなくても良いですか?と、ズボンについている会社のマークを指さすが、誰も気づいてくれない。。。。
例のペルシャ猫の毛のような布団は気持ち良く、暖かい。。。


手術開始。。。

スグ横には麻酔科の担当医がついていてくださいます。まずは、ご挨拶から。ハイ。続いて酸素マスク入りまーす。ゆっくり深呼吸してください。うんうん、TVドラマでおなじみの台詞だ。。。心電図、脈拍、血圧、様々なセンサーが手際よく取り付けられていきます。そうそう、部屋を出る前に、エコノミー症候群防止ストッキングを履かされていましたが、さらに両足ふくらはぎを電動マッサージ器のようなものに入れました。手術中、術後1日間ははずっと電動マッサージ器がふくらはぎをマッサージしてくれます。これは家庭に一台欲しい!

次に麻酔をコントロールする点滴を右手首から入れます。 おそらく、若手の看護師さんなのでしょうか、緊張からか、なかなか針が血管を貫きません。そう、わたしの血管は細く硬く、慣れない方には入れにくい血管なのです、何度、痛い目に合わされたことか。。。


今日もココで、しかも、麻酔が効く前に麻酔科のお仕事の第一歩で大変痛い目に合うことになりました。若手さん、血管を求めて、さらにグリグリ針を回します。痛いです!横にはベテラン看護師さん、そこの枝分かれしたところを狙うといいのよ、いや、そこじゃなくて、そこの、Yの字のなった付け根の部分、そう、そこそこ、。。。グイッツ!痛ーい!!!!


若手さん。ますます焦ります。。。その焦りが針先を伝わって来れば来るほど、私の右手の痛みは大きくなっていきます。で、再び、痛ーい!!!!

はい、そこで若手君撃沈、ごめんね、私の我慢が少し足りなかった。ココは教育機関でもあるから、育ててあげないといけないんだけど。。。次、頑張ってネ。

さて、さすがはベテランさん、別の”付け根”を狙い、痛むことなくすんなり、挿入。その時の若手君の顔は見えなかったけど、悔しさと、患者への安堵感とこれからの手術の無事を祈る、そんなように見えました、そうであって欲しい。



麻酔科担当医から、点滴の針先が少し熱く感じると思いますが、その後眠くなりますよ、とと言ったのを覚えているのを最後に、完全に麻酔下。。。。


全身麻酔中(=_=)Zzzzzzzzzzzzzzzzzzz


もちろん、頭を開かれているなんて記憶はございません。。。



帰還へ。。。。


麻酔から覚めた直後、分かりますか?って聞かれて、キレイな看護師さんばかりだ、あれ、まだ、麻酔から覚めてないのかな?って言ったら大爆笑だったのを覚えています。また、小田和正さんのダイジョウブを歌わせて下さい、グリちゃん、僕のグリちゃんどうなりました?と叫んでいたうようです。また、左手でギターのF、B7といったコードを形作れるのを確認出来たのがうれしくて、ほら、Fです、B7です。Cも、Gとも言って。術前に左手の細かい動きが出来なくなる可能性があると聞かされていたので、ギターコードで左手が使えることを確認していたのす。それが使えたからうれしかったのですが、周りに、ダイジョウブもFもB7も理解できる 人がいなくて、、、、何やら創薬学の略号か実験の手法と勘違いされたようです。グリちゃんについても連呼するので、奥様は一瞬、彼女の名前かと思ったそうで(^^;、あーぁ、グルオーマのことかと理解できるまで少し時間がかかったとか。。。(ゴキブリを瞬間的に凍らせる殺虫剤が思い浮かびます)麻酔下のぼーっとしている中、ダイジョウブの「あの笑顔見せて」、のフレーズが浮かんできたのは間違いなく本当の話です。冷静に考えれば、そんなに歌いたければ、歌えば良かったんだと思います。誰も禁止していないわけですからね。実を言えば正直なところ、ちょっぴり恥ずかしさが残っていました。全身麻酔下でも取り除けないココロの部分がある みたいです。というくらい、手術自体はお気楽でしたよ。でも、その後が辛い。。。傷口は痛いわ、麻酔の副作用でしゃっくりと吐き気は止まらんわ、熱は下がらんわ、キレイな人なんて言うんじゃなかった。。。 それからこの話には後日談が。。。


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