健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

機能性表示食品が悪い訳ではない

2024-03-31 18:41:26 | 日記

 紅麹報道を目耳にしない日はありませんが、機能性表示食品に苦言を呈するようなコメンテーターの発言が目立つようになってきました。機能性表示食品制度を理解して話している人がどれほどいるのか甚だギモンです。紅麹事件の原因とは違う次元で機能性表示食品が語られるのは如何なものかとの思いで投稿します。

 腎疾患などの基礎疾患を持つ人が食べると健康被害が大きくなる可能性がある・・・などのコメントがありますが、そもそも疾患に罹患している人、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している人も)を対象にした機能性のものではないので、該当する方は食べてはダメなのです。パッケージにもその旨が記載されていて、制度の趣旨から言えば、消費者が商品を選択するときの根拠を認識することが大事なのです。とは言え、殆どの消費者はそんなことを理解していないと思えるので(コメンテーターも理解していない)、機能性表示食品がどのような人を対象としてものなのかを、マスメディアはきちんと伝えるべきです。
 また、「医薬品と誤認されるおそれがない」ようなパッケージ・広告での表示(表現)が求められています。簡単に言えば、医薬品やトクホは、成分について申請して承認を得た上で、決められたルールの中で表示をしますが、機能性表示食品は、「成分について根拠があるので、その根拠の範囲内でルールに沿って表示します」と届出すれば販売して良いことになります。
 ただ、届出しても消費者庁が受理しなければ販売することはできません。届出された内容に不備がないかを消費者庁がチェックしますが、制度が始まった頃は「医薬品と誤認されるおそれがない」のハードルが高くチェックに時間が掛かっていましたが、最近は低くなり「医薬品と誤認されるおそれがない」の解釈が曖昧になった感じがします。コレステヘルプの「LDL(悪玉)コレステロールを下げる機能があることが報告されています。」は、LDL低下薬のような印象を受けるのは私だけでしょうか。
 ある新聞では、コレステロールを下げる薬を飲んでいたけど、サプリの方が良いのでは、との思いでコレステヘルプにした、という消費者の方のコメントが載っていました。機能性表示食品が悪いのではなく、制度について情報提供をきちんとして説明することが、機能性表示食品が注目されている今こそ、良い機会だと思います。また、機能性表示食品の機能や安全性などの情報を消費者が自ら知ることができるように消費者庁がデータベースを公開していますが、一般の方には理解できない内容だと思います。これも改善する方が良いと思います。


プロテインブームに思う

2024-03-30 18:46:33 | うんちく・小ネタ

健康長寿の本題に戻ります。

 タンパク質を積極的に摂リましょうと、プロテインブームが続いています。

富士経済の調査レポートによると、プロテインブームは2015年に始まったようで、背景には、筋トレブーム、フレイル対策があります。

 プロテイン(protein)は、日本語でタンパク質のことです。タンパク質は、私たちの身体の主要な構成要素で、いくつかのアミノ酸がつながって創られています。

 身体の構成要素にはタンパク質の他に脂質や糖質などもありますが、身体の大部分の62.6%を占める水分を除けば、タンパク質(16.4%)、脂質(15.3%)、無機質(5.7%)、糖質(1%以下)で、タンパク質が最も多く、筋肉、骨、関節、髪の毛、血管、血液成分、臓器等や酵素(消化酵素など)やホルモンの他にも免疫細胞や抗体といった外敵から身を守ってくれるもの全てを構成しています(タンパク質、糖質、脂質を三大栄養素と言います)。ちなみに、ウイルスもタンパク質が構成成分で、タンパク質だから免疫が働きます。(その話は別の機会に)

 タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あり、体内で作られなくて食事で摂る必要があるアミノ酸を必須アミノ酸が重要で、中でもプロテインブームで注目されているのがBCAAと言われているバリン、ロイシン、イソロイシンという筋肉の主要な構成アミノ酸です。

  ちなみに必須アミノ酸は「風呂場の椅子独り占め」と覚えておくと、お店で食材を買うときに、パッケージに書かれた、商品に含まれているアミノ酸をチェックするのに役立つでしょう。

以上のようにタンパク質は身体の構成成分としての側面がありますが、その他に、エネルギー源としての側面があり、糖質(55%)、脂質(25%)に続く15%がエネルギーと使われています。

 エネルギーで使われる糖質、脂質が使われて不足してくるとタンパク質が使われます。糖質も脂質も適切に摂らないと筋肉のタンパク質が使われて痩せ細ってしまい、免疫細胞も減ってウイルス感染しやすくなったりします。なので、タンパク質を摂ることも大切ですが、糖質、脂質もバランス良く摂取することが大事なのです。

 最近、歳を取ったら「メタボ予防」を気にしない食事へギヤチェンジした方が良い、と言われるようになったのは、筋肉や免疫に目を向けた食事で元気な身体を維持して長生きしましょうということなのです。

 特に筋肉維持のためにタンパク質を中心とした食事をということでプロテインブームなのですが、過剰に摂取すれば、脂肪や尿素に作りかえる「肝臓」や「腎臓」に負担がかかるおそれもあるので注意が必要です。

 ところで、紅麹(事件?)で注目されている機能性「LDL(悪玉)コレステロールを下げる」、以前にも投稿したようにコレステロールは細胞膜を構成したり、ホルモンや胆汁酸、ビタミンDなどの原料であって、LDLはコレステロールを必要としている細胞へ運搬する大事な役割を持っているのです。脂質はこの運搬にも関わっているので、やっぱり、脂質は悪者と言わずにバランス良い食事をしましょう。


コンプライアンスとモラル

2024-03-27 10:59:00 | 日記
紅麹問題は死者が2名になったと報道され、大変なことになってきました。
今日は、企業のコンプライアンスとモラルについて考えてみたいと思います。
食品衛生法では、被害が報告されて30日以内、死亡など重篤なばあいは15日以内に保健所へ届け出する(保健所から厚生労働省へ)とルール化されてます。たとえ、因果関係が確定されてなくても、です。明らかにコンプライアンス違反です。
また、企業内で、安全性(品質保証)よりも売り上げ重視の風潮があったとすれば、モラルに背いていると思います。もし、因果関係がなかったとしたら、報告したことで売り上げに影響するじゃないか、と品質保証を軽く見るトップだったとしたら…。「あったらいいな」とユーザーファーストのモラルある企業だと思ってはいますが。
 一方、機能性表示食品の点検指示が管轄の消費者庁から出ました。本来、機能性表示食品は安全性体制も含めて届出しているはずなので、届出した体制が守られているかのチェックなのだと思いますが、これを機会に小林製薬以外のメーカーも、コンプライアンスとモラルについて見直してもらいたいですね。


エントロピーが教えてくれたこと

2024-03-26 11:56:10 | 日記

 私が「エントロピー」という言葉を初めて知ったのは、高校3年の頃、物理の参考書として使っていた「チャート式 物理」のあるコラム(記憶が曖昧ですが、もしかするとチャート式 化学だったかも)に、「万物は乱雑な方へ向かう。机の上は、放っておくと散らかってしまう。これがエントロピー」のような記載を読んだ時です。

 高校の授業では「エントロピ-―」について習ったことはなく(本当は先生は説明したのに寝ていて聞いてなかったのかも)、チャート式のことだけがずっと頭を離れませんでした。と言っても、エントロピーに特別に興味があるわけでもなく、深く勉強することもなく、社会人となりました。会社で薬を創る研究をすることになり、上司から「エントロピー」が大事なんだということを教わりました。そこで、勉強のためにと買った「熱力学で理解する化学反応のしくみ(ブルーバックス)」という本を読み、偶然にも著者の、当時、東海大学医学部で教授だった”平山令明(のりあき)先生”と一緒に仕事をする機会があり、サインをしてもらいました。おそらくサイン入りの本は世界でただ一つではないかと思います。私の宝物です。

 本を読んで先生と研究していたにも関わらず、当時はエントロピーが命(生命の寿命)にとって重要なこと(生命体は化学反応で動いている)との認識は薄く、意識するようになったのは、福岡伸一先生の「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか(小学館新書)」を読んでからです。その後、「動的平衡2」、「動的平衡3」、そして「福岡伸一、西田哲学を読む」へと読み進め、生命誕生から進化が動的平衡にあることに興味を持つようになりました。

 福岡伸一、西田哲学を読む(福岡伸一、池田義昭著:明石出版)」より転載

 動的平衡を短く説明すると正しくない表現もあることを承知の上で言えば、生命は分解と合成を繰り返す動的平衡状態にあっても、わずかに分解速度が合成速度より先回りすることで老いを迎え、最終的に死に至る(ヘイフリックの限界を迎える)と、私は解釈しています。

 平山先生の本を読み返すと、原子が持っている総エネルギー(エンタルピー)とエントロピー

の”動的な”平衡という説明があります。動的な平衡をシーソーに例えて、真ん中で静止していても、それは常に左右に揺れ動いていることが時間平均すると止まっている様に見えているだけだということです。エネルギーで見れば、気体(分子が無秩序に散らばっている状態)が冷えれば液体あるいは固体となるけれどもエントロピー増大という絶対的な原則(熱力学第二法則)で気体に戻ろうとするシーソーです。

 エントロピーは増大するのであれば生命という個体(固体)の存在はあり得ないのですが、エンタルピーとエントロピーのバランスの上で、見かけ上存在しているのが今の私の姿であり、宇宙に散らばったガスが冷えて地球ができて、アミノ酸が生まれやがて生命になり、40億年もの長~い歳月を経て今の私という存在があるのだと思うのです。でもエンタルピーはエントロピーには勝てない、そして私は老いていく、何もしないで合成速度が遅くなれば、分解速度は速くなり老いは速くなる・・・。

 合成速度が遅くならないように何をすれば良いのかがブログのテーマであり、という訳です。膝痛も元々は老いが原因です。何をすれば良いのか、良く考え、実践して行きたいと思います。それが、元気で長生きしたいと思っている方の参考になれば幸いです。

 現在問題になっている生産管理体制の緩みは、ある意味エントロピー増大の法則によるものなのかも知れません。でも、何をすれば良いのかを考えれば、悲しいことにはならなかったのでしょうね。


拡がる自主回収

2024-03-25 15:21:52 | 日記

 小林製薬の紅麹製品の自主回収報道後、同社製造の紅麹を使った製品の自主回収が報道されています。
 最初の自主回収の判断が「遅かったといわれればそれまで。」との社長会見がある中、小林製薬から原料提供を受けていたメーカーが、小林製薬の報道後に早々と自主回収を判断したのは当然のことと思います。原因が特定できてなくても、まずは消費者の安全を守ることを最優先して欲しいですね。
 製薬業界に限らず、自動車業界も生産工程の管理体制が甘くなっていると思います。こんな事例(事故)が起きると規制が厳しくなって、自分で自分の首を絞めることになると思うのですが。。。

 さて、小林製薬の紅麹原料事業について調べてみたところ、、2018年のプレスリリースで、学会発表の内容とともに、紅麹のB2B事業を展開することが記載されていました。

 プレスによると、2016年にグンゼ株式会社から紅麹事業を譲り受けたとのことです。
事業を譲り受けるというからには知的財産権があるはずなので調べてみると、「モナコリンK生産性に優れた紅麹菌株」という発明名称(特許第5283363号)の特許が登録されており、菌株 (Monascus pilosus NITE B P-412)と菌株の取得方法、その菌株を用いて得られる紅麹と紅麹の製造方法が主な請求項(請求項とは、早い話がビジネスでお金を稼ぐ根拠となるもの)でした。
 製造についてはザックリですが、白米を紅麹菌で発酵した後で菌を失活させて乾燥して粉末にする、というものです。
 この製造過程で何かが入り込んでしまったのでしょうか。今のところ、ここまでが事実として説明できるものです。

 腎疾患で入院された方は26人になり、中には腎透析が必要になったとのこと。なんとも痛ましい事故(事件?)ですが、メディア報道の見方によっては、紅麹が身体に悪いと取られてしまい、紅麹と名のつく食品が避けられてしまうこと、つまり風評被害が危惧されます。
 小林製薬の早急な原因の調査結果報告が待たれるところですが、メディアも中途半端な報道ではなく、現時点で分かることはきちんと説明し、風評被害が起こらないようにしてもらいたいものです。

※ Business to Business:企業が他の企業に商品やサービスを提供すること。機能性表示食品の多くは、その原料(機能性関与成分)は、B2Bによるものです。