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会社オフィス前における労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合ですか。

2015-08-07 | 日記

会社オフィス前における労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合ですか。


 労働組合は,団結権,団体交渉 権が法的権利として保障されており,その目的とする組合員の労働条件の維持,改善を図るために必要かつ相当な行為は,正当な活動として,違法性を阻却されることになります。労働組合の組合活動としての表現行為,宣伝行動によって使用者の名誉や信用が毀損された場合,当該表現行為,宣伝行動において摘示されたり,その前提とされた事実が真実であると証明された場合はもとより,真実と信じるについて相当の理由がある場合も,それが労働組合の活動として公共性を失わない限り,違法性が阻却されることになりますし,当該表現行為,宣伝行動の必要性,相当性,動機,態様,影響など一切の事情を考慮し,その結果,当該表現行為,宣伝活動が正当な労働組合活動として社会通念上許容された範囲内のものであると判断される場合には,行為の違法性が阻却され,不法行為とならないことになります。
 他方で,組合活動としてなされる文書活動であっても,虚偽の事実や誤解を与えかねない事実を記載して,会社の利益を不当に侵害したり,名誉,信用を毀損,失墜させたり,あるいは企業の円滑な運営に支障を来たしたりするような場合には,組合活動として正当性の範囲を逸脱し,違法と評価されることになります。



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社内組合と唯一交渉団体条項のある労働協約を締結した場合,社外の合同組合を拒絶することはできますか

2015-08-07 | 日記

社内組合との間で当該社内組合が唯一の交渉団体である旨の規定(唯一交渉団体条項)のある労働協約を締結していることを理由として,社外の合同労組からの団体交渉申入れを拒絶することはできますか。


 労働組合の団結権及び団体交渉 権は等しく保障されるべき性質のものですから,社内組合と唯一交渉団体条項のある労働協約を締結したからといって,他の労働組合の団結権及び団体交渉権を侵害することはできず,唯一交渉団体条項は無効となります。唯一交渉団体条項の存在を理由に社外の合同労組からの団体交渉を拒絶することは,不当労働行為となります。
 唯一交渉団体条項の存在を理由に,社外の合同労組からの団体交渉を拒絶することはできません。



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社内の多数組合を脱退して社外の合同労組に加入した社員を,ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇する

2015-08-07 | 日記

社内の多数組合を脱退して社外の合同労組に加入した社員を,ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇することはできますか。


 ユニオン・ショップ協定は,労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せず又はこれを失った場合に,使用者に当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化を図ろうとするものですが,他方,労働者には,自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由があります。また,ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合(締結組合)の団結権と同様,同協定を締結していない他の労働組合の団結権も等しく尊重されなければなりません。
 このため,ユニオン・ショップ協定によって,労働者に対し,解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは,それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されず,ユニオン・ショップ協定のうち,締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが,他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は,右の観点からして,民法90条の規定により,これを無効と解すべきである(憲法28条参照)とするのが,最高裁判例です(三井倉庫港運事件最高裁平成元年12月14日第一小法廷判決)。
 したがって,社内の多数組合を脱退して社外の合同労組に加入した社員を,ユニオン・ショップ協定に基づいて解雇 することはできません。



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団体交渉が行き詰まった場合は,団体交渉を打ち切ることができますか。

2015-08-07 | 日記

団体交渉が行き詰まった場合は,団体交渉を打ち切ることができますか。


 労使の主張が対立し,いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みがなくなったような場合は,団体交渉を打ち切ることができるものとされています(池田電機事件最高裁平成4年2月14日第二小法廷判決)。
 もっとも,交渉が進展する見込みがなくなったといえるかどうかは問題となり得ますので,通常は団体交渉が行き詰まっていることを組合に確認した上で,団体交渉 を打ち切るとよいでしょう。
 また,団体交渉が打ち切りとなれば,労働組合による街宣活動や争議行為が行われる可能性が高くなることにもご留意下さい。


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誠実交渉義務とはどういうものですか。

2015-08-07 | 日記

誠実交渉義務とはどういうものですか。


 労組法7条2号は,使用者が団体交渉 をすることを正当な理由がなくて拒むことを不当労働行為として禁止していますが,使用者が労働者の団体交渉権を尊重して誠意をもって団体交渉に当たったとは認められないような場合も,同規定により団体交渉の拒否として不当労働行為となると考えられています(カール・ツアイス事件東京地裁平成元年9月22日判決)。
 具体的には,使用者は,
 ① 労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり
 ② 必要な資料を提示するなどし
 ③ 結局において労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても,その論拠を示して反論する
などの努力をすべき義務があるとされています。
 使用者には労働組合に譲歩する義務も,労働組合の要求に応じる義務もありませんが,上記のような誠実交渉義務はありますので,注意が必要です。



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「⑥顕著な事業者性」の有無を判断する際には,どのような事情を考慮する必要がありますか。

2015-08-07 | 日記

「⑥顕著な事業者性」の有無を判断する際には,どのような事情を考慮する必要がありますか。


 以下のような事情から,顕著な事業者性が認められる場合には,判断要素の総合判断の結果として,労働者性が消極的に解され得るものと考えるのが一般的です(『労使関係法研究会報告書』)。

○自己の才覚で利得する機会
 ・ 契約上だけでなく実態上も,独自に営業活動を行うことが可能である等,自己の判断で損益を変動させる余地が広範にある。
○業務における損益の負担
 ・ 相手方から受託している業務で想定外の利益や損失が発生した場合に,相手方ではなく労務供給者自身に帰属する(ただし,相手方が一方的に決定した契約により,労務供給者が一方的に損失を被るような場合は,事業者性が顕著であると評価される訳ではない。)。
○他人労働力の利用可能性
 ・ 労務供給者が他人を使用している。
 ・ 契約上だけでなく実態上も相手方から受託した業務を他人に代行させることに制約がない。
○他人労働力の利用の実態
 ・ 現実に,相手方から受託した業務を他人に代行させる者が存在する。
○他の主たる事業の有無
 ・ 相手方から受託する事業以外に主たる事業を行っている。
○機材,材料の負担
 ・ 労務供給者が,一定規模の設備,資金等を保有している。
 ・ 業務に必要な機材の費用,交通費,保険料,修理代などの経費を,実態として労務供給者が負担している(ただし,相手方が一方的に決定した契約により労務供給者側による機材等の経費の負担が求められている場合は,事業者性が顕著であると評価される訳ではない。)。



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「⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,一定の時間的場所的拘束」の有無を判断する際に考慮すること

2015-08-07 | 日記

「⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,一定の時間的場所的拘束」の有無を判断する際には,どのような事情を考慮する必要がありますか。


 以下のような事情がある場合に,広い意味での指揮監督下の労務提供や,労務供給の日時,場所についての一定の拘束が肯定的に解されるものと考えるのが一般的です。ただし,これらの事情がない場合でも直ちに広い意味での指揮監督下の労務提供や一定の時間的場所的拘束が否定されるものではありません(『労使関係法研究会報告書』)。

○労務供給の態様についての詳細な指示
 ・ 通常の委託契約における業務内容の指示ないし指図を超えて,マニュアル等により作業手順,心構え,接客態度等を指示されている。
 ・ 相手方から指示された作業手順等について,事実上の制裁があるなど,労務供給者がそれらを遵守する必要がある。
 ・ 業務を相手方の従業員も担っている場合,当該業務の態様や手続きについて,労務供給者と相手方従業員とでほとんど差異が見られない。
 ・ 労務の提供の態様について,労務供給者に裁量の余地がほとんどない。
○定期的な報告等の要求
 ・ 労務供給者に対して業務終了時に報告を求める等,労務の提供の過程を相手方が監督している。
○労務供給者の裁量の余地
 ・ 業務量や労務を提供する日時,場所について労務供給者に裁量の余地がない。
○出勤や待機等の有無
 ・ 一定の日時に出勤や待機が必要である等,労務供給者の行動が拘束されることがある。
○実際の拘束の度合い
 ・ 労務供給者が実際に一定程度の日時を当該業務に費やしている。



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「④業務の依頼に応ずべき関係」の有無を判断する際には,どのような事情を考慮する必要がありますか。

2015-08-07 | 日記

「④業務の依頼に応ずべき関係」の有無を判断する際には,どのような事情を考慮する必要がありますか。


 以下のような事情がある場合に,業務の依頼に応ずべき関係が肯定される方向で判断されるものと考えるのが一般的です。ただし,これらの事情がない場合でも直ちに業務の依頼に応ずべき関係が否定されるものではありません(『労使関係法研究会報告書』)。

○不利益取り扱いの可能性
 ・ 契約上は個別の業務依頼の拒否が債務不履行等を構成しなくても,実際の契約の運用上,労務供給者の業務依頼の拒否に対して,契約の解除や契約更新の拒否等,不利益な取り扱いや制裁の可能性がある。
○業務の依頼拒否の可能性
 ・ 実際の契約の運用や当事者の認識上,労務供給者が相手方からの個別の業務の依頼を拒否できない。
○業務の依頼拒否の実態
 ・ 実際に個別の業務の依頼を拒否する労務供給者がほとんど存在しない。また,依頼拒否の事例が存在しても例外的な事象にすぎない。



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