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派遣先事業主の労組法7条の使用者性

2013-12-23 | 日記

派遣先事業主の労組法7条の使用者性の判断基準を教えて下さい。

 近時の中労委は,労組法上の使用者性を,以下の基準を用いて判断しています(「労組法第7条の使用者性を判断するための一般的な法理」)。
 労組法7条は,労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進するために,労働者が自主的に労働組合を組織し,使用者と労働者の関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること,その他の団体行動を行うことを助成しようとする労組法の理念に反する使用者の一定の行為を禁止するものであるから,同条にいう「使用者」は,「同法が上記のように助成しようとする団体交渉を中心とした集団的労使関係の一方当事者としての使用者」を意味し,
 ① 労働契約上の雇用主
が基本的にこれに該当するものの,必ずしも同雇用主に限定されるものではなく,雇用主以外の者であっても,例えば,
 ② 当該労働者の基本的な労働条件等に対して,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているといえる者
 ③ 当該労働者との間に,近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者
もまた雇用主と同視できる者であり,労組法7条の「使用者」と解すべきである。

 そして,中労委は,労働者派遣法に基づく派遣先事業主の使用者性に関し,労働者派遣法は,明文の規定は設けていないものの,同法上の枠組みに従って行われる労働者派遣の派遣先事業主については,当該派遣労働者(その属する労働組合)との関係において労組法7条の使用者に該当しないことを原則として立法されたと解するのが相当であるとして,派遣先事業主の使用者性を制限的に捉えています。
 もっとも,原則に対する例外として,例えば,
 ① 労働者派遣が,労働者派遣法の枠組み又は労働者派遣契約で定められた基本的事項を逸脱して行われている場合
 ② 労働者派遣法上,派遣労働者の労働条件や雇用について,一定の責任を負わされたり,義務を課されたりしている場合
については,労働条件や雇用に関する団体交渉等を保障する労組法の趣旨にかんがみ,上記の一般的な法理のうち,雇用主以外の場合に関する法理に従い,当該派遣先事業主に労組法7条の使用者性を認める余地があると解するのが相当であるとしています。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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