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違法なパワハラに該当するかどうかの判断基準を教えて下さい。

2014-08-25 | 日記

違法なパワハラに該当するかどうかの判断基準を教えて下さい。

 違法なパワハラ に該当するかどうかは,「行為のなされた状況,行為者の意図・目的,行為の態様,侵害された権利・利益の内容,程度,行為者の職務上の地位,権限,両者のそれまでの関係,反復・継続性の有無,程度等の要素を総合考慮し,社会通念上,許容される範囲を超えているかどうか」といった基準で違法性の有無が判断されるのが一般的です。
 指導教育目的であれば違法なパワハラとはなりにくいですが,指導教育を行う上で合理性のない言動の場合は,違法なパワハラと判断されやすくなります。
 また,指導教育目的であっても,反復継続して行われるなど,程度が甚だしい場合には,違法なパワハラと判断されることがあります。
 例えば,大勢の前で,あるいは大勢の人を宛先に加えた電子メールを用いて,「見せしめ」目的ではないかと疑われるようなやり方で,特定の社員を激しく叱責しているような場合は,指導教育を行う上で合理性のない言動と評価されたり,やり過ぎと評価されたりして,違法なパワハラと判断されてしまうリスクが高いものと思われます。
 参考裁判例としては,以下のようなものがあります。


 ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル(自然退職)事件東京地裁平成24年3月9日判決(労判1050号68頁)
 「この点,世上一般にいわれるパワーハラスメントは極めて抽象的な概念で,内包外延とも明確ではない。そうだとするとパワーハラスメントといわれるものが不法行為を構成するためには,質的にも量的にも一定の違法性を具備していることが必要である。したがって,パワーハラスメントを行った者とされた者の人間関係,当該行為の動機・目的,時間・場所,態様等を総合考慮の上,『企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が,職務を遂行する過程において,部下に対して,職務上の地位・権限を逸脱・濫用し,社会通念に照らし客観的な見地からみて,通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為』をしたと評価される場合に限り,被害者の人格権を侵害するものとして民法709条所定の不法行為を構成するものと解するのが相当である。」

 

 海上自衛隊事件福岡高裁平成20年8月25日判決(労経速2017号3頁)
 「一般に,人に疲労や心理的負荷等が過度に蓄積した場合には,心身の健康を損なう危険があると考えられるから,他人に心理的負荷を過度に蓄積させるような行為は,原則として違法であるというべきであり,国家公務員が,職務上,そのような行為を行った場合には,原則として国家賠償法上違法であり,例外的に,その行為が合理的理由に基づいて,一般的に妥当な方法と程度で行われた場合には,正当な職務行為として,違法性が阻却される場合があるものというべきである。」



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