続・弓道の極意

私が一生をかけて極めようとしている弓道について、日々の気づきを積み重ねていくブログ

「下ろす」から「近づける」へ

2009年07月19日 | 極意探求
「上下」を意識する下ろす引分けが自然にできるようになったら、今度は「前後」を意識して引分けをすることで、もう一段高みに上がることができる。

つまり、打起しから、大三、引分け、会に至るにしたがって、弓を身体に近づけていく、ということだ。

下ろす引分けは、高く上げた打起しから、「上下」だけを意識して、ただ下ろしてくる、というものだった。これにより、引いたり、押したりではなく、詰合いによって弓を押し広げる感覚を身につけることを意図していた。

これと同様に、近づける引分けは、「前後」だけを意識し、詰合いながら胸を開き、弓を肩に背負い込み、背中で会に入る、という感覚を養うものである。

下ろす引分けが自然にできるようになっていれば、近づける引分けはそう難しくない。意識を「上下」から「前後」にかえ、打起しから大三、会へと至るまで、弓を身体に近づけてくることだけを意識するのである。

具体的に見ていこう。

まず、打起しをできるだけ身体から離してとるようにする(高さも十分にとること)。こうすることで、大三に向けて、弓を近づける感覚がわかりやすい。

もちろん、肩根を落とし、腕をしっかりと伸ばし、やや円相を保つようにすることは以前と変わりはない。

次に、打起しから大三にかけて、弓手は肩根を中心に回し開き、馬手は引かれるまま肘で保ち、やや身体に近づける。

このとき、馬手を引かれるままに身体に近づけるためには、肘をやや張り上げることが必要なことに注意をしよう。やってみればわかると思うが、これは馬手を身体に近づけるためには必要な動作である。

これで、打起しのときの両こぶしを結んだラインは、大三でやや身体に近づくことになる。(イメージとしては、打起しでは両こぶしのラインを、大三では弓手のこぶしと馬手の肘とのラインを考えるとよい)

そこからさらに、そのラインを背中のちょうど両肩根を結ぶラインに向けて、近づけるように引き分けてくる。

このとき、的に向かって弓手を伸ばしたり、馬手を引いたりする意識を一切捨て、身体に弓を近づける「前後」の意識だけを持つようにすることが肝要である。(上下の引分けができていれば容易にできるはずである)

このように引き分けると、深く詰合いながら、弓に深く分け入る感覚が体感できる。