続・弓道の極意

私が一生をかけて極めようとしている弓道について、日々の気づきを積み重ねていくブログ

重量挙げと弓道は似ている②

2010年09月15日 | 積み重ね
前回、重量挙げと弓道の似ているところは、腕の力をほとんど使っていないところだ、ということを書いた。

もう一つ、弓道と似ているところがある。それは持ち上げる前の事前姿勢である。

スナッチにしろ、ジャークにしろ、バーベルが地面に置かれているところから始まるのは同様である。

このとき、どちらも肩と拳(つまりバーベル)の位置が地面に対して垂直になっている。これは、バーベルの重さを腕の力ではなく、身体で受け止め、下半身で挙げるための事前姿勢である。

このことは、当然といえば当然であるのだが、では弓道ではその当たり前のことが出来ているだろうか?

弓道において力を入れ始める事前姿勢にあたるのは大三である。

この大三において、本来であれば、弓からの力を身体で真正面から受け止められる状態(※)になっていなければならない。すなわち、弓の中に身体が入っているということである。

しかし、実際には弓には矢がつがえてあり、弓に身体を割っていれるのは不可能である。

したがって、十分に弓を身体に引きつけ、真正面ではないながらも、弓の力をなるべく正面から受け止められるところまで身体を入れなければならないのだ。

これが大三の役割であり、このようにして大三に入ることで自然に身体で引分けられるようになる。

身体が弓にしっかりと入ると、その後の引分けの感覚が明らかに感覚の違うものになる。腕で押したり、引いたりする感覚はなく、全身を伸ばす(伸びをする)感覚に近くなるのだ。

こうして会にいたったならば、そのまま身体全体を伸ばし続ければいいわけで、伸合いもそれほど難しくはない。

では、大三で身体を入れるためにはどうしたらよいのか?以下に3点ほどポイントを挙げておくので、参考にしてほしい。

1) 背筋・首筋を伸ばし、顎(あご)を引き、縦線を効かせ、
2) 弓手肩根を下げ、手先に力を込めず、しかし十分に的方向に伸ばし切る
3) 妻手は弓手に引かれるまま二の腕でこれを支え、十分身体に引き付ける

上記のポイントに加えて、全体のイメージとして、頭上から見たときに、弓のライン(弓手と妻手の拳のライン)が両肩のライン(三重十文字のライン)に並行のまま近づくイメージで大三をとるとよいだろう。


※ここで「正面」という言葉は、身体の前側のことではなく、「身体でどっしりと受け止める」というニュアンスで使っている。弓道の場合、身体の横のライン(三十十文字)で弓の力を真正面から受け止めていなければならない。