続・弓道の極意

私が一生をかけて極めようとしている弓道について、日々の気づきを積み重ねていくブログ

力を掛け続ける技術②

2010年05月26日 | 積み重ね
前回、息合いは「長い呼吸」が目的なのではなく、「長く力を掛け続ける」ことが目的ということを書いた。

では、「長く力を掛け続ける」とはどういうことだろうか?

一見すると、引分けの際に弓を引いてくる以上、力を掛け続けるのは当たり前のように思える。

しかし、よく考えてみてほしい。普段の生活の中で、あるいは、他のスポーツで、これほどまでに長い時間、一定の力を掛け続けることはあるだろうか?

おそらく通常、「力を掛ける」というと、瞬間的に大きな力を掛けることを意味していることが多いのではないだろうか?

つまり、「長く力を掛け続ける」というのは決して自然にできることではなく、極めて特殊な技術なのである。

この技術を「息合いの技術」と呼ぶことにしよう。

たとえば、重い旅行かばん(最近ではコロコロカバンが主流?)をもって駅などを移動しているとき、目の前に長い階段が立ちはだかったならば、当然そこをカバンを持って降り(上ら)なければならない。

本当に重いカバンであると、半分くらいはいけるかもしれないが、一気に(一息で)下まで降り切るのは結構骨が折れるものである。

これを息合いの技術を使って降りることで、自然に、平然と、息を切らすことなく下までカバンを持って降りることができるのである。

引分け、会、でも全く同じことがいえる。

つまり、普通に引くのでは、目一杯の力で、ムリをして引いてこなければならないところを、息合いの技術を使うことで、平然と引き切り、なおも伸合う余力を残すことができるのだ。

特に初心の頃において、この技術を無視して、「とにかく長く持て!」と叫んでみたところで到底無理な話である。

息合いの技術をできるだけ早く身につけ、平然と弓を引いてこられるようになることこそ、初心者がはじめに身につけるべき技術であるし、これによって早気の予防にもつながるはずである。