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10月13日から始まった宝塚宙組公演
つい、神々の黄昏 と間違えてしまいそう…
トップスター 朝夏まなとさんの退団公演です。
先日観てきたので感想を。
上田久美子氏の脚本・演出
上田先生は以前何かのインタビューで、歌舞伎が好きで、その中でも「熊谷陣屋」が好きと言っていました。
え~っ随分渋好みだなあ、若いのに…と思った記憶があります。
今回のお芝居はそんな上田先生の渋好みがすごくよく出ていると思いました。
今までの上田先生の作品のなかで一番好きかな。
「翼ある人々」もよかったけれど、あれはバウ作品だし、今回は本公演でスケール
が違うし、とにかく心に残る余韻を持った凄くいい作品だと思いました。
とにかく静かに深く進行して行きます。
社会の変化を受け止めることなくあいも変わらず贅沢な暮らしを続ける貴族たち。
そんな貴族に暴動で対抗する貧しい農民たち
そして現れる怪僧ラスプーチンは皇后アレクサンドラに取り入り、ロマノフ体制を揺るがし始める…
ラスプーチンに頼る皇帝を退位させロシアを立て直そうとするロマノフ家一族がドミトリーを説得して、ラスプーチン射殺に至るまでが淡々と静かななかに熱いうねりとなって描かれます。
静かな集中という感じ
上田先生が熊谷陣屋が好きというのがよく伝わってくるような深い味わいのあるお芝居でした。
場面の構図もよく練られて絵画的で素敵でした。
特に大階段を使った演出が印象的。
真っ赤な布を敷き詰めた大階段
そこに軍服姿の将校たちが揃う閲兵式の場面、ラスプーチンを射殺する場面も赤い大階段です。
まるで絵画を見るような美しさでした。
ラスプーチン殺害の前、銀橋を下手から上手へ進むアレクサンドラ皇后の真っ白いローブの長い裾を顔を伏せ、腰をかがめて捧げ持ちながら一緒に進む真っ黒い影…ラスプーチン
アレクサンドラ皇后とラスプーチンと対照的に本舞台から銀橋に進むドミトリー
真っ白なアレクサンドラと真っ黒いラスプーチンが真っ赤な大階段を登っていくところで、銀橋から朝夏さん演ずるドミトリーが銃撃するのです。
構図、色、全てが鮮やかで素晴らしい場面。鳥肌でした。
革命後、亡命したロマノフ家の人々はニューヨークで手持ちの絵画をアメリカ人相手に売りさばきながら、帰れるはずもない今はソビエトとなったロシアの地を懐かしむ…
そして、ドミトリーにもう一度イリナに合わせてやりたかった、と言うロマノフ家の嫡男フェリックス
皇帝、その家族、貴族たち、ラスプーチン、農民たち…ロシアの大地に生きた全ての人たちが一緒に出てくる場面も感動したけれど、ドミトリーとイリナが雪の平原で再会している最後の場面も切なくて…
深い余韻を残す素晴らしい作品でした。
主題歌も素敵で、静かだけれど深い感情がこもっているようなメロディライン
作曲は青木朝子氏(そういえば、瞳子さんの退団公演のショーの A BIENTOT も青木
先生でしたね)
音楽配信が始まったので、早速スマホに取り込んで絶賛リピート中です。
ショーについてはまた後日…の予定
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