やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【米国】 序章:「自滅への選択肢」 ~「帝国解体」という本から観るアメリカの良心 その5 ~

2012年08月25日 | ~h27 政治経済

~日本の重要なパートナー(それとも宗主国?)である米国をより深く理解するために、《良心的学者であった一人の米国人が、米国についてどう思っていたのか》勉強することにしました。Chalmers Johnson:著「帝国解体」(訳者:雨宮和子/岩波書店2012.1.27第1刷)から抜粋・引用。※引用は青字で、そのなかの太字赤字は私の強調

■序章「自滅への選択肢」<p1~10> (※引用文の改行と赤字化は松永による)

p6-7
 ペンタゴンとそれを取り巻く強力な集団が、本書が強調するようにアメリカを崖際に追いつめる決定的な役割を果たした度合いを考えると、こうしたことにオバマが選挙運動中に言及しなかったことは不審を招く以外の何ものでもない。

 たしかに、これらの勢力への挑戦を決意した大統領候補者が、ペンタゴンや「諜報社会」や軍産複合体に対して、彼らの限界を思い知らせるのはむずかしかったかもしれない。
 しかし残念なことに、オバマはそれをやってみようともしなかった。

 このことは、現状維持に膨大な既得権益を持つ勢力が、この大統領を最初からがんじがらめにしており、同様に重要なことには、アメリカの安全保障と世界におけるアメリカの帝国主義的なあり方の問題となると、彼その勢力に黙従したことを物語っている。

 アメリカの政治・軍事的状況をよく知っている著者がこう書いているのですから、「その勢力」=「ペンタゴンや『諜報社会』や軍産複合体」は、アメリカにおいて最大の巨大な力:権力を持っているということですね。大統領(候補者)もしのぐような…
 ということは、(現在の)世界の状況を理解しようとするときには、必ず、大きな要素として、アメリカのもつさまざまな力のうちの「軍事力+軍事産業」をまず考えなければいけないということですね。

p8
 アメリカは基地帝国を解体しはじめることができたはずだ。
 その一例を挙げれば、2009年に生まれた新しい日本政府にいやがられた普天間という沖縄の巨大海兵隊基地は、ただ閉鎖すればよかった。
 ところがアメリカは、海兵隊をグアム島(といっても、そんな基地を抱えることができないのだが)、あるいは沖縄の自然環境豊かな他の地域へ移転する費用を日本に負担させることで、日本を従順な衛星国家として威嚇し続けている。

 おそらく、国際関係に関心のあるアメリカ人のほとんどは、現在の日本のことは「従順な衛星国家」と思っているのでしょうね。(※内心では「原爆や焼夷弾による無差別爆撃などへの日本人の復讐の可能性」を恐れている人がけっこういると思いますが…)

 アメリカが中共や韓国のような露骨な敵対外交をしないかぎり、日本がアメリカと感情的に対立することはないでしょう。
 なぜなら、日本は、《数千年来の日本文明の諸要素を基盤としながらも、154年前(=1868年)の明治維新から、すでに米・欧文化を幅広く取り入れ続けてきている》からです。
 その状況は、各領域により、「融合」であったり「混在」・「共生」であったりします。そして、服装や、音楽、スポーツなど、「国内の米・欧文化」のほうがはるかに優勢な領域がたくさんあるほどです。※「科学・技術」はもはや「地球文明の重要な要素」になっています。

 (※この「外来文化の積極的採り入れ精神」も、日本文明のなかの大きな要素です。後で作られた「江戸時代の鎖国」という概念は嘘で、実際は「幕府による貿易の独占体制」と「白人キリスト教国による植民地帝国主義への警戒対応政策」というのが歴史上の事実です。)

 アメリカ人のジョンソン氏が主張するような米国になれば、かなりの「非日本人的・愛米日本人」はとまどうでしょうが、日本がいやおうなく「普通の独立国」(=国家経営の責任を国民からきっちりと問われる国)になるきっかけになることはまちがいありません。

 もしも、米国が「軍事力による世界支配」をゆるめ(あるいは、ゆるめざるをえなくなり)、中国国内でようやく「冷静な対日世論」が許可・公開されはじめるのだとすれば<参照リンク:「
広東の企業幹部が「尖閣諸島は日本領土」、中国版ツイッターで発言、人民日報記事など証拠挙げ、賛同広がる」>
、「日本人の自覚による」のではなく、外因:環境の変化による「新しい日本の夜明け」ということになるのでしょうが…


~次回、「第1部 過去の行い」~


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