山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

防草シートの下にある世界

2019-05-29 | めぐる季節と自然

   *ブログタイトルと写真は関係ありません。

 

今年はもう畑をやるのをやめることにした。なんだかんだで結構大変で、草を生やしてしまうからだ。

「畑をやる」というとずいぶんエラそうだが、今までもろくにちゃんとやっていない。ほそぼそとキュウリやトマトを2本ずつ、わずかのネギやハーブ、それに花を植えていただけだ。

すぐに全部やめるのが本来だが、畑に今もある花々、アイリス、アヤメ、アガパンサス、グラジオラス、ヒゲナデシコ、オミナエシ、唯一の野菜のオカワカメ、それらを移動できずにいる。

畑の空地には前から防草シートをかけていたが、空地が増えてシートが足りなくなったし、破れ目もできたりしたので、シートを強化する作業にかかった。

シートには草が突き刺さって伸びていたりする。それをメリメリとめくったら、黄土色で細長いコウガイビルがヘアピンカーブみたいになって眠っていた。

こんなところに住んでいるのだ、と分かる。コウガイビルは湿ったところが大好きで、梅雨時にときどき石の上なんかに現れる。靴ひもをテラテラ光らせたような感じのやつで、頭は一番簡易のワインオープナーみたいな形をしている。姿が嫌いだと言って、隣の奥さんはすぐに塩をかけるらしい。シートを取ったので驚いて逃げようとしているところに、細かいアリが群がってきた。またシートをかけておいたが、その後どうなったのか、知らない。

その隣のシートをはがすと、ムカデが急いで逃げて行った。

さらに。

別のシートをはがしたら、小さなマムシがいた。マムシは同じ毒へびでもハブとは違ってとびかかってきたりはしない。これもやっぱりびっくりして、おどおど、こそこそと、どこかへ逃げて行った。かわいいものである。

黒い防草シートの下にも世界があるんだなあと感心した次第である。

 

ところで前の前の記事に書いた、アベマキの木についていた何かの幼虫が、やっとほとんどどこかへいなくなってくれた。終齢だと言われてから10日ぐらい経っているが、その間まだまだ大きくなっていて気持ち悪いことこの上なかった。鳥が来て食べてくれることなど全然なかった。どこかへいなくなったとはいうものの、本当にいなくなったわけではなく、どこかへ移動してサナギになっているのである。成虫になったら二度と戻ってこないでほしい。虫に罪はないので、そういうことを言う私は非常に自分勝手であることは分かっている。が、不快なものは不快である。

 

写真 白い花はナズナ、黄色い花はイヌナズナ、薄紫のはヒメオドリコソウ。

ナズナとイヌナズナはよくこのように混じりあって生えている。イヌナズナは都会では見ない花だ。山里のちょっといいところにある。混じって生えているのは本当に好ましい。2019年5月上旬、木曽地方にて。

 

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春のアサツキ

2019-05-28 | ネギの仲間 アサツキ・ラッキョウ・ノビル・ヒトモジ…

3月下旬の写真を今頃出して申し訳ない。

 

ラッキョウ、アサツキ、ノビル……

アリウムと呼ばれるもの。花壇に植える、花屋さんの店先を飾る豪華な紫色のアリウムは、花好きの人なら知っていると思うが、ラッキョウもアサツキもノビルもネギも玉ねぎも、アリウムの仲間。アリウム属=ネギ属である。

で、これらはずっと昔、ユリ科アリウム属(ネギ属)だったのだが、新しいAPG分類になってユリ科から分離してネギ科になったと思っていたら、一番最近の分類では、ヒガンバナ科の中に組み込まれてネギ亜科になっているらしい。

驚愕である。(何を驚いているのか自分でも不明)

強いて分析するならば、ユリ科は食用、ヒガンバナ科は猛毒、という単純化しすぎなイメージを持っているからである。実際にはユリ科にも猛毒のものはある。

まあ、そんなことはどうでもいい。ユリ科だろうとヒガンバナ科だろうと、ラッキョウとアサツキとノビルに何か変わりがあるわけではない。市町村合併したって分離したって住民は前と変わらないままなのと同じだ。

 

さて。

以前、アサツキとラッキョウの見分けに悩んだ時期もあったが、よく見ていると、その生態はずいぶん違う。

写真は3月下旬。この時期に、他の草に先駆けるように元気よく真直ぐに伸びてくるのは、アサツキである。本当に、畑のわきや道端に、すくすく、すくすくと、気持ちよく伸びる。ラジオ体操第一で手をすっと上に上げているようである。

一方、ラッキョウは冬にも葉が枯れないでいるため、新しく伸びてきたアサツキを、見守っている、というよりは、くたびれてぼんやり眺めている感じである。

中央の少し右よりに、薄い緑色で横たわるように伸びているのがラッキョウ。

アサツキは霜が降りると枯れるのだが、その枯れた葉の色が独特で、真っ白。それも少し青みがかったような真っ白で、つい、「アサツキの死体」という言葉が頭に浮かぶ。下の写真の矢印の部分。

 

今は早、5月も終わりなので、ラッキョウもアサツキもまじりあって生えている。ラッキョウは新しい葉を伸ばしている。見分けられる人はかなりのオタクか農家である。新しい葉を伸ばす時期はアサツキの方が早い。そして色がラッキョウより若干黄色を帯びている。

アサツキは今、花の時期だ。ピンクのとてもきれいな花だ。先日木曽のむらの土手に咲いていた。ラッキョウの花は秋である。

 

過去の記事

ラッキョウ、アサツキ、ノビルの見分け ネギ科というか
2013-04-29

ノビルの花、ラッキョウ、アサツキ
2012-05-30

雪と、冬のらっきょうとあさつき
2017-02-09

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホトトギス、柳絮

2019-05-21 | めぐる季節と自然
ホトトギスが到来した。
去年は特別早く5月8日に記録があるが、それ以外のここ数年は
大体5月15~20日ころ到来に気付いている。
いつも同じのが来るのだろうか。

ホトトギスには雨が似合う。
今朝も強い雨だった。


庭に勝手に生えてきているアベマキに、大量の何かの幼虫がついていた。
すごく気持ち悪い。茶色くて親指ぐらいの長さだ。
知り合いの蝶の研究家に聞くと、そのように大量にかたまってつくものは
蝶ではなく蛾だそうだ。
殺虫剤をかけてやりたかったが、小鳥の餌がなくなったら困るだろうと思い
躊躇した。
5㎝ほどもあるのなら終齢だろうというので
まもなくいなくなるだろうと思って、見ないことにしたが
1本の方は、いなくならずに、広がっている。
もう1本の方はいなくなっていた。
(しっかり見ている……)

早く小鳥が気づいて、大勢でやってきて、食べつくしてもらいたい。
今日来たホトトギスなど大型だから格好の餌になると思うのだけど。
けれどホトトギスが庭先に来たことなど、今までに一度だってない(と思う)。

ホトトギスは高いところを飛んでいるが、意外に低いところに住んでいるらしいので
本当に、来てほしい。


写真。
雪のように舞う、白いものは、柳絮(りゅうじょ)。
柳の花の綿毛だ。
漢詩にうたわれている。
上から降って来るのではなく、下から上に舞い上がっていく。
5月の風がさわやかない吹いていた。
ゴールデンウィーク中の木曽川べり。
左下の木が、川原に生えるヤナギ。


 (写真/2019年5月上旬 中津川市・南木曽町境の木曽川 道の駅賤母の前)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする