きのうの話とちょっと関連して、今日は門松の話題です。
加入しているメーリングリストで、門松カードの話題が出ました。
愛知県瀬戸市では、門松を印刷した紙が各戸に配布されて、それが利用されているということ。名古屋市にはないということです。
今日はそれについて私が書いた返事を、ここに転載します。
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私の住む中津川市にも代用門松はあります。
12年ほどまえに中津川市に来て、初めてこれを見たときは、正直、笑いました。
でも、多くの家の玄関にこれが貼られているのを見たときは、もっと笑いました。
でも慣れている人には当然のもので少しもおかしくないと思います。
ずっとこれは、新聞店かなにかが配っていると思っていたのです。行政が作っているとは気づきませんでした。
それで、とても興味があったので、市役所に電話して聞いてみたところ、林業振興課が担当で、「門松カード」という名称だということです。
かつては岐阜県が製作して各市町村に無料で配布していたそうです。つまり、岐阜県では全市町村に配られていたということらしいです。県からの配布がなくなったとき、中津川市では市民が当惑するだろうと考え、今は緑化推進協議会の緑の募金の市町村に還元している予算で製作し、市民に配っている。(製作は県がとりまとめて行っている)
市町村合併し、旧中津川市以外の周辺町村で門松カードが不要だと考えられるところ(つまり門松を自分で作っているようなところ)には配布していないということです。
以前に誰かに聞いたところ、これが始まったのは昭和30年代で、当時山の木が少なくなったので、松の伐採をやめてもらうために門松カードが推奨されたということです。
岐阜県の林務関係の方で詳しい方がいらっしゃたら、ぜひ正確なところを教えていただきたいと思います。
愛知県瀬戸市では陶磁器生産のために松がどんどん切られたので、分かる気がしますね。
愛知県森林保全課の知人に聞いてみます。
ところで、私がこの門松カードに感じること……
こんな「代用」じゃなくて、本物を作ればいいのに、
と思うよりも、
ここまでしてまで門松を飾ろうとすることに、感心します。門松を飾るという風習がやめられない、純真さのようなものです。
名古屋の私の生まれ育ったあたりでは門松を見かけた記憶がありません。私の家でも飾っていませんでした。なので、門松カードすら必要とされなかったということもいえます。
話は少しそれますが、日本人の自然や木への愛着は、ほかの代用品にも現れています。
たとえば、家の外装に使うトタンに、木目がプリントされたものがあります。
食品トレーには、経木をまねた木目模様のものがあります。
家の内装用の床に敷くビニールシートにも、板の柄のものや、石の柄のものがあります。(畳の柄のものは見たことがありません)
単なるまがいものと言ってしまえばそれまでですし、そういうものを嫌う人もいますが、私はこの涙ぐましい?努力に、日本人のかわいらしさを感じます。
話を門松カードに戻し、森林インストラクターとしてまじめに考えると、
門松カードは外国の森林資源を使って作っているのですから、今マツなどたくさん生えている日本では、門松カードを廃止するか減らし、少しでも身近なマツで作って飾ってほしいですね。山里のマツを都会の人が買ってくれるといいと思います。
でも今門松カードをやめたら、門松を飾る風習も廃れていくのでしょうか。
それと、今日近くのコンビニ(岐阜県に本社があるタイムリーというところです)に行ったら、門松ポスターが貼られていました。門松カードと色合いがそっくりだったので目が釘付けになってしまいました。
ちなみに、中津川から西の恵那地方にかけては、マツを使わずソヨゴを使うところが多くあります。全国でも、門松に使うのはマツではないところがたくさんあるようです。