山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

黒実錦織(クロミノニシゴリ)

2014-09-04 | 植物

ここ数年、うちの横の道端にクロミノニシゴリが咲くようになった。
白くて小雪みたいな花がちらちらまとまって、楚々としてきれいだ。
時期は6月頃。ほかにも白い花のたくさん咲く時期。
(上の写真は違います!)

クロミノニシゴリはサワフタギとよく似ている。
サワフタギは山地の谷筋、だけど流れの近くではなく、尾根に近いような上のほうでよく見かける。
雪の多いところにいくとタンナノサワフタギがある。

私の地方は東海丘陵型の湧水湿地があって、そういう湿地やため池の周りには
必ずといっていいほどクロミノニシゴリがある。
珍しいのかと思ったら、西日本では一般的?
うちの近所以外で見たことがないしよく分からない。
けれどこの木を見ると、わぁ~湿地が近い!と嬉しくなる。

クロミノニシゴリについてはこのブログでも何度か書いているけれど
木そのものの写真は1枚だけ。それも、つぼみ。
うちの近所で咲いている花を撮ればいいのだけど、花の時期にはいつも蝶の幼虫がセットになってひっついているので、撮りたくないのだ。
サワフタギやクロミノニシゴリを食草とするということで有名な蝶で、シロシタホタルガと言うらしい。
私は蝶の幼虫は嫌いなので、名前もそんなに覚えない。
図鑑や植物の本で見るサワフタギの写真には、一緒にこの虫がついていることが多い。
こんなに一緒にいるからには、サワフタギも何か得をしているのだろうか?


いやいや、今日書きたいのは錦織(にしごり)のことでした。

クロミノニシゴリもサワフタギもハイノキ科で、ハイノキ科というのは
木を燃やして灰を作りそれを染色に使うのでそう呼ばれるということになっている。
実際に私がそれを使って染めてみたことはないので、あくまでも、うんちくとして。
灰で染めるのではなく、媒染剤としてです。
媒染剤というのは、染料と反応させて、色を鮮やかに出したり定着させたりするもの。
同じ染料を使っても使う媒染剤によって違う色に染まるのです。
ハイノキ科以外にも、ツバキなども使われるよう。

昔の人は本当に植物をいろいろに利用していたし、使い方をよく知っていたものだと思う。

クロミノニシゴリというのがあるからには、ただのニシゴリがあるのか?と思っていたら
ありました。サワフタギの別名がずばりニシゴリなのです。サワフタギの実は藍色です。

染色につかわれるのはニシゴリだけで、それに良く似ているから黒実のニシゴリというだけかと思ったら、クロミノニシゴリもちゃんと染色につかわれているようです。
ブータンでも

ブータンにもあるのですね。

テノール歌手の錦織建さんはにしきおりさんですが、
テニス選手の錦織圭さんはにしこりさんです。
御先祖さんは織物や染色にかかわる人だったのでしょうか。

試合がんばってください。

写真/ニンジンの花(本文とは関係ありません)

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チョウセンヨメナ

2014-09-01 | 植物

8月下旬、軽井沢ピクチャレスクガーデンでは、オミナエシ、オトコエシ、ユーフォルビア(フジバカマの仲間)の大型のものなどと一緒に、薄紫のチョウセンヨメナが咲いていた。

我が家に引っ越して来たときから、花壇にはチョウセンヨメナがあった。
地下茎があって、放っておくと次から次へと出てきて、花壇がチョウセンヨメナだらけになった。
最初は珍しがっていたが、粗削りな感じの花で、葉の色も暗くてぎざぎざして丈夫げであまりかわいくないし、
何より、たくさん生えるとほかの花を植えるスペースがなくなってしまって、
あまり有り難くもなくなってきた。
しかも、この家の元の持ち主(花壇を作った人)が「この花、キライ!」と憎々しげに言っていたこともあり、ちょっと影響されたりして、生やしておくと田舎っぽいし、ということで、私もせっせと抜くようになった。

日当たりがよかったころはしきりに生えて来たけど、
庭の木が大きくなって日陰が増えるとともに、この花もあまり生えなくなった。

でも、地下茎がどくだみのようにしっかりあるので絶えることはないようで
なくなったかと思ったら、年によって急に芽を出していっぱい咲いたりするのである。

軽井沢ピクチャレスクガーデンにて

昨年、ポール・スミザーさんというイギリス出身の造園家(景観デザイナー)の方が創った
軽井沢ピクチャレスクガーデンに行って、あっ、と驚いた。

タイルの合間に植え込みに、グランドカバーとして、チョウセンヨメナの葉を使っていたのである。
もちろん花も咲くから、花の時期には花を愛でるのだけど
それ以外の時期、この葉がぎっしり生えている様子は、きれいだと思う。

9月下旬

なるほど!

ポール・スミザーさんの庭では、そんな風に、私が大したことはないと軽んじている植物を
見事な使い方をしていることがよくあって、驚かされる。
植物も使いよう。
いつも、この植物はどう使えるか、という目で見ているのだと思う。

今年は、薄紫の花も、草原風の花壇の中で、いい雰囲気を作っているのを見られた。

この花がチョウセンヨメナという名前であることも
ここで初めて知った。
おかげで去年からこの花が好きになった。

今日は朝からしとしと雨。それがざーざー雨になってきた。
10日ほど前から、こんなに涼しいなんてさすが中津川!と思っていたら
全国的に涼しいらしい。
今週から暑くなるという噂だったけど、ますます寒くなっています。

写真/軽井沢ピクチャレスクガーデン(絵本の森美術館)

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