電車の、いつもと反対側の席に座ったので、いつもと違う景色が見えた。
今まで知らなかった田んぼがたくさん見えた。田植えをしてしばらくたった田んぼは本当にきれい。特に今の時期は、山の若い緑が映るから、余計にきれいに見える。あんまり大々的に田んぼをやってない、つまりほ場整備してないところの、あまった場所にもったいないから作ってあるって感じの、小さな、細長いような田んぼがいい。そういう田んぼはなぜか形が美しい。
水の面はどうしてあんなに平らなんだろう。不思議なぐらい、まっすぐに、滑らか。当たり前なんだけど、不思議。
田んぼが水を張り始めると、毎日、一枚一枚、鏡が増えていく。そうしてあっという間に、日本中がため池だらけのまるで海みたいになってしまう。どこからこんなに水が出てきたんだろう。それも不思議。今までこの水はどこに行っていたのだろう。それも不思議。
水って、溜めれば貯まるし、逃がせばなくなってしまう。実に都合がいい。日本はやっぱり水の国、なんて美しいのかと、山の田んぼを見ていて思う。