山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

みるみるうちに鏡に覆われて

2007-05-23 | 山里

電車の、いつもと反対側の席に座ったので、いつもと違う景色が見えた。

今まで知らなかった田んぼがたくさん見えた。田植えをしてしばらくたった田んぼは本当にきれい。特に今の時期は、山の若い緑が映るから、余計にきれいに見える。あんまり大々的に田んぼをやってない、つまりほ場整備してないところの、あまった場所にもったいないから作ってあるって感じの、小さな、細長いような田んぼがいい。そういう田んぼはなぜか形が美しい。

水の面はどうしてあんなに平らなんだろう。不思議なぐらい、まっすぐに、滑らか。当たり前なんだけど、不思議。

田んぼが水を張り始めると、毎日、一枚一枚、鏡が増えていく。そうしてあっという間に、日本中がため池だらけのまるで海みたいになってしまう。どこからこんなに水が出てきたんだろう。それも不思議。今までこの水はどこに行っていたのだろう。それも不思議。

水って、溜めれば貯まるし、逃がせばなくなってしまう。実に都合がいい。日本はやっぱり水の国、なんて美しいのかと、山の田んぼを見ていて思う。


ズミ

2007-05-23 | 植物

 

これは東海丘陵要素じゃないけど、水っぽいところにある木。ズミじゃなくてミズでもいいかも。

すごくきれいで、私の好きな花。6月の八ヶ岳で群生したのが一斉に咲いていた、そのときメボソムシクイが鈴みたいに鳴いていたことが忘れられない。


サクラバハンノキ

2007-05-23 | 植物

 

これもまたこの辺にはたくさんある木なんだけど、ほかの地方の人からすると大変に「見てみたい」木であるらしい。今が見ごろ。すぐに見つけられる。


クロミノニシゴリ

2007-05-23 | 植物

 

土手の周りにぐるっと生えていた。まだつぼみ。

ニシゴリとは錦織のことで染色のばいせん剤の灰をつくるからこういうらしい。ハイノキ科。


ベニドウダン

2007-05-23 | 植物

 

ため池の土手に生えていたベニドウダン。ベニドウダンは珍しいらしいけど、このあたりではごく普通に見られる種で、うちの庭の周りにもたくさん生えている。それでも大分枯れた。ベニドウダンは枯れやすい。


中津川の大切なため池

2007-05-23 | めぐる季節と自然

 

近所にある小さなため池。車も通れない奥まった場所にあるから、関係者(そのため池の隣の田んぼの人とか)しか知らないだろう。護岸もしていないこのかわいいため池は東海丘陵要素の植物のカタログみたい。池の向こう側にはシデコブシが並び生えている。ため池から流れ出る小さな沢沿いにもシデコブシが林立。その下にミズギボウシが群生し、土手にはタツナミソウ。クロミノニシゴリ、サクラバハンノキ、ベニドウダン、ズミ。そして、土手の田んぼ側にはぎっしり、ぎっしり、カザグルマが生えている。あまり人には教えたくない。

土手(このあたりでは「ぼた」という)を歩くと、ボッチャン、ボッチャンとカエルが池に飛び込む。

昔はこのあたりのため池はどこでもこんなふうだったんだろう。貴重な場所だけど、今は護岸してあるところが多い。それでもこのあたりには、まだ小さなため池がたくさんあって、隣接して湿地があったりする。

今年は9月にため池シンポジウムもある。


モンゴリナラの萌芽

2007-05-23 | 植物

 

恵那の山の中。東海丘陵要素の植物がたくさんある湿地があって(恵那は山ならどこでもそういうところだが)、かなり深い森だったのが、昨年からバサバサ切られた。そこには「モンゴリナラ」も群生している。

今日見たら、切り株から萌芽していた。ナラやクヌギの仲間は30年生ぐらいまでしか萌芽する能力がないとよく言われる。あれはクヌギやアベマキのことなのだろうか。このモンゴリナラは、年輪があまりはっきり見えなかったけど、50年は経ったものだった。まだまだ元気で頑張れるらしい。

モンゴリナラにもきっとカシノナガキクイムシが入るのだろうが、あれの入る木というのは萌芽能力と関係しているのだろうか。単に樹齢だけのことだろうか。


木の上のカザグルマ

2007-05-23 | 植物

 

昨日、いつも車で通る道で。渓流ともいっていいような小さな川ぞいの木の枝に、白い花が咲いていた。ホオの花よりは小さいけど、クチナシよりは大きい。そんな木の花は知らないので、車から降りてみたら、カザグルマだった。

カザグルマはつる性の草でクレマチスの原種らしい。図鑑にはほぼ絶滅していると書かれているが、私の住む地方にはちょくちょくある。でもこんな身近なところにあったとは。花が咲かなければ見つけることもない。

犬山のヒトツバタゴ自生地では、ヒトツバタゴの下にカザグルマがたくさん生えていた。笠置山のヒトツバタゴ大木の下には、全くなかった。

ところで、ヒトツバタゴは今日あたりが最盛期みたい。この木も田植えの時期を知らせてくれる。田んぼや畑の中によく植えられている。ことしはやたらとヒトツバタゴがよく目に付く。花付きもいいかもしれない。


経理パパ……

2007-05-17 | なんとなく報告

山里文化研究所では経理のできる方を募集します(ときどき勤務)。

企業での経理・財務経験があり経営のことが分かる方

経理が苦手な私に助言したり突っ込みを入れたりチェックしたり督促したり、

取引先や会計事務所とお話ししたり、適当に適正に処理したり、

こまごまとあっちを引いてこっちに足したりのやりくり上手な

ちょっとうるさいダンカイのパパ歓迎。

給料はアルバイトクラスの安さです。山里文化研究所にコミットして社会貢献してくれる方を探すことにしました。

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一人で経営者 兼 生産者(クリエイター) 兼 研究者 兼 営業 やってると、人と話していてもいろんな役割で話をしないといけない。生産者である私はどんな仕事でも丁寧にやりたくてお金は関係ないのだけど、営業マンはただ働きの仕事など取ってくれば営業成績も悪くなる、でも先行投資ならどうして取ってこないのかと後から社長に怒られそうだし。

この業界には無償で仕事をすることを美談としている人もいるけど、経営的にはそれは恥ずべきことである。そんなことを美談にできるのは、結局自分で食べていかなくてもいい資産家なのである。そうでなければきれいごと。

で、そんなことが言いたいのではなく、私自身が生産や研究をする時間がなくならないように、協力してくれる方を探してます。


360度パノラマ富士見台は晴天でした

2007-05-15 | めぐる季節と自然

 

5月12日の富士見台(岐阜県中津川市・長野県阿智村境)は、雲ひとつない青空の下、中央アルプス、南アルプス、北アルプス、乗鞍、御嶽がよく見えました。

恵那山は1日前の冷え込みで雪がごま塩状態にかぶっていました。

南アルプスの尾根は遠くに浮かぶ水平な線のようで、日本列島がここで向こう側とこちら側にきっぱり分かれているという実感をもって眺めることができました。


富士見台で咲き乱れるショウジョウバカマ

2007-05-11 | 植物

 

恵那山の隣の富士見台というササ原にいったらササの間にショウジョウバカマがたくさん咲いていた。まるで下界のセイヨウタンポポだのシロツメクサだのという勢い。

ショウジョウバカマは海抜0mに近いような平地から富士見台の1700mを超える亜高山帯にまで平気で生えているしたたかな植物。田んぼのあぜの湿ったところにあるが、こんな風衝地のササの中の比較的乾いた、礫ばかりの場所にもある。同じように意外に適応力が広いのにフキがある。しかしどんなにしたたかでも、人間には負けるだろう。


シロガネスミレ

2007-05-10 | 植物

スミレの白花種にはシロガネスミレという名前がついているらしい。東京の白金で見つかったからシロガネスミレという、と、ネットで調べるとどの記事にも書いてある。眉唾である。白いからシロという言葉をつけたのではないか。その情報の出所は何なのか知りたい。いがりまさしの山渓スミレ図鑑には載っていない。誰かが適当に流したうわさが子引き孫引きで広まったのではないか。第一東京の白金で見つかる前にすでに東濃の子どもおよび柳田國男は見つけていて「次郎坊」という名前もすでに付けられている。(5/6のスミレの記事参照してください)。

ちなみにいがりまさしの本ではスミレの白花種はきわめて稀、と書いてあるが、こちらにはいっぱいある。なんせ、紫のと白いのですもうをとったぐらいだから、ほとんど同数に近いぐらいあったに違いない、というのは、実際今もそれぐらい白いスミレが多いからである。

こんなことを書くと全国からスミレマニアが採取にくるのだろうか。どうかやめてください。そうなる前に市ではシロガネスミレこと正式名称「次郎坊」を絶滅危惧種として保護しましょう。

もうひとつちなみに、こちらにはアリアケスミレ(白花)はそれほど多くない。スミレとは生える場所もちょっと違う。でもちょっと不安になってきたので来年はしっかり観察しよう。

※この記事は柳田國男の記録した「次郎坊」がスミレの白花種だという思い込みのもとに書いています。このことを公言したのは全国でおそらく私が初めてだと勝手に思っています。非常にマニアックで誰も注目してくれない日本一です。

※話はそれますが、ジロボウエンゴサクがあるのにタロボウエンゴサクがないのはどうしてなのか。


必要な護岸工事とそうでないものと

2007-05-08 | 山里

4月27日のれんげの記事へのコメントに私がコメントしたものを、ここに再掲します。これについては、水田貯留という考え方があり、一部で始められています。友人のサイト http://hoerumedaka.seesaa.net/article/40885233.html#trackback

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昨年植生調査を行った河川は、最近越流したため堤防を拡幅するということでした。流域に住む人の命や生活がまず大切です。農村のほ場整備もそこを耕す人が必要としているなら石積みの美云々の情緒的なことばかり言っていてはいけない。林道もなければ木材は搬出できず、ミクロでは自然破壊でも大きく見れば環境保全である。
しかし、どうしてここに護岸工事が必要なのか、あるいは、どうしてこんな形で工事しなければならないのか理解できないものが多々あるのも事実です。また、すべてを完璧に整備しきるのではなく、越流が起こってもいい部分を作って折り合いをつけることが必要だと思います。日本ではこの辺りの考え方が遅れていると聞きます。土砂崩れ、山腹崩壊も、起こっても人の暮らしに支障がないところでは仕方ないとみなさないといけないし、人間の歓びのためにそれを完璧に止めようと莫大な手間や費用をかけ続けることは驕りだと思います。
日本など先進国の人間は、もっと自然を畏れ、自然を改変して生きることではなく、自然をできるだけ改変しなくても生きられるよう知恵を絞り努力すべきだと私は考えます。近代になって、また化石燃料を手に入れて、力づくで何でもできるようになり、逆に知恵を絞ることを忘れてしまいつつあるのではないでしょうか。
また、環境教育の場でも同じことですが、主催者(実施主体)の責任を問われないようにするため、過剰な手当てや警告を行うということによって、失うものもまた多いと思います。


田植えのごちそうとイチョウウキゴケ

2007-05-07 | 山里

 

昨日恵那市三郷の田んぼに田植えの手伝いに行ってきた。写真はお昼御飯。土地改良組合や恵那市、岐阜県、東海農政局の人などもいっぱいいて、お昼は総勢21人だった。大きな倉庫(農機具などが置いてある)の中にテーブルを並べていただいた。土地がふんだんにあり、空間をぜいたくに使っている。全員分のちらしずしが用意されていた。とっても豊かさを感じた。

南側に丘陵や夕立山があるから、水はそこから流れてきていて、土岐川に入る。その田んぼのあたりには分水嶺があって、ある家の屋根のてっぺんを境に南は木曽川に、北は土岐川に入ると言われていた。でもその家は建て直したので今は実際にはそうではないらしい。

この家の人の話では、昔は柏餅と豆御飯を作ったということだった。豆は大豆だそうだ。私は農家の子でもないし、戦前の日本も知らないから本で読んだ知識でしかないが、昔は田植え上がりの膳といって、みんなで田植えをしたあと、その家で手伝ってくれた人にごちそうを出した。恵那地方と東北では朴葉寿司を出したという例をよく見かける。あるいはさなぶりの神様に朴葉寿司を供えたとか。朴葉寿司は田植えと密接に関係している。時期は6月。今はまだ朴葉は使えるほど大きくないので早稲の田植えでは朴葉寿司は作りようがない。昨日はコシヒカリを植えた。

土が意外にやわらかく長靴がぬげてしまうので閉口した。次回の田植えに備えて、帰りに田植え長靴を買った。ホームセンターの特等席に、田植えグッズコーナーがあった。

この田んぼは無農薬で3年やっているので、昨年からイチョウウキゴケが出始めた。不思議なことに2枚あるうちの下の田んぼだけで出ている。

イチョウウキゴケは絶滅危惧Ⅰ類のコケ。平凡社のコケ図鑑を入手したので、初めて開いた。

真新しい図鑑はページがぴりぴりして、紙一枚一枚が新品で(当然である)、ドキドキワクワクした。普段ユーズド本ばかり買っているので、久しぶりに新品の緊張を味わった。とにかくうれしい。

ほかにシダ図鑑も買ってしまい、総額5万円以上の買い物をしてしまった。