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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

西上州は大展望の大ナゲシと赤岩岳へ

2013年04月14日 | さんぽ


2013年4月13日(土) 晴れ

鉱山旧社宅跡→赤岩峠→大ナゲシ→赤岩峠→赤岩岳→赤岩峠→鉱山旧社宅跡

群馬県の南西部、鏑川と神流川の上流に広がる山域は西上州と呼ばれている。のどかな山村風景の中に落ち着いた山歩きが楽しめ、岩山が混在する地味で静かな場所だ。西上州の岩峰は小粒でぴりりと辛い。そんなイメージがある。神流川の流域に深々と黒木立を突き破り、ゴツゴツとした岩頭がそそり立つ大ナゲシ。単独では尻込みをしてしまうほどだ。そこで、SさんとHさんを誘ってニッチツ鉱山の旧社宅跡から赤岩峠を目指して入山した。


<ニッチツ鉱山の廃屋>
今は廃屋となってしまったが、ここはその昔、鉱山で働く人々が暮らしていた場所だ。郵便局、公衆電話、伝言板、そんな集落の中から栄えた時代の面影がうかがえる。立入禁止となっているが、この奥に赤岩峠への入口がある。



<赤岩峠への道標>
ここが赤岩峠への入り口だ。道標の文字から「右→群馬懸上野村ニ至ル  左←赤岩神社入口」という文字が読み取れた。ここをゆっくり登り始め、小さくジグザグに切る。はじめは植林されたばかりの木々に囲まれながらの九十九折りだ。



<峠道から>
登山口から九十九折に登れば尾根に乗り、辺りは明るくなる。後ろには両神山の尾根を見上げ、岩壁が目につくようになった。



<赤岩峠>
尾根からしだいにザレた急斜面へ変わり、ここもジグを切りながらつめて行く。ハシリドコロの花と青々とした葉が目を和ませてくれた。明るい山間に静かな空間が広がる場所だ。いよいよ一汗かいて赤岩峠に到着する。



<雑木越しに大ナゲシ>
登り着いた赤岩峠は木立の中で、祠が南のニッチツ鉱山を向いて祀られている。ニッチツ鉱山で採取された鉱石は、神流川沿いに運び出すため、この峠を使っていたようだ。ここから大ナゲシが雑木越しにニョキと飛び込んでくる。



<赤岩岳>
大ナゲシへは左の尾根へ進むが、直ぐに岩の上から赤岩岳の迫力ある姿が展望出来る。この覆い被さるような、軍艦のような岩峰の赤岩岳、時間があれば帰りに立ち寄ってみたい。むしろ大ナゲシよりもこちらに惹かれる思いだ。



<雑木越しに天丸山付近>
赤岩峠からしばらくは緩やかな尾根歩きになる。直進すれば大山、天丸山へと続く縦走路をたどることになるが、小高いピークを右へ巻きながら外れる。



<大ナゲシ取り付き>
小ピークを越え、巻き道から北へ向かう尾根に入れば岩壁に突き当たる。ここが大ナゲシへの取り付きとなる場所だ。この先は岩場を登るので手荷物はすべてザックの中へ。そして両手を使いながら登攀する。



<左トラバースから>
正面のロープは垂直ルート、左の鎖はトラバースルート。展望の良いトラバースルートから上を目指した。鎖とロープがしっかり掛けてあるので安心して登れる。しかし、左は切れ落ちた絶壁に変わり、オーバーハング気味の場所もあり、スリルはある。



<次の鎖場(上から)>
岩場は二段に分かれ、ほっと一息付く事が出来る場所もあるので、展望を楽しみながら登りたい。



<途中の小岩峰にて>
ここまで来れば大ナゲシの山頂は目と鼻の先だ。快晴の奥秩父の山並みがうかがえる。残雪の破風山辺りが目につき、金峰山の姿もあった。



<大ナゲシ山頂>
さて山頂へ到着した。まずはぐるっと展望を眺め、西上州の山々を楽しみたい。そして、お昼ご飯にしよう。



<県境尾根>
天丸山と大山、そして帳付山辺りが目の前に広がっている。真ん中の鋭く尖った三角はおそらく宗四郎山だろう。その奥には御座山と残雪の南八ヶ岳がうかがえた。



<赤岩尾根>
こちらは赤岩岳から続く、赤岩尾根だ。ザイルを必要とする尾根らしい。まぁ、あたしには興味はないが、帰りにいちばん右の赤岩岳へは立ち寄りたいところだ。



<日影山、赤久縄山>
この角度から眺めると高崎、前橋の街並みまでが見渡せる。先日の笠丸山はどこだろう。それらしき姿が見つからない。



<みかぼ山、二子山、城峰山>
こちらは埼玉は熊谷辺りの街並みが見渡せる。城峰山はアンテナがあるので分かり易い。その奥に東秩父辺りの山も見える。そして、遥か彼方に男体山も。



<浅間山、上越国境の山>
天気もいいので、のんびり食べるとしよう。風もなく穏やかで、この西上州にも春を感じる。こちらも遥か彼方に北アルプスがぼんやりと眺められ、おにぎりを食べるには美味過ぎる岩峰だ。



<明るい赤岩峠への尾根>
下山は垂直懸垂のルートから降りた。ロープが垂れ下がり不安はない。足場もほどほどに確保できる。距離も短く、楽しめるといった感じだ。来た道を戻るが、踏み跡はしっかり付いていて、たくさんの方が歩かれているようだ。



<赤岩岳>
再び、赤岩岳を見上げるところまで戻って来た。どこを登るのだろうか。左へ巻いて、小岩峰に上がり、そこから山頂へ上がる事が出来るらしい。



<ルンゼ>
赤岩峠から尾根沿いに直進し、直ぐに巻き道へ入る。テープがあるので見落とさなければ迷うことはない。しばらく踏み跡をたどれば、突き上げる岩壁に出くわす。そこから更に巻きながらルンゼをせめる。ここは落石に注意しながらの急登だ。



<小岩峰から大ナゲシ>
コルに出ると左に展望の良い岩が飛び出している。そこから先ほどの大ナゲシの尖った姿を目のあたりにすることが出来た。どう見ても赤岩岳の方が迫力満点に思えてしまう。



<赤岩尾根を見上げて>
この先は両側が切れ落ちたキレットになっているようだ。手荷物はザックの中へ。両手が自由になったところで取り着いた。適度にゴツゴツしているのでしっかりと確保は出来る。距離は10mもあろうか、なかろうか、といったところなのでルートミスすることもないだろう。ただ上を目指せばいいだけだ。



<山頂直下>
最近降ったのだろう、うっすらと雪が積もっていた。幸い、たいしたことはなかったが、この時季でも軽アイゼンの準備が必要だったかもしれない。



<赤岩岳山頂>
山頂へ着きました。一汗かいての赤岩岳。外見は迫力満点だが、面白さでは大ナゲシが上だ。鎖もなければロープもなく、意外とすんなり山頂へ着いてしまった。



<大ナゲシと浅間山>
山頂は辛うじて西側に展望が広がっているが、雑木に囲まれ、それほど見晴らしは良くない。ただ、新鮮な風景が心地よい。



<県境尾根>
ここからも天丸山、大山、宗四郎山辺りのゴツゴツした様子がうかがえる。



<ニッチツ鉱山>
こちらは今も操業している現役の日窒秩父事業所だ。この周辺にはかつて隆盛を極めた頃の社宅や工場跡が廃墟として点在しているようだ。日本屈指の品質と埋蔵量を持つと言われ、重質炭酸カルシウムやシリカ、リシン等を生産していると聞く。



<ミニキレット>
赤岩岳山頂で休憩後、直ぐに下山した。一番の難所はここの岩稜だ。慎重に下降するが、距離が短いのでワクワクする暇もない。



<峠道を下る>
踏み跡をたどるが、うっかりすると外すことがある。今回もルンゼから下りしなにケモノ道へ入ってしまった。気が付いた時は数十mも下り過ぎてしまった。クワバラ、クワバラだ。



<鉱山の廃屋へ戻る>
傾斜がきつい峠道を無事降りて来た。風もなく穏やかで、山頂でのんびりとお昼ご飯を食べることができて良かった。それに何しろ静かなのがいい。ここなら紅葉も期待できそうだ。久々に好展望の山を訪れ、気持ちもあっぱれ、空もあっ晴れの満足した一日であった。

2 コメント

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Unknown (HIDEJI)
2013-04-20 02:06:52
あんぱんさん、こんばんは。
西上州や埼玉と群馬の県境は、私にとっては聖地のような領域で、今年こそ大ナゲシと出来れば赤岩岳に訪れたいと考えており、非常に興味深く拝見させていただきました。
赤岩岳の圧倒的な存在感、そして西上州の山々の迫力、写真からも十分に伝わり、ますます行ってみたくなりました(^_^;)
山頂部の写真を見ると確かにどこを登るのだろうかと悩みますが、参考になりました。

それと、別の記事にコメント載せてしまいました。ご容赦ください。
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こんばんは、HIDEJIさん。 (あんぱん)
2013-04-20 21:45:35
HIDEJIさん、コメント、ありがとうございます。
西上州はホント、山の醍醐味を凝縮したような頂きが多いですね。特に県境の大ナゲシや天丸山、帳付山辺りはその趣向が強いと思います。これからはアカヤシオの花盛りの季節となります。また、西上州に行きたいですね。のんびりと花見をしながら、おにぎりでも食べてね…。
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