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**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

お犬様

2015年09月02日 | 病棟
・・・・ふうう。




「食事が食べられず吐血した、とQQ車で搬入されたキリコさん、

 まだ70歳台なのに 何かオカシイんですよね」

そう申し送りを受け 夜勤に突入。



何かおかしい・・・?



胃カメラで潰瘍が見つかり、よくよく話を聞くと

市販薬を手当たり次第多量に飲んでしまっていたことが分かり

夫を亡くしたばかりで もしかしたら自殺企図?

そこがひっかかるのかな?とアミちゃんに尋ねると

「違う。違うの。ちょっとオーラが認知っぽいって言うか 目付きって言うか・・・。
 
 受け答えは出来るし多分長谷川式では高得点だと思うけど、何かがオカシイんだよ」


よく分からない。


夜中の1時。ナースコールが鳴りました。キリコさんです。


暗い部屋をのぞくと電気もつけず 胸の前にコールを握り締めて

キリコさんが座っていました。

「どうしましたか~~?」

・・・何も返答なし。

私を見るでもなくじっと前を向いてぶつぶつ何か呟いています。

いやな予感の中、ベッドに置いてあった犬のぬいぐるみをふと手にとって

「キリコさん、可愛いワンちゃんのぬいぐるみだね」と話しかけた途端、



「何を言うの!!これは神なのよ!!犬ではないっ!!

 有難い神なんだから あなたも拝みなさい!!」


目が三角になってる。

こちらの言うことは 全く入らない。

ええ ええ 拝んで祈りましたよ、ほんとの神様に。

(神様仏様、キリコさんが今晩おとなしく寝てくれますように)って。



翌朝院長に、かかる診療科が違いますから即行で対応して下さいって報告しました。