私たちの隠れたる者たちは 語らない
たとえば 見上げる樹のそよぐ葉ごもり
覗き込む井戸の底の揺れる水面
いたと思うと たちまち向こうむき
次の瞬間にはゆっくり 消えている
そのくせ突然 暴風雨(あらし)となって空を奔(はし)り
稲妻とともに落下して 窓硝子を灼く
かと思うと朝 両掌(てのひら)に受ける水しぶき
光に泳ぐ埃の粒子に入って つぶつぶ
・・・・・・・
・・・・・・・
「語らざる者をして語らしめよ」高橋睦郎著 思潮社 2005年
富翁
たとえば 見上げる樹のそよぐ葉ごもり
覗き込む井戸の底の揺れる水面
いたと思うと たちまち向こうむき
次の瞬間にはゆっくり 消えている
そのくせ突然 暴風雨(あらし)となって空を奔(はし)り
稲妻とともに落下して 窓硝子を灼く
かと思うと朝 両掌(てのひら)に受ける水しぶき
光に泳ぐ埃の粒子に入って つぶつぶ
・・・・・・・
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「語らざる者をして語らしめよ」高橋睦郎著 思潮社 2005年
富翁