カジカガエル
渓流で、フィー、フィーという鹿のような美しい鳴き声を聞くことがあります。
知らない人はカエルの鳴き声だと知らない人も多いです。
清流で見られるカエルです。
古来より日本人に愛され、鹿に似た声で鳴くことから河の鹿、カジカガエル(河鹿蛙)と名付けられました。
兵庫県内では、ほぼ全域でみることが出来ます。
大きさは、4~8cm。メスはオスの1.5~2倍くらい大きいです。
アオガエルの仲間ですが、体の色は背中がこげ茶色でお腹はまっしろ。
流れの速さに負けないように、指先にある大きな吸盤で石にしっかりと貼り付くことができます。
鳴くのはオスだけです。
オスの声に誘われてメスが現れ、オスはすばやくメスの上に乗っかります。
一緒に川底の石の下にもぐり込んで、卵を産むのです。
たまごを産むときやオタマジャクシのころは、流れのある川に、それ以外はまわりの森で暮らしています。
繁殖は、おもに5~8月にかけて渓流沿いで行われます。そのころにオスのきれいな鳴き声を聞くことができます。
メモ
万葉集に出てくる「かはづ」、「古今和歌集」の「かはづ」。この「かはづ」は、「カジカガエル」。
川の清流にすみ、初夏から秋にかけ、多くは夕方から夜中・朝にかけて、澄んだ美しい声で鳴くことをうたっていることから古くから注目されたカエルなのです。
カエルのことをか松尾芭蕉は「古池やかわず飛び込む水の音」と詠みましたが、このカエルは「カジカガエル」ではありません。古池にはカジカガエルいないので。
いつの間にか、カジカガエルをしめす「かはづ」とその他の「カエル」を区別しなくなったようです。