クサギ(シソ科)
8月上旬 クサギの花を見つけた。
クサギの葉を揉むと臭い匂いが漂います。クサギは漢字で書くと臭木 。
しかし、臭いの好みは人それぞれのようで、 観察かいで葉の臭いを嗅いでもらうと、 「くさい」と顔をしかめる人と、 胡麻のような芳香の漂う臭さで嫌な臭いではないという人とに二分されます。
このクサギのにおいは生き残るための工夫です。
芋虫などに葉を食べられないように、一口でも食べるとにおいがでます。このにおいがこの後につく虫の数を減らします。
夏には白い花を樹冠いっぱいに咲かせます。
枝先や上部の葉の付け根から広がり、めだつように花序を出します(集散花序)。
がくは淡い赤紫色です。
花は甘い芳香があり、 クロアゲハなどの蝶が蜜を吸いにやってきます。ただし、アゲハは蜜をすう口が短いので蜜をすうことができません。
クサギの花を観察するとおしべがたっている時期とめしべがたっている時期があるのに気が付いた人は良く観察している人です
これは、自家受粉をふせぐための工夫です。
夏のあと晩秋から冬にかけて、 丸い果実が青黒く熟します。
がくは果実なっても残り、 実が熟す頃には赤く色づいて、 星形に開きます。
この実をすりつぶして、昔は染料にしたそうです。灰汁で煮てこした液でそめたものが、薄い藍色のあさぎ(浅葱)色になります。
春の軟らかい新葉は食用になります。若い葉を茹でて水にさらし、おひたしやご飯に入れて食べたり、佃煮にしたりして食べることができます。
岡山県の山間部では、湯がいた新芽を乾燥させ、保存食にしたそうです。
季節ごとに利用されたクサギです