ヘビトンボ(ヘビトンボ科)
ヘビトンボは、成虫は大きな羽をもちトンボのようで、大きなあごでへびのようにかむからヘビトンボ。
ヘビトンボは完全変態をする昆虫ではもっとも原始的なグループに属す。
世界におよそ300 種が記録されており、日本には 20種が生息している。
よく似た種にクロスジヘビトンボがいる。これらは腹節側面の付属器に細毛を持たず、第1~7腹節下面にも総状鰓を持たないため容易に区別できる。
ヘビトンボの幼虫は、川や渓流の石の下などで見つかる。
幼虫は肉食で、ユスリカなど水辺に住む小さな昆虫類や小動物を食べる。
4年ほどかけてゆっくり育ち、6㎝ほどの大きさになり成虫となる。
陸地に上がり地面に穴を作りその中で蛹になり、成虫に生まれ変わる。
成虫は初夏に多く見られ、灯火にも良く飛来する。夜を待つ間日中は水辺の石の下や木の上で過ごす。
とくに活発に動くのは日没後から数時間。
成虫の寿命は数日~10日。
雑木林などでヘビトンボの成虫を見かけるのは、水分を補給するために樹液を摂るからと聞く。
オスはメスを見つけると、精子入りの大きなゼリー状の物質をメスの腹端に付着させる。
そして,メスは腹部を曲げて精子入りのゼリーを食べている間に精子がメスの体内に入って行く仕組みになっている。
卵は水際の石や植物上に数千個産みつける。
きれいな水にしか住まないので、水質を示す「指標生物」。
かつては、子どもの疳(かん)を鎮める効能のある民間薬。
とくに有名なのは宮城県産の奥州斎川孫太郎虫。
日本で作られた民間薬で「和漢方」と呼ばれるなかまに分類される。
「孫太郎」の名前の由来は、仇討ちをする孫の名前が孫太郎、病弱だったのがこの虫を食べて元気になり無事仇討ができたという伝説による。
埼玉県のある地方ではではかむところからか「かわむかで」という呼び方をしている。
昆虫食の先進県長野県では、ヘビトンボやトビケラ、カワゲラをふくめて「ざざ虫」と呼んでいる。