Natural Mystic ~ナチュラルミスティック~

There's a natural mystic blowing through the air

モヤシノヤマ

2009-12-10 22:20:03 | Weblog
 「野菜ましまし。油ニンニクまし。」
こんな意味不明な言葉が飛び交う『ラーメン次郎』というチェーン店がある。味は豚骨ベースなのであるが、盛りが勝負といったところである。しかし盛りとは言っても麺のことではなくトッピングである。野菜増しというとおおよそモヤシが一袋。油増しといえば背脂の固まりが乗り食っているうちに溶けてスープがギトギトになる。更にニンニク増し。辛さ増しというトッピングもあるがこれらはいくら注文しても無料である。先ほどの不思議な言葉はトッピング内容を訊かれたときに発せられたもので意味は野菜×2。背脂とニンニク×1という意味である。

 今日は久々にこの店で麺大盛り・チャーシューW・野菜マシマシ・脂マシマシで食ってみるかと意気込んで入店する。混み合ってはいたがそれほど待たずに座れ、しばらくすると麺がゆで上がりトッピングの注文を訊かれた。


【どんぶりの周りに盛られたチャーシュー・槍のようにそびえるモヤシの山・その上に盛られた背脂】

いよいよカウンターに出されたどんぶりを前に箸を割り、この巨大なモヤシの山を制覇し、その下に埋蔵された大盛り麺が伸びないうちに発掘するという、格闘に踏みだそうとしたときのこと、突然BGMに聞き覚えのあるもの悲しい曲が流れ始めた...。
 
♪教えて~...くぅださい(下さい)...。

絶妙のタイミングである。

この曲いったい何だっけ??
と頭をひねるも思い浮かばない。しかし、記憶が確かならめちゃめちゃ古い曲である。

モヤシの山を切り崩しながら思わず聴き入ってしまう。ようやく、さびの部分でこの謎も解け、途端に気が滅入ってしまった。

♪海は~、死にますか~ 山は~、死にますか~
 風は~、どうですか~ 空は~、どうですか~
 
この曲は私が小学校の頃『二百三高地』という映画のテーマソングで、当時のヒットチャートを席捲して一躍ブームとなった、さだまさしの曲『防人の詩』であった。

この曲、2~3分ならともかく7分と長い。楽しいはずの意気込んだ食の時間、ひたすらこの、

♪海は~、死にますか~ 山は~、死にますか~
♪春は~、死にますか~ 秋は~、死にますか~

と連続で問いかけられどうにも重苦しい。
このような山盛りを食っていてスミマセン的な気分に苛まれてしまうのである...。

それでもひたすらどんぶりとの格闘を続ける...。

しかし、ようやく迎えた曲のエンディング、大声での、

♪逝って~、しまいますかぁ~...。

の部分では私も滅入ってしまい、目の前のモヤシの山からどうにかほじくり出した麺を発見して、歓声どころか、
「こんなに食ってすみません...。」

と叫びたくなってしまったのであった。

この詩、万物に命があるのならば、それらは死にますかと問いかけて来るという曲である。このようないつ来るのかさえよく分からない地球滅亡を思わせる(そういう事ではなさそうだが)未来のことを考えるほどの余裕は私の日常にはない...。

それにしてもこの『もしも○○なら』という仮定の話に、疑問をひたすら投げかけるという決して明るいとはいえない詩に日本中が歓喜した時代があったのが不思議である...。

ともあれ、味はあまり記憶にないが普通に完食。しかしこの手の盛り勝負の食い物はしばらく遠慮したいと思うのであった...。

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