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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

次々と重なる出費に笑いと涙がほとばしる金欠エンターテインメント『老後の資金がありません!』

2021年10月31日 23時24分15秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:42/230
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
コメディ
ヒューマンドラマ
お金
結婚式費用
葬儀代
失業
浪費

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 垣谷美雨『老後の資金がありません』(2015)

【あらすじ】
主婦・後藤篤子(天海祐希)は困っていた。
家計は妻に任せっきりの夫・章(松重豊)の給料と、
篤子がパートで稼いだお金をやりくりして、
フリーターの娘・まゆみ(新川優愛)と、
大学4年生の息子・勇人(瀬戸利樹)を育て上げた。
憧れのブランドバッグも我慢して、
老後の資金をコツコツと貯めてきた……
はずなのに!

身の丈に合っていたはずの篤子の生活が、
突如綻び始める。
入院していた義父の死に際に、
章の妹・志津子(若村麻由美)から喪主を押しつけられ、
葬儀代400万円近くを支払うことに。
折しも、密かに正社員登用を期待していたパート先をリストラ。

なかなか次の仕事が見つからないところに、
まゆみが結婚相手を連れて来た。
年収150万円のバンドマン・琢磨(加藤諒)は、
地方実業家の御曹司につき、
盛大な披露宴を希望しているという。
しかも、費用は両家の折半で、
最低でも300万円負担することに。

700万近くあった貯金が
あっという間に底をついてしまいそうな中、
今度は章の会社がまさかの倒産!?
結婚30周年目前、
夫婦そろって失職するハメに。
いよいよ毎月9万円の姑・芳乃(草笛光子)への
仕送りさえ捻出できなくなった篤子は、
志津子夫婦との話し合いの席で、
芳乃を引き取ると口走ってしまう。

やむなく姑との同居がスタートするも、
元・老舗和菓子屋女将は超がつくほどの浪費家だった…!
芳乃の豪快な金遣いに加えて、
今度はいきなり「生前葬をする」と言い出した!?
ありとあらゆるお金の問題に振り回されてきた篤子の我慢は、
ついにピークに達する!!

果たして篤子は、
この絶体絶命のピンチを切り抜けることができるのか?!

【感想】
お金あるあるのエピソードがてんこ盛りで、
老若男女問わず楽しめる金欠エンターテインメント。
特に、冠婚葬祭を一通り経験しているであろう30代以降の人なら、
より一層この家庭内不況に共感できるかも(笑)

うまくやりくりして安定した生活をしていた主婦が、
義父の死をきっかけに出費の嵐に遭うのは、
うん、とてもよくわかる(笑)
葬儀もね、お金かかるよね。
故人が地位ある人で、
盛大にやりたいとなると、
いくらでもお金かけられちゃうから。
主役は故人なのに、
もはや残された人の自己満足でしかない気も。
棺とかどうせ燃えちゃうのに(笑)

いくらでもお金をかけられるといえば、
結婚式もかな?
作中のまゆみと琢磨のように、
これもまた派手にやりたいとなると、
もはやかける費用にキリがない。
聞いた話だけど、
「祝いごとなんで」という悪魔の一言で
合理性のなさを正当化されてしまうのは怖い(笑)
もはや結婚式も葬式も
見栄の張り合いに足を突っ込むと沼だなって思うところ。

そんな中で、夫婦そろって失業するし、
姑は浪費家だし、
お金は次から次へと飛んで消えて行く。
人生の節目での出費あるあるに共感しつつ、
実際にあったら悲壮感漂いそうな問題を、
コミカルなキャラクターと演出によって、
明るい笑いに変えているのが、
この映画のいいところ。

あと、変に金策に走らないのもよかった。
むしろ、そこはまったく問題じゃないんだよね。
「どうやってお金を稼ごう」とか
「どうやって支払いを減らそう」とか、
そういう正解がないところには触れていない。
「お金がない現実とどう向き合っていくか」
という深いテーマを投げかけているのだ。
それは、「人生において何が大切なのか」
という部分にも通じており、
ラストで描かれる篤子たちの選択には清々しさがある。

まあ、"気の持ちよう"みたいな精神論と言われたらそれまでだけど、
結局セルフコントロールできるのって自分自身だけなので、
そういう意味でも正しいメッセージだなって思った。

しかもこの映画、
全体的にコメディ調だけど、
笑って終わりかと言ったらそうじゃない。
涙ちょちょぎれる感動エピソードもあるんだよ。
お金のあるあるに共感しながら、
笑って泣けるなんて最高じゃないか。

天海祐希と草笛光子の“歌劇団OG”による掛け合いも面白いし、
ぜひこれは映画館で観て欲しい!

映画『老後の資金がありません!』公式サイト

映画『老後の資金がありません!』作品情報。人生100年時代、老後資金に2000万円が必要!? 主演、天海祐希。現代日本が抱えるお金の問題に、...

 

他人になることで見つからない自分を埋めた若き日のデヴィッド・ボウイを描く『スターダスト』

2021年10月31日 14時56分19秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:174/229
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
音楽
洋楽
デヴィッド・ボウイ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・音楽
 デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』(1972)

【あらすじ】
1971年、『世界を売った男』をリリースした24歳のデヴィッド(ジョニー・フリン)は、
イギリスからアメリカヘ渡り、
マーキュリー・レコードのパブリシスト、
ロン・オバーマン(マーク・マロン)と共に、
初の全米プロモーションツアーに挑む。

しかし、この旅で自分がまったく世間に知られていないこと、
そして時代がまだ自分に追いついていないことを知る。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、
アンディ・ウォーホルとの出会いやファクトリーなど、
アメリカは彼を刺激した。

兄の病気もデヴィッドを悩ませていた。
いくつもの殻を破り、
やがて彼は世界屈指のカルチャー・ アイコンとしての地位を確立する最初の一歩を踏み出す。
《デヴィッド・ボウイ》になる前のデヴィッドの姿。

本作は、後にデヴィッド・ボウイの最も有名な別人格
“ジギー・スターダスト”を生み出すきっかけとなった瞬間の舞台裏、
キャリアのターニングポイント、
それに関わった人たち、
そして彼の内面と心の葛藤、
時代の最先端を見つめる彼の変化を描く。

【感想】
洋楽は聴かないけど、
その名前だけは知っているデヴィッド・ボウイ。
僕の中では『戦場のメリークリスマス』に出ている人のイメージしかないのだけど(笑)

それにしても、この『スターダスト』。
思い返せば、SOPHIAの『黒いブーツ ~oh my friend~』(1998)の
歌詞にあることを思い出す。
「カバンを安全ピンで留めて MAKE UP FACE
 伸びきったTAPE "ZIGGY STARDUST"」と。

デヴィッド・ボウイのファンでもない限りは、
あんまり響かないかもなあという印象。
『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)や
『ロケットマン』(2019)のように、
歌を聴かせる作りではないから。
あくまでも、別人格である
ジギー・スターダストが生まれるまでを追った人間ドラマ。

今となっては伝説的な扱いのデヴィッド・ボウイも、
『世界を売った男』(1971)の評判はよくなく、
彼の音楽を理解してくれる人はいなかった。

そんな中、彼の才能を信じ、
いっしょにどさ回りをしてくれたロンの存在は大きい。
彼がデヴィッドをいろんなところに連れて行き、
関係者を紹介してくれたから。
とはいえ、デヴィッド・ボウイはその独特の世界観から、
相手に迎合するような態度を取らなかったため、
いつも人を不快にさせて、
そのたびにロンが苦労するというパターンではあったけど(笑)

それでも、ロンは見捨てなかったけどね、デヴィッドを。
このことから、“1人の熱狂”からすべては始まるんだなと思わせる。
もちろん、最初からデカい規模で受け入れられるなら、
それに越したことはないけど。
まずは1人でも自分の才能を信じてくれる人を
見つけることが大事なのかも。

あと、“その人にあったやり方”があるというのも伝わってくる。
結局、デヴィッドがこなしてきたインタビューが活きたかどうかは定かではない。
「デヴィッド、キミは何者だ?」という質問に答えが出せず、
悶々としていたときに、
ロンから「なら他人になればいいじゃないか!」
と言われたことがきっかけで生まれたジギー・スターダスト。
そこからデヴィッド・ボウイの名は一気に広まることになる。
何がきっかけでヒットに繋がるかはわからないね。
これはもうマーケティングの観点から生まれたものではなく、
デヴィッド・ボウイという類稀なる存在だからこそ成せる業。
再現性はないけれど、夢がある。

どうせなら、ヒットしていく過程も観たかったなあ。
「他人になる」と決めた後のシーンが、
もう売れっ子になったところだったし。
それもラスト20分。
長い前フリだった(笑)

この手の映画としては、
歌も少なく、
淡々と進んではいるけど、
世界的スターの苦悩と革命が知れる点では、
有意義な作品だった。

映画『スターダスト』公式サイト

音楽史に名を刻む偉大なアイコン、誰もが知るデヴィッド・ボウイの、誰も知らない若き日の“ジギー・スターダスト”誕生の物語。10月8日(金)より...

映画『スターダスト』公式サイト

 

AIの持つ人知を超えた深い愛情に感動する『アイの歌声を聴かせて』

2021年10月30日 18時06分48秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:29/228
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
アニメ
ヒューマンドラマ
ミュージカル
AI
ロボット

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオン。
彼女は抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…
実は試験中の【AI】だった!

シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミの前で突然歌い出し、
思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。
彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、
幼馴染で機械マニアのトウマ、
人気NO.1イケメンのゴッちゃん、
気の強いアヤ、
柔道部員のサンダーたちは、
シオンに振り回されながらも、
ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。
しかし、シオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、
大騒動に巻き込まれてしまう――。

ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、
ハートフルエンターテインメント!

【感想】
やっぱり日本のアニメは面白い!
小さい頃からアニメは好きだったので、
ハリウッドのスーパーヒーロー映画同様、
個人的な評価は高くなりがちだけど、
これはそういうの抜きにしても面白かった。
ハリウッドだったら実写でやってしまいそうだけど(笑)
アニメだからこそ許されるテンポやノリが気持ちよくて、
最後まで飽きずに観続けられるのがこの映画のよいところ。

偶然にも、
先日公開された『ロン 僕のポンコツ・ボット』と同じで、
ちょっぴりポンコツなAIを題材にした内容なんだよね。
まさに、AI映画の日米対決みたい(笑)
『ロン 僕のポンコツ・ボット』も、
この『アイの歌声を聴かせて』も、
持ち主(および人間)を幸せにすることが目的なのは共通している。
しかも、どちらも主人公がAIとの交流を通じて、
まわりを巻き込み、
いつの間にかリアルな人間の友達もできているという設定も似通っている。

違いを挙げるとすれば、
『ロン~』はより冒険的な印象で、
AIまわりの設定は現実的。
一方、『アイ~』はラブストーリーの要素も入れ、
AIが自我を持つ点で少しファンタジーっていうぐらいかな。
僕はどちらかと言えば、
『ロン~』の方が男の子向きな感じがして好きだけど、
もはや好みの問題だろう。

この映画、時代としてはけっこう近未来な感じ。
海も見えるのどかな田園風景が広がる田舎町。
でも、異様にAI技術が発達しており、
見た目は伝統的な日本家屋でも、
中はほとんどAI制御。
『アイアンマン』のジャーヴィスのような
スムーズな音声認識が実装されている。
声ひとつでカーテンは自動で開くし、
ご飯も炊ける。
家を出れば「いってらっしゃい」というAIの声が。
町を走るバスも自動運転。
学校には自動掃除ロボットや、
柔道部の練習相手となるロボットが完備。
それもこれも、
田舎町に似つかわしくない高層ビルを持った
"星間エレクトロニクス"が製造している。
田舎町に最新テクノロジーというギャップが面白い。

ストーリーとしては、
シオンがサトミの幸せのために奔走し、
それにまわりが巻き込まれていく青春物語。
友達関係や恋愛の悩みなど、
学園モノあるあるなエピソードの数々。
人間ではないからこその突拍子もない
シオンの行動に振り回されつつも、
徐々にそれらが解消されていくっていう流れは
オーソドックスでわかりやすい。
さらに、シオンの知られざる設定も明かされて……
というサプライズも。
それを踏まえて、
後半からラストに向かっての怒涛の展開は、
興奮と感動の嵐だった。

本作で特徴的なのは、
シオンが歌うシーンだろう。
別に歌が題材の話ではないけれど、
シオンが所構わず歌い出すのは、
ミュージカル映画っぽい作りだ。
しかも、歌っているのはシオンの声優を務めた土屋太鳳本人。
聴きやすいメロディーと綺麗な歌声は、
僕は好きだった。

日本ってなかなか実写でミュージカルがないのは、
歌って踊れる役者さんが(テレビや映画には)いないからかなーって思ってたけど、
ここにいた!って(笑)
むしろ、アニメの方がミュージカルやりやすそう。
声優さんの方が歌はうまそうだし。

個人的には、
アニメキャラはこういうリアル頭身のデザインが好きだし、
歌や画の綺麗さもあって、
総じて面白い映画だと思った。
こうやって自然に会話できるAIが
一般に普及するのはいつのことだろうか。

映画『アイの歌声を聴かせて』公式サイト|2021.10.29 ROADSHOW

最後にきっと、笑顔になれる。ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント!映画『アイの歌声を聴かせて』は2...

映画『アイの歌声を聴かせて』公式サイト|2021.10.29 ROADSHOW

 

犯人の正体がわかるまで気が抜けない極上のサスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』

2021年10月30日 16時34分18秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:10/17
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
サスペンス
強奪犯
詐欺師
汚職刑事
銃撃戦
最後まで気が抜けない

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
埠頭に停泊中の麻薬密輸船が爆発し、
多数の死傷者が発生。
その原因は、
マフィアと対立する組織との抗争によるものだった。

関税局捜査官のクイヤン(チャズ・パルミンテリ)は、
1人だけ無傷で生き残った左半身に麻痺がある
詐欺師ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)を尋問。
クイヤンに問われるまま、
キントは事件に至った経緯を語り始める―。

6週間前、NYの警察署で銃器強奪事件の「面通し」に
5人の容疑者が集められた。
彼らには"ある共通点"があり、
それが今回の事件のきっかけになったというのだが…。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1995年のアメリカ映画。

これは秀逸なサスペンス映画だった!
最後にすべての真相が明らかになるまでまったく気が抜けないから!

物語は"面通し"から始まる。
これは、容疑者の顔を事件関係者に見させて、
あるセリフをしゃべってもらうことで、
容疑者が真犯人であるか否かを見分けさせること。
よく刑事モノの映画では見かける光景かな。
そこに集められた5人の“ユージュアル・サスペクツ”。
これはタイトルにもなっているんだけど、
実際には容疑者としていつも名前が挙がる人物に使われる言葉でもある。

5人の曲者が同じ場所に収監されたら、
悪だくみが始まらないわけがない。
案の定、彼らは宝石強奪計画を立て、
釈放後にそれを実行し、成功させる。
しかし、その次の宝石強奪計画で、
彼らはとんだ事件に巻き込まれるのだ。

実は、彼らには"ある共通点"があって集められたことが明らかになる。
そして、その黒幕には存在自体が
都市伝説と化している“カイザー・ソゼ”の名前が挙がる。
これが誰なのかっていうのが、
この映画の最終目的。

これがもう、全然尻尾がつかめなくて。
そもそも実在するのかしないのかも怪しいのだから、
手がかりが何もない。
そんな中で、みんなカイザー・ソゼの名前に震え上がり、
中には逃げて殺される人も。
存在が不確かなカイザー・ソゼの指示通りに動く彼らを見ながら、
その正体を予想するのが楽しかった。

当てずっぽうで、
「こういう映画の犯人って大体こいつだよね」
みたいなのはあるよ?
でも、根拠もないし、
むしろ別の人が犯人だと誘導されても、
それはそれで納得感あるのも、
よく練られたストーリーだなと思う。

すべての真相が明らかになったとき、
「おおおお、そうきたか~」っていう驚きはあるんだけど、
それ以上に、
正体となる人物のキャラクター設定に沿った
言動のハマり具合に感動さえした。

今ではたくさんの映画があるから、
勘のいい人なら犯人なんてすぐわかってしまうかもしれない。
でも、1995年時点でこのクオリティなら、
名作と言われるのもうなずけるわ。

それにしても、アプリゲームの
『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』に
"ソゼ皇帝"ってキャラクターがいるんだけど、
この映画の"カイザー・ソゼ"から取ったんだな(笑)

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

 

知られざる愛を知ったとき、驚きと感動が押し寄せてくる、、、かもしれない『そして、バトンは渡された』

2021年10月30日 00時41分00秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:154/227
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
親子愛
離婚
再婚

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(2018)

【あらすじ】
血の繋がらない親に育てられ、
4回も苗字が変わった森宮優子(永野芽郁)は、
わけあって料理上手な義理の父親、
森宮さん(田中圭)と2人暮らし。
今は卒業式に向けピアノを猛特訓中。
将来のこと、恋のこと、友達のこと、
うまくいかないことばかり…。

一方、梨花(石原さとみ)は、
何度も夫を替えながら自由奔放に生きる魔性の女。
泣き虫な娘のみぃたん(稲垣来泉)に
目いっぱい愛情を注いで暮らしているようだったが、
ある日突然、
愛娘を残して姿を消してしまった。

そして、優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに、
まったく別々の物語が引き寄せられるように交差していく。
「優子ちゃん、実はさ…。」
森宮さんもまた優子に隠していた秘密があった。

父が隠していたことは?
梨花はなぜ消えたのか?
親たちがついた〈命をかけた嘘〉〈知ってはいけない秘密〉とは一体何なのか。
2つの家族がつながり、
やがて紐解かれる《命をかけた嘘と秘密》。

物語がクライマックスを迎えたとき、
タイトルの本当の意味を知ることになる。

【感想】
親子の深い愛を描いた感動ストーリー。
原作の小説は未読だけど、
最後まで観てようやくすべてを知ることができる。
逆に言ってしまえば、
最後まで観ないと大事なところがわからないっていうことでもあるんだけど(笑)
この物語に驚きと感動を禁じ得ない人は少なくないだろうなー。

とはいえ、正直、
個人的には言うほどかなって感じだった。
この映画はちょっと予告で期待させすぎた感はある。

ストーリー自体はよかった。
2つのエピソードが並行して進んでいき、
映画が始まってちょうど半分のところで、
"あること"をきっかけに交差する。
そこから最後に至るまでの優子の身に起こることは、
確かに驚きと感動の連続と言えるかもしれない。

ただね、、、"命をかけた嘘"や"知ってはいけない秘密"とは言うものの、
作中でのヒントがわかりやすすぎて、
先の展開が読めちゃうっていう(笑)
「はい、フラグ立ちましたー」
ってピンとくる人もいるだろうな。
だから、驚きと感動とは言いつつも、
心の準備ができすぎているから、
完全に予定調和になってしまった。

特に、映画をよく観る人たちからしたら、
2つのエピソードが並行している時点で、
その関係性を予想すると思うんだよね。
全然接点はないけど、
何か共通した問題を抱えている人たちの話なのか。
片方のエピソードが動いている同じ空間、
別の角度でもうひとつのエピソードが動く話なのか。
時間軸が違ってて、
どちらかが過去、どちらかが未来なのか。
サスペンスじゃなくても、
こういうシチュエーションのときって、
ある程度予想しながら観てて、
その通りに進むと、
「あー、やっぱり」と驚きや感動が減っちゃうときがある。
今回はまさにそれだった。
わざとわからせるためにそう作ってるとは思うのだけど。

梨花の行動の動機がずっとわからないってのもモヤモヤするところ。
再婚相手の連れ子にとんでもない愛情を注ぐ動機や、
消息を絶つ動機など。
それ、最後にならないと明かされない設定があるから、
それはもう、、、最後まで観ないとね(笑)
それでも、「そうだったのかー!そうだよね、そういう事情があるならね、、、」
と感動するよりは、
「うん、そりゃわからんわ」
ってツッコミたくなる感じだけど(笑)

ツッコミたくなるところと言えば、
優子をいじめていた子たちが、
彼女の家庭の事情を知った途端、
急に優しくなるのは違和感あったな。。。
「絶対裏があるだろ」って思いながら観てたけど、全然。
本当に仲良くなっちゃって。
「あんた、自分が悲劇のヒロインだとでも思ってんの?
 だからっていろんな男子にちょっかい出してんじゃねーよ」
ぐらい言って欲しかった(笑)

あと、これは僕の場合はっていうことでしかないんだけど、
いくら再婚とはいえ、
自分と同い年ぐらいの役者さんに、
高校生の娘さんがいるってのは、
ちょっと不自然に感じてしまう(笑)
兄弟設定とかの方がまだ共感できたかも。

だから、若い子とか普段映画をそこまで観ない人の方が、
この映画は感動的に映るかなって思った。
これは、映画よりも小説の方が面白そうな気がする。

それにしても、こういうときの永野芽郁ちゃんはかわいいね。
国民の娘だ。

映画『そして、バトンは渡された』

映画『そして、バトンは渡された』 大ヒット上映中!永野芽郁×田中圭×石原さとみ豪華キャストで、令和最大のベストセラーの感動作が映画化!

映画『そして、バトンは渡された』

 

女子高生が刺して撃って殴って蹴る、日本のアクション映画の歴史を変えた『ベイビーわるきゅーれ』

2021年10月28日 23時52分58秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:22/226
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
アクション
女子高生
殺し屋
ヤクザ

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
女子高生殺し屋2人組のちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は、
高校卒業を前に途方に暮れていた。
明日から“オモテの顔”としての“社会人”にならなければならない。

組織に委託された人殺し以外、
何もしてこなかった彼女たち。
突然社会に適合せざるを得なくなり、
公共料金の支払い、年金、税金、バイトなど、
社会の公的業務や人間関係など、
理不尽な日々に揉まれていく。

さらに、2人は組織からルームシェアを命じられ、
コミュ障のまひろは、
バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、
2人の仲も徐々に険悪に。
それでも殺し屋の仕事は続き、
しかもヤクザから恨みを買って面倒なことに巻き込まれちゃって、
さあ大変。

そんな日々を送る2人が、
「ああ、大人になるってこういうことなのかなあ」とか思ったり、思わなかったりする、
成長したり、成長しなかったりする物語。

【感想】
世間で話題になっててずっと気になってた映画、
ようやく観れたー!
これ、想像以上に面白い!!
7月30日公開だったけど、
異例のロングラ上映!

この映画は次の3つの点で、
ものすごく秀逸な作品だった。

①女子高生×殺し屋というWhat if
もしも、女子高生が殺し屋だったら……?
そんな妄想の世界を見事に現実に落とし込んだのがこの映画。

そもそも女子高生ってのは、
何をやってもギャップになる神がかった存在だ。
女子高生起業家でも、
女子高生探検家でも、
他の誰がやるよりも目を引く。
(なぜ女子高生だけこんなパワーがあるのかはいつか議論してみたいけどw)

それが、今回は殺し屋。
洋画やアニメならまだしも、
邦画の実写ではありそうでなかったのでは。
それも、世界観がファンタジーなどの非現実な設定ならともかく、
舞台はあくまでも現実の日本。
彼女らはバイトの面接も受けるし、
メイドカフェで萌え萌えキュンもやる。

そんな中で、ちさととまひろの女子高生らしい言動によるリアルな日常と、
人を刺して撃って殴って蹴るという非日常のバランスがものすごく心地いい。

ただ、割とすぐに女子高生は卒業しちゃうので、
どうせなら学園生活を挟みながらの殺し屋稼業も観てみたかった(笑)

あと、まひろがちくわをくわえてるシーン、
元ネタがわかる人は笑えるかも。
演じた髙石あかりは『鬼滅の刃』の舞台で禰󠄀豆子役だったそうなので(笑)

②ヤクザ×メイドカフェというWhat if
もしも、ヤクザがメイドカフェに行ったら……?
そんな妄想の再現もメチャクチャ面白い。

ヤクザの浜岡一平(本宮泰風)と浜岡かずき(うえきやサトシ)は、
新たなシノギを探してメイドカフェを訪問。
極道の世界に生きる彼らが、
頭の中お花畑のメイドカフェにいるっていうだけで笑えるのに、
そこで言葉にするのも恥ずかしいメニューを頼み、
メイドといっしょに萌え萌えキュンまでしちゃうところが最高におかしくて。

で、何がそこまでツボるかってさ、
これを「芸能界喧嘩最強の男」とされる本宮泰風がやっちゃうギャップだよね。
いつも悪い役が多い彼が、
そこまでするんだっていうところに笑った(笑)

③日本のアクション映画を変えるアクション
そして、何と言ってもこの映画の最大のウリはバトルシーン!
特に、冒頭のコンビニでの戦いと、
最後のカチコミは本当に圧巻。
個人的には『ファブル 殺さない殺し屋』以上のすごさだと思ったし、
『るろうに剣心 最終章 The Final』に匹敵するぐらいの興奮っぷり!!

目にも止まらぬ速さでの技の連続に、
「邦画のアクションもここまでやれるんだ!」と驚いた。
監督のインタビューによると、最後の格闘シーンは、
「映画の殺陣にはない"実戦の間合い"」らしくて。

でもね、これはやっぱりまひろ役を演じた
伊澤彩織本人がスタントパフォーマーだってのも大きいと思う。
普段アクションをやっていない女優さんが撮影のためにちょっと特訓して、
他はスタントダブルに任せるっていうのとは違うよね。

中国や香港のカンフー映画だって、
ジャッキー・チェンやドニー・イェンは
役者であると同時に武術家でもあるから、
本格的なアクション映画になると思ってる。

本作の監督は、
まだ25歳という若さ。
こういう洋画みたいに振り切ったアクション映画、
日本でももっと増えたらいいなあ。

https://babywalkure.com/

あまりにも理不尽な展開と衝撃の結末に令和最大の悲しみを感じた『ダンサー・イン・ザ・ダーク』

2021年10月28日 00時42分45秒 | 映画


【個人的な評価】
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ミュージカル
冤罪

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
1960年代のアメリカ。
チェコからの移民であるセルマ(ビョーク)は、
女手ひとつで息子のジーン(ヴラディカ・コスティック)を育てながら工場で働いている。
彼女はまわりに理解と愛情を持つ人々に囲まれ、
満ち足りた生活を送っていた。

しかし、彼女は遺伝性の病気のため、
視力が失われつつあり、
やがて失明してしまう恐れがあった。
ジーンも手術を受けない限りは同じ運命をたどることに。
そのために、セルマは内職もしてジーンの手術費用を蓄えていた。

だがある日、セルマは工場を解雇された上に、
貯めていたお金まで盗まれてしまう。
犯人に心当たりのあった彼女は、
警官であるビル(デヴィッド・モース)を訪ねるのだが……。

【感想】
2000年のデンマーク映画。
僕はここでは基本的に映画館で観た映画の感想しか書かない。
そう、つまりあの名作が21年ぶりに映画館で上映されているのだ。
4Kで!
といっても、本公開は12月10日(金)から。
今日は一夜限りの先行上映日。
2022年6月に国内上映権利が終了するため、
日本での劇場公開は今回でラスト。
観たい人は12月まで待つべし!

実は初めて観るんだ、この映画。
もうね、セルマの絶望のどん底っぷりが心苦しいし、
息子を想う母親の愛情が深すぎるし、
最後の結末があまりにも悲惨すぎて、
ただただ悲しかったよ。。。
特に、ラストがとてつもなくショッキングだった。。。

これは当時大ヒットしたのもわかる。
わかるのだけど、、、
期待値が高すぎたせいか、
正直僕は思ったほどハマらず。。。(笑)
なぜ名作と言われたこの映画がハマらなかったのか、
よくよく考えてみると、
ちゃんと明確な理由が3つありました。

ひとつはミュージカルの無理矢理感。
セルマはミュージカルが大好きで、
そのことを考えているときだけは幸せを感じられる人。
だから、彼女の妄想シーンはすべてミュージカル仕様になる。
それがとても無理矢理ねじ込んでいるように見えて、
不自然さを感じてしまったんだよな。
さらに、歌のメロディーが覚えづらいのよ。。。
他のミュージカル映画で歌われる歌って、
覚えやすくて耳に残るんだけど、
これは思い返そうにも頭に浮かんでこなくて。。。
ただ、ビョークの歌唱力はさすが。
あの大きく通る歌声には圧倒されたのは事実です。

もうひとつは、ちょっと疲れるカメラワーク。
手持ち撮影が主体となっているから、
手ブレが多くて観るのに体力が持っていかれる気がして。。。
いや、この手法こそがこの映画の醍醐味なのかもしれないけど、
最初ドキュメンタリーなのかなって思って、
映画って感じがしなかった(笑)

最後に、裁判でのセルマの戦う姿勢のなさにやや違和感があったかなーって。
セルマは無実の罪で法廷に立つんだけど、
一切事実を語らない。
事実を語ることで、
息子のジーンにもストレスが溜まり、
目の病気が悪化してしまうことを危惧していたからだとは思うけど。
とはいえね、事実は話すべきなんじゃないのかなって思った。
セルマは息子に必要なのは
「母」ではなく「目」と強く主張していたけど、
そこは共感できなかったかなー。

あと、僕が個人的にびっくりしたのは、
あのクソ野郎ビルを演じたデヴィッド・モース。
この映画、日本では2000年12月23日に公開しているんだけど、
同じ2000年の3月25日には『グリーンマイル』が公開されてて(ちなみにアメリカでは1999年12月10日公開)。
彼はそこでブルータル役を演じているんだけど、
それはとてもいい看守さんだったんだよね。
あんなにいい人が、
こんなクソ警官を演じているっていうギャップに驚き。

総じて、絶賛される理由はわかるけど、
個人的にはそこまで……っていう感じかな。
とにかく悲しい映画を観たい人にはいいかもしれないけど、
けっこう好みは分かれるかも。

映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク4Kデジタルリマスター版』公式サイト

映画史に残る賛否両論の衝撃作が、21年の時を経てついに4Kで甦る。ラース・フォン・トリアー×ビョーク。ふたつの斬新な才能が生み出した感動大作...

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妻の介護と子育てに追われるひとつの家族と、彼らを支えるひとりの親友の絆が感動的な『Our Friend/アワー・フレンド』

2021年10月27日 22時34分36秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:84/225
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
ラブストーリー
がん
闘病

【元になった出来事や原作・過去作など】
・エッセー(実話)
 マシュー・ティーグ"The Friend: Love Is Not a Big Enough Word"(2015)

【あらすじ】
仕事に打ち込むジャーナリストのマット(ケイシー・アフレック)と
妻で舞台女優のニコル(ダコタ・ジョンソン)は、
2人の幼い娘を育てながら毎日を懸命に生きていた。
だが、ニコルが末期がんの宣告を受けた日から、
一家の生活は一変してしまう。

妻の介護と子育てによる負担にマットが押しつぶされそうになる中、
かつて人生に絶望したときに2人から心を救われた親友デインがやって来る。

2年にも及ぶ闘病生活。
3人の想いと苦悩が交錯していく中、
彼らが見つけた希望とは──。

【感想】
泣いた。
もうタイトルと予告で感動系だとわかってはいたけど、
やっぱりこういうのは泣いちゃうわ。

幸せだった家族生活が、
妻のがん宣告から一変する様子を描いているんだけど、
話の進み方としては時系列が行ったり来たり。
現在の辛い状況を映したかと思えば、
まだ元気だった過去のエピソードに戻ることも。
ただ、いつの出来事なのか、
丁寧にテロップで表示してくれるから、
話としてはわかりやすかった。

妻や恋人が病気になってしまう話は映画ではよくある、
実によくありすぎる話。
なので、そこだけ切り取れば、
単なる感動映画で終わり。
しかしながら、この映画が他と違うのは、
デインの存在。
彼、もともとはニコルの舞台仲間。
そこからマットとも知り合って、
夫婦共通の親友となっていった。
もちろん、ニコルの娘たちとも気心の知れた仲。

このデインをどう見るかっていうのが、
この映画の面白いところかなって。
ニコルががんを宣告された後、
大変だったのはマット。
ジャーナリストの仕事をしながら、
妻の介護と子育てを担うことになったからもういっぱいいっぱい。

そこで、デインが一家のサポートに入るんだ。
ニコルたちの家に居候しながらね。
ニコルの介護もしながら、
子供たちの面倒も見ると。
彼、住んでるのニューオリンズなのに、
わざわざフェアホープまで来るんだよ。
700kmは離れてるんじゃかろうか。
東京から広島に行くようなもんだ(もっとかも?)。

それも、2~3週間のつもりだったのが、
最終的には2年ぐらいいたのかな。
デインにも恋人はいたけれど、
彼のしていることに理解ができずに別れてしまった。
そりゃそうだよね、
家族でも親族でもないのに。
もちろん、親友であればできる限りのことはしてあげたい。
ただ、2年も相手の家に居候してでもすることだろうか。
お互いの両親にも頼ることはできるだろうに。
傍から見れば、
ひとつの家族にひとりのおじさんが入り込んでいる、
ちょっと不思議な関係。

でも、デインはマットとニコルに恩があった。
夢に向かってがんばっていたとき、
なかなかうまく行かず、
死に場所を探し求めていた。
そんなとき、「なんかあったら連絡しろよ」
と言ってくれたのがマットたちだった。
孤独から救ってくれた親友の言葉。
その恩が、デインの中にはいつまでも残っていたんだろうなあ。
だから、例えまわりから白い目で見られようとも、
彼らの力になりたかった。

もちろん、そういう事情もわかる。
ただ、僕はニコルとワンチャン期待していたんじゃないかって思うんだよなー。
昔、ニコルが既婚者だと知らずにデートに誘ったっていう経緯もあるし。
まあ、実際にワンチャンなくとも、
好意があった人の側にはいたかったんだと思う。
そういう意味では、
デインはマットよりもニコルの方に深く情を入れていたかもしれない。
なので、ちょっとした三角関係なんじゃないのかなっていう目でずっと追っていたけど(笑)

この映画は、夫婦の絆はもちろんのこと、
それ以上にデインの立ち位置がとても興味深い。
人によっていろいろ感じ方がありそう。
ぜひ友情と愛情の狭間をその目で観て欲しい(笑)

映画『Our Friend/アワー・フレンド』公式サイト/10月15日(金)公開

映画『Our Friend/アワー・フレンド』公式サイト/10月15日(金)公開

 

SNSやAIが発達した世界の友情の在り方に笑って泣いた『ロン 僕のポンコツ・ボット』

2021年10月27日 00時51分46秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:27/224
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
CGアニメーション
ヒューマンドラマ
ロボットと少年
SNS
AI

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
新式ロボット型デバイス<Bボット>。
それは、スマホよりハイテクなデジタル機能に加えて、
持ち主にピッタリな友達まで見つけてくれる夢のようなデバイス!

そんな<Bボット>で誰もが仲間と繋がる世界で、
友達のいない少年バーニーの元に届いたのは、
オンライン接続もできないポンコツボットのロンだった。

出会うはずのなかった1人と1体が‟本当の「友情」“を探す
ハートウォーミング・アドベンチャーが今、始まる!

【感想】
これよかったー。
いい映画だった。
テンポもいいし、
次から次へと事件が起こるから飽きずに観れる。
しかも、笑って泣いた。。。

少年とロボットの交流っていう設定はオーソドックスなんだけど、
とても現代に通じる内容なのよ。
いや、これはSNS全盛期の今の時代だからこそ
観て然るべきかなとも思う。

Bボットって、
言ってしまえば超進化したスマホ×ロボットみたいなデバイス。
今のiPhoneに備わっているような機能を持ちながら、
持ち主の嗜好を学習し、
それに合う友達を見つけてくれる。
映画では勝手に友達見つけて、
勝手にフレンドになってるから、
ちょっとそこまでは、、、って僕は思ったけど(笑)

そういう機能面だけ見れば、
今のSNSとそんな変わらない。
まあ、自然な音声認識が可能で、
勝手に持ち主の後を付いてきてくれるっていうところは、
ちょっとした近未来かな。
世界観としてはすごく身近に感じられる。

そこで、主人公のバーニーの元にやってきたのが、
ひょんなことから配送トラックから落ちて不具合が生じたBボットのロン。
通常のBボットに備わっている機能は起動せず、
逆に安全装置も外れているというちょっと危ない不良品。

でも、"普通じゃない"からこそ、
そこにドラマが生まれる。
正常なやり取りができないからこそ、
持ち主の言う通りには動かない。
安全装置が外れているから、
いじめっ子をやっつけることができる。
それでも、"友達を作る"という目的は果たそうとする。
言われたことだけを忠実に守るプログラムより、
よっぽど人間らしい。
そこがロンの最大の魅力。

アニメーションだからそう見えるってのももちろんあるけど、
バーニーとロンの交流は、
もはや人間の友達同士のやり取りにしか見えない。
『ターミネーター2』でも、
「父親代わりの男は大勢いたが、その役を果たせるのはこのマシンだけ」
っていう印象的なセリフがある。
本来は人間がやるべきことなのに、
ロボットの方が適任だっていうのが、
皮肉ながらも心に響く。

で、さっき、
今の時代だからこそ観るべきって言ったのは、
このBボットがスマホの延長のような側面もあるから。
ゲームで1位になることにこだわったり、
いかに「いいね!」をもらえるかばかり気にしたりして、
本気で友達のことを見ていないっていうシーンも描いてて。
ここがまさに現代のSNS社会と同じだなって。
そういう話自体はいろんな映画やドラマ、
ニュースでも目にするけど、
まさかこんなところでも描かれるなんて思わなかった。
うまく時事性を持たせた形かな。

その後いろいろあって、
ロンの不良品ゆえの人間らしさが世界を変えていくことになる。
なるんだけど、このBボットを開発した会社も、
まわりの大人たちも、
ずっとロンを「危険物だ」と処分しようとしてた。
でも、そんなロンだけが、
本当の意味で友達を作るという役目を果たしたんだよね。

結局、ドラマを生んだり、
世界を変えたりする存在っていうのは、
こういう"規格外"だったり、
"異質なもの"だったりするのかなって。
"正しいこと"をしている以上に、
正しいことがあるっていうメッセージも感じられた。
そういう存在って、
なかなか理解されないけどね。
人間や組織って、
前例がないとなかなか動けないから。

いやー、予想以上にいい映画だった。
でも気になったのが、
あれだけ頑丈なBボットなのに、
トラックから落ちただけで不具合発生するなんて、、、(笑)

ロン 僕のポンコツ・ボット

大ヒット上映中!友達が欲しい少年バーニー。友達を作れない<Bボット>ロン。一人と一体の“本当の「友情」”を探すハートウォーミング・アドベンチ...

20th Century Studios JP

 

老人に対する年齢差別が甚だしい胸クソ悪くなる『アミューズメント・パーク』

2021年10月25日 23時47分48秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:217/223
   ストーリー:★☆☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【要素】
サイコスリラー
年齢差別
老人虐待

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
遊園地で老人が罵られ、大変な目にあう。

【感想】
すごいよね、あらすじがたったの一文。
これ、公式サイトでもこうなのよ。

実はこの映画、
1973年に作られたのだけど、
日本で公開されたのは今回が初めて。
監督はホラー映画の巨匠であるジョージ・A・ロメロ。
彼が年齢差別や高齢者虐待を題材にした
教育映画として作ったのが本作。

しかし、製作を依頼したルーテル教会が、
あまりにも悲惨な内容だったために封印。
それ以来、お蔵入りとなっていたのだけど、
2017年にフィルムが発見され、
4K修復作業が行われた後、
48年の時を経てようやく日本でも公開。

いやしかし、、、
なんともシュールで胸クソの悪くなる映画なことよ。
正直、起承転結のような整ったストーリーなんてない。
老人が人で溢れ返った遊園地を歩き、
心ない嫌がらせを受けるだけの映画。

人にぶつかっては「前を見て歩け」と言われ、
レストランではぞんざいな扱いを受け、
子供と話してはまわりの大人に「変質者」と罵られる。
さらに、変な暴走族にボコボコにされるわ、
大切な懐中時計はスラれるわという、
悲劇の連続。

そんなボロボロになった老人を、
ひとりの少女が「絵本を読んで」と頼むものの、
母親に連れられ、
そそくさと帰ってしまう。
あまりの孤独に老人はついに泣き出す。
こんなに大勢の人がいる中で、
誰も彼を敬わず、
友好的に接しようとしない。
ただ老人というだけで、
ものすごい差別的な扱いを受けるのだ。
当時のアメリカではこういう年齢差別があったようだけど。

冒頭で彼は言う。
「老人は自分に経験や知恵があるから、
 その分大切に扱われたいと思っている」と。
今の老人が自分をどう思っているかはわからないけど、
少なくとも当時はそう思う人が多かったようだ。

この映画は「老人を大切にしよう」という
綺麗事を伝えるものではない。
今、老人を邪険に扱っている若い人たちも、
いずれみんな老人になる。
世間から冷たくあしらわれ、
誰もまともに取り合ってくれなくなる。
だからこそ、若いうちにいろいろチャレンジしておくべきというメッセージだった。

まさか、ゾンビ映画の第一人者が、
こんな社会的な映画を撮るとは思わなかったけど。
というか、なぜゾンビ映画で有名な人に、
教会という聖なる立場の人たちが製作を依頼したのか謎だけど。
なかなかに興味深い作品ではあった。

とはいえ、映画として面白いかと言われると、、、
まあオススメはしません(笑)
普通の映画とは違う、
なんかちょっと不思議な作品が観たいというのであればぜひ。

ジョージ・A・ロメロ監督『アミューズメント・パーク』公式サイト

故ジョージ・A・ロメロ監督が1973年に手掛けた幻の未発表映画が半世紀を経てついに解禁!新宿シネマカリテにて2021年10月15日(金)より...

ジョージ・A・ロメロ監督『アミューズメント・パーク』公式サイト

 

日本が大好きな外国人が作ったであろうヤクザ×忍者の剣劇アクション映画『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』

2021年10月23日 20時07分09秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:154/222
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
アクション
忍者
ヤクザ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・おもちゃ
 G.I.ジョー(1964~)

・アニメ
 『地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョー』(1983~1987)

・映画
 『G.I.ジョー』(2009)
 『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013)

【あらすじ】
日本の闇の組織から、
ある男の命を救ったスネークアイズ(ヘンリー・ゴールディング)は、
秘密忍者組織“嵐影”への入門を許可される。
600年の間、
日本の平和を守り続けた“嵐影”は、
悪の抜け忍集団と国際テロ組織“コブラ”連合軍による攻撃にさらされ、
危機に瀕していた。

スネークアイズは嵐影の“3つの試練”を乗り越え、
真の忍者となり、
迫りくる“忍者大戦”から
世界を守ることが出来るのか!?

【感想】
もともとはアメリカのハズブロ社が販売している
男児向けアクションフィギュアが始まり。
そこからアニメ化や映画化もされてるんだけど、
今回は前回の映画から8年ぶりの新作。
キャストも設定も一新され、
リブート的な扱いなんだけど、
興行的には今のところ大失敗らしい。
ウィキペディア情報だけど、
「8800万ドルの製作費と1億6000万から1億7500万ドルの損益分岐点に対して、全世界で3700万ドルの興行収入」だとか。。。

まあ、わかる。。。(笑)
この映画、というかこのシリーズ、
ストーリーもキャラクターもメチャクチャ薄くて、
ほとんど面白みが感じられないんだよ(笑)
ただ、1作目に関しては、
その薄さゆえに長ったらしいドラマパートが皆無。
次から次へと激しいアクションシーンがやってきて、
テンポよく進んだから、
個人的には高評価。

続く『2』がね、、、
唐突に主人公変わるし、
長ったらしいドラマパートも増えてしまい、
テンポのよさがなくなったので面白くなく。。。

今作は『1』のような形を期待したんだけど、
残念ながら『2』寄り(笑)
予告で観たような激しくてかっこいいアクションの連続を楽しめるかと思いきや!
ちょいちょいくどいドラマパートが入って、
なかなかテンポよく進まない。

今回はスネークアイズがスネークアイズになるまでを描いた、
まさにこのシリーズの1作目にふさわしいポジションではある。
でもね、なんでストームシャドーはスネークアイズを我が家に招き入れたのか。
そして、いきなり3つの試練を与えたのか。
しかも、なぜかスネークアイズもそれをすんなりと受け入れちゃって。
ここの関連が弱くて、
あんまりしっくり来なかった。

スネークアイズが最初から強いのも謎なんだよね。
荒れた生活を送っていそうだったので、
ケンカが強いのはわかるけど、
武術や剣術までこなせるとは一体。。。
ストームシャドーは由緒正しき忍者の家系だから、
最初から強くて当たり前だけど。
でも、スネークアイズと互角なんだよな(笑)

総じて、ヤクザと忍者の戦争映画だよ、これ。
監督の趣味なんだろうけど、基本的にみんな武器は刀だし(笑)
それで、試練だの心を無にするだの、
本当に日本が大好きなんだなって。
ロケも日本で行われたみたいだし。

もちろんね、わかりやすいストーリーに激しいアクションはよかった。
殺陣シーンのかっこよさはこの映画の見どころのひとつ。
まるで『るろ剣』みたいだなーって思ってたら、
アクション監督が同じ谷垣健治さんっていう(笑)
高速道路でのバトルも、
バイクから飛んだり跳ねたりしながら刀を振り回すのは、
『ファイナルファンタジーⅦ アドベントチルドレン』の影響もある気がする。

とはいえ、イマイチキャラクターに入り込めなかったのは、
様々な動機が不十分と感じてしまったからだろうなー。

本作そのものはやや微妙ではあったけど、
シリーズは続けて欲しいんだよね。
だって、せっかく過去作でほとんど触れられていなかった
スネークアイズとストームシャドーの因縁が深掘りされたわけだし、
今後の展開が楽しみではある。

過去作を観た人ならまあまあ楽しめる映画かな。
これが初見だとキツイかもしれないけど(笑)

映画『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』公式サイト

大ヒットアクション映画『G.I.ジョー』シリーズ最新作。スネークアイズ誕生の秘密がついに明かされる!大ヒット上映中

映画『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』公式サイト

 

16歳でロック誌の辛口批評家となった少女の痛快な若気の至り映画『ビルド・ア・ガール』

2021年10月23日 15時01分19秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:81/221
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
コメディ
青春
ロック
ファック
下ネタ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説(半自伝的小説)
 キャトリン・モラン『女の子をつくる方法』(原題:How To Build a Girl)

【あらすじ】
1993年、イギリス郊外に家族7人で暮らすジョアンナ(ビーニー・フェルドスタイン)は、
底なしの想像力と文才に長けた16歳の高校生。
貧しくも優しい両親や兄弟に囲まれているが、
学校では冴えない人扱い。
あふれる表現欲求や自己実現を持て余して、
悶々とした日々を送っている。

そんな環境を変えたい彼女は、
音楽マニアの兄クリッシー(ローリー・キナストン)の勧めで、
大手音楽情報誌「D&ME」のライターに応募。
単身で大都会ロンドンへ乗り込み、
仕事を手に入れることに成功する。
大切な髪を赤く染め、
奇抜でセクシーなファッションに身を包んだジョアンナは
“ドリー・ワイルド”へと生まれ変わり、
ロックの世界に引き込まれていく。

音楽ライターとしてその才能を開花させ、
人気者となったジョアンナだったが、
インタビュー取材で出会った
ロック・スターのジョン・カイト(アルフィー・アレン)に夢中になってしまい、
冷静な記事を書けずに大失敗。
「生き残りたいなら、すべて蹴散らせ!」
という編集部のアドバイスにより“いい子”を捨て、
“嫌われ者”の辛口批評家として再び音楽業界に返り咲くジョアンナ。
過激な毒舌記事を書きまくる“ドリー・ワイルド”の人気が爆発する。

地位と名声、お金も手に入れるが、
しかし彼女はだんだん自分の心を見失っていき……。

【感想】
パワフルで痛快な青春映画!
老若男女問わず楽しめるけど、
特に若い子に向いてるかも。

ジョアンナは文才に恵まれていたおかげで、
トントン拍子で有名になっていって、
いろいろ勘違いしちゃうっていうのは、
今の世の中、
SNSで一気に有名になってしまう可能性があることと似ているところがある。

気づけば、家族の誰よりも稼ぐようになり、
家賃もジョアンナが支払うことに。
ファンもつき、
街を歩けばサインを求められる。
そんな恵まれた状況を16歳で堪能し、
さらにロックバンドとつるんでいれば、
そうなることも仕方ないかもしれないな~って。

途中、辛口批評家に方向転換するものの、
中身はただの悪口(笑)
瞬間的に目立ちはすれど、
所詮はあぶく銭のようなもの。
彼女の本質が変わったわけではないので、
だんだん横柄になっていくジョアンナに家族は辟易。
D&MEの編集部のメンバーも、
彼女の才能は認めているものの、
基本は子ども扱い。
ひとりの人間として向き合っているわけではなかった。

自分のポジションをようやく理解した彼女は、
より自分のキャラクターを活かした方向へと歩み始める。
「道を間違えたと思ったら、やり直せばいい」
彼女の出した結論はとてもシンプルだ。

この映画、
まんますぎるメッセージがわかりやすくて気軽に観れる映画だけど、
個人的に推したいのは、
ドストレートなセリフの数々。
それが最高におかしくて!
日本みたいにオブラートに包まないのがいいんだよ。
16歳の女の子なのに、
「彼氏欲しい」なんて言わない。
「セックスしてぇ」って。
男子高校生かって。

そんな感じでハリウッドらしく下ネタ全開!
どんどんビッチになっていく彼女の
若さと自己顕示欲が溢れてて笑った(笑)

ぶっ飛んでいるっていうか、
日本じゃコソコソ話すようなことを
オープンに言っちゃうのが洋画の好きなところ。
邦画でも青春映画は数あれど、
そのほとんどがキラキラしたプラトニックな恋愛映画。
こういう下ネタを連発したりとか、
"自分の見つけ方"を模索する
エンパワーメント的なのはあんまり見ないかなあ。

何にせよ、後先考えずに突っ走るティーンエイジャーの生き様は、
観ているだけで元気がもらえる!

あと、エマ・トンプソンがイケメン(笑)

映画『ビルド・ア・ガール』公式サイト

【絶賛公開中】わたしはわたし。がむしゃらに輝け!音楽ライター・ドリーのクソったれで愛しい日々に共感必至!青春エンパワーメントムービー誕生!!

映画『ビルド・ア・ガール』公式サイト

 

恐怖、スリル、スプラッター、死に方、すべてが柔らかくなった『CUBE 一度入ったら、最後』

2021年10月22日 23時27分43秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:187/220
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】
サスペンス
スリラー
ホラー
キューブ
閉塞感
脱出ゲーム

【元になった出来事や原作・過去作など】
・映画
 キューブ(1997)

【あらすじ】
突然閉じ込められた男女6人。
エンジニアの後藤裕一(菅田将暉)、
団体職員の甲斐麻子(杏)、
フリーターの越智真司(岡田将生)、
中学生の宇野千陽(田代輝)、
整備士の井手寛(斎藤工)、
会社役員の安東和正(吉田鋼太郎)。
年齢も性別も職業も、
彼らには何の接点もつながりもない。

理由もわからないまま、
脱出を試みる彼らを、
熱感知式レーザー、
ワイヤースライサーや火炎噴射など、
殺人的なトラップが次々と襲う。
仕掛けられた暗号を解明しなくては、
そこから抜け出すことは絶対にできない。
体力と精神力の限界、
極度の緊張と不安、
そして徐々に表れていく人間の本性…。

恐怖と不信感の中、
終わりが見えない道のりを、
それでも「生きる」ためにひたすら進んでいく。
果たして彼らは無事に脱出することができるのか?!

【感想】
1997年に公開された『キューブ』の原作者公認のリメイク作品。
世界観の設定や話の流れはオリジナルといっしょ。
登場人物と一部のトラップに変更があったぐらいかな。

個人的には、正直「うーん、、、」って感じ(笑)
テンポがよくなかったんだよなあ。
後藤の人物背景を少し掘り下げてしまったがゆえに。

オリジナル版は、
集められた7人の人物像についてはほとんど触れなかったんだよ。
とにかく、脱出に向けてどんどん進んで行って。
その間に極限状態に追い込まれた人間同士のいさかいがあって。
最後の最後まで気が抜けない展開がよかった。

今回の映画では、
後藤の過去を交えることで、
彼の抱える秘密を知ることができる。
でも、「それいる?」って(笑)
脱出に直接関係はしないし、
むしろテンポのよさをなくすことで、
やや退屈な映画になってしまった感は否めない。。。
ちなみに、他の人物についてはそこまで触れられていないのよ。
職業すらわからないまま終わる人も。
特に麻子はもう少し見せ場が欲しかった。
事情はあるにせよ、
紅一点なのに映画の登場人物として
何のバリューも発揮しておらず。
彼女に下心を持った男が……
なーんて展開もちょっとは期待したけど。

あと、個人的にこういう映画で期待するのはスプラッターシーン。
いかにグッチャグチャになるかっていうのが、
恐怖と緊張を生むポイントになるんだけど。。。
みなさん、目に見えるところでは、
綺麗に亡くなられてて。
とある人の死体なんか、
「そんな綺麗な肉塊はないだろ」
って思っちゃった(笑)

まあ、この手の映画って最初に出したもん勝ちな部分はあるよね。
しかも、似たような映画もたくさん作られたし。
その上での公式リメイク作品っていうのは、
かなりチャレンジングですごいなとは思うけど。

うーん、オリジナル版がよかっただけに、
恐怖、スリル、スプラッターにおいて、
だいぶ弱くなってしまったのは残念かなあ。
これを観るなら、オリジナル版を観て欲しい。
ものすごく秀逸な映画だから。

映画『CUBE 一度入ったら、最後』公式サイト | 2021年10月22日(金)全国公開

「この部屋に一度入ったら、最後。」目覚めたら謎の立方体《CUBE》の中だった――閉じ込められた男女6人。死のトラップ迷宮、出口はあるのか?主...

映画『CUBE 一度入ったら、最後』公式サイト | 2021年10月22日(金)全国公開

 

土方歳三の生き様と新選組の軌跡がダイジェストでわかる『燃えよ剣』

2021年10月20日 20時03分43秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:129/219
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
時代劇
アクション
ヒューマンドラマ
新選組

【元になった出来事や原作・過去作など】
・出来事
 新選組(1863~1869)

・小説
 司馬遼太郎『燃えよ剣』シリーズ(1964)

・映画
 『燃えよ剣』(1966)

・テレビドラマ
 『燃えよ剣』(1966、1970、1990)

・舞台
 『燃えよ剣』(2004、2013)

【あらすじ】
武州多摩の"バラガキ"土方歳三(岡田准一)は、
「武士になる」という熱い夢を胸に、
近藤勇(鈴木亮平)、沖田総司(山田涼介)ら同志と共に京都へ向かう。
徳川幕府の後ろ盾のもと、
芹沢鴨(伊藤英明)を局長に擁し、
市中を警護する新選組を結成。
土方は副長として類まれな手腕と厳しい法度で組織を統率、
新選組は討幕派勢力の制圧に八面六臂の活躍を見せる。

お雪(柴咲コウ)と運命的に出会い、
惹かれ合う土方だったが、時流は倒幕へ傾いていく。
幕末の動乱の中、
剣を手に命を燃やした男たちの知られざる【愛】と【戦い】が、
今幕を開ける。

【感想】
土方歳三の生き様と新選組の軌跡を描いた作品。
小説は読んでいないけど、
1966年版の映画は観ました。
面白いっちゃ面白いとは思うけど、
基本的にこの歴史的事実を知っていることを前提に作られたお話。
なので、幕末の日本についての知識があった方が、
より楽しめるかなと思う。
個人的には、土方歳三の人となりは1966年版の方がわかりやすく、
新選組の軌跡っていう点では今作の方がわかりやすい印象。

1966年版の映画は、
池田屋事件のところまでで終わっているけど、
この映画は土方歳三の最期までを描いている。
とはいえ、本作も池田屋事件以降はさらにダイジェスト感が強まり、
歴史を知らないと「ふーん」で終わってしまうかなー。

そうなると、淡々と進んでいく伝記的映画になってしまいそうなのだけど、
これは激しい殺陣アクションが途中何度かあるので、
いい気分転換になる。
ただ、昔の映画と比べると、
その殺陣もだいぶ変わったと感じるんだよね。
昔の殺陣は引きの映像が多いから、
全体の動きがよくわかる。
でも、今回のやつはアップが多くて、
迫力はあるものの、
カット数が増えるから、
一連の動きがちょっとわかりづらいかな。
どっちがいいっていう話でもないけど。

配役はけっこう実物に近いんじゃないかなって思った。
教科書とかに載っている写真と比較すると、
土方歳三はそれっぽいし、
鈴木亮平の近藤勇っぽさもガチハマりしてる。

沖田総司はよく漫画とかで美少年に描かれるけど、
実際の写真は、、、(笑)
でも、山田クンが演じたことで、
二次元の実写版としてはアリかと。

顔は似てないけど、
伊藤英明が演じた芹沢鴨も雰囲気はピッタリ。
彼、かなりのクズ野郎だったようで。
新選組って好きな人はメッチャ好きだけど、
あの中にはいろんな人がいるからね。
けっこう悪事を働いていた人もいたとか。

『るろうに剣心 最終章 The Final』で沖田総司を演じた村上虹郎が、
今回は岡田以蔵を演じているのはちょっと面白い。

あと、柴咲コウが演じたお雪。
土方歳三の相手役って、
1966年版では佐絵(小林哲子)っていう人なんだけど、
いずれも架空の人物なんだよね。
土方歳三ってメチャクチャモテてたらしいので、
実際のモデルは特定できなくとも、
相手役はいかようにも創作できるのかもしれない。

総じて、歴史好きじゃないとちょっとハマりづらいかもなー。
僕は、大学受験のときの選択科目は日本史だったけど、
特別歴史が好きなわけではなく(笑)
だから、新選組を始めとした幕末の話って、
何年に何があったかという知識でしか覚えていない。
その背景をストーリーとして学んだわけではないので、
結局何となくしかわからないっていう。。。

薩長同盟、尊王攘夷の思想、
江戸幕府の置かれた状況などを知らないと、
あんまり頭に入って来ないかも。
なんで薩摩藩と長州藩だけよく名前が挙がるんだっけとか、
なんで急に尊王攘夷の気運が高まったんだっけとか、
お恥ずかしながら詳しく知らず。。。
日本人なら知ってて当たり前かもしれないけど、
歴史好きじゃない限りは、
意外とみんな知らなかったりして。

映画『燃えよ剣』公式サイト 大ヒット上映中!

原作:司馬遼太郎 × 監督・脚本:原田眞人 × 出演:岡田准一、柴咲コウ、鈴木亮平、山田涼介、尾上右近、山田裕貴、伊藤英明―「新選組」土方歳...

映画『燃えよ剣』公式サイト 大ヒット上映中!

 

『リコカツ』の対極に位置し、さらに『逃げ恥』感あった『婚姻届に判を捺しただけですが』(第1話)

2021年10月20日 00時07分43秒 | ドラマ

【個人的な評価】
2021年秋ドラマで面白かった順位(第1話時点):6/10
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【要素】
ラブコメ
偽装結婚

【元になった作品出来事や原作・過去作など】
・漫画
 有生青春『婚姻届に判を捺しただけですが』(2017〜)

【あらすじ】
森田デザインで中堅のデザイナーとして働く大加戸明葉(清野菜名)。
彼女はおひとり様を満喫しており、
仕事にもやりがいを感じていて、
生涯独身という未来もどんと来いと、
結婚にこだわってはいなかった。

同僚たちとランチをしていたある日。
明葉はファミレスで、
まさかの他人のプロポーズの現場を目撃。
ところが、その女性は突然怒り出し、
男に水を浴びせて行ってしまう。
そんなビックリ現場に遭遇した矢先。
夜の飲み会の席で明葉は、
ファミレスで盛大に振られていた
百瀬柊(坂口健太郎)と偶然にも再会するのだった。

昼間の女性とのことはなかったかのように、
結婚観について明葉にグイグイ質問攻めする百瀬。
すると、百瀬は明葉に「僕と結婚してみませんか?」と、
突然まさかのプロポーズ。
さらに、百瀬は明葉が想像もしていないような
“結婚”の形を語り出す。

そんな中、明葉はさらなる問題を抱えることに。
自分一人でどうしようもない状況を打破すべく、
明葉は百瀬の提案を受け入れるのだが…。

【感想】
想像以上に楽しめた(笑)
このドラマ、これから結婚生活を始めるという点で、
しょっぱなから離婚しようとしていた『リコカツ』(2021)の
正反対の位置にあるようなドラマで。
しかも、「お互いの利害関係が一致」し、
共同生活におけるルールを設けるところが、
『逃げるは恥だが役に立つ』(2016)っぽいところもあって(笑)
今回のドラマ含めて全部同じTBSなんだけどね。
まさに平成から令和にかけた
「共同生活三部作」になるんじゃないかと(笑)

まあ、偽装結婚するってところに目新しさはないものの、
百瀬の細かい性格がさ、
「こういう人いるよね〜」って思ってる人は少なくなさそう。
彼のこだわりはすごくわかるけど、
実際にいっしょに住むことになったら、
マジでめんどくさそう(笑)

そんな人といっしょにいたら、
ストレスフルな生活が待っているのは想像に難くない。
だから、明葉の勤める会社の社長である森田(田辺誠一)が言っていた
「夫婦ったって他人なんだし。他人と暮らすんだ。ストレスだらけだろ〜」
ってセリフに共感する人も多いだろうなあ。

偽装夫婦のドタバタ劇だけど、
共同生活における“あるある”を楽しめるドラマかもしれない。

TBSテレビ「火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』」

TBSテレビ 火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』の公式サイトです。

TBSテレビ