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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

女子高生が刺して撃って殴って蹴る、日本のアクション映画の歴史を変えた『ベイビーわるきゅーれ』

2021年10月28日 23時52分58秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:22/226
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
アクション
女子高生
殺し屋
ヤクザ

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
女子高生殺し屋2人組のちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は、
高校卒業を前に途方に暮れていた。
明日から“オモテの顔”としての“社会人”にならなければならない。

組織に委託された人殺し以外、
何もしてこなかった彼女たち。
突然社会に適合せざるを得なくなり、
公共料金の支払い、年金、税金、バイトなど、
社会の公的業務や人間関係など、
理不尽な日々に揉まれていく。

さらに、2人は組織からルームシェアを命じられ、
コミュ障のまひろは、
バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、
2人の仲も徐々に険悪に。
それでも殺し屋の仕事は続き、
しかもヤクザから恨みを買って面倒なことに巻き込まれちゃって、
さあ大変。

そんな日々を送る2人が、
「ああ、大人になるってこういうことなのかなあ」とか思ったり、思わなかったりする、
成長したり、成長しなかったりする物語。

【感想】
世間で話題になっててずっと気になってた映画、
ようやく観れたー!
これ、想像以上に面白い!!
7月30日公開だったけど、
異例のロングラ上映!

この映画は次の3つの点で、
ものすごく秀逸な作品だった。

①女子高生×殺し屋というWhat if
もしも、女子高生が殺し屋だったら……?
そんな妄想の世界を見事に現実に落とし込んだのがこの映画。

そもそも女子高生ってのは、
何をやってもギャップになる神がかった存在だ。
女子高生起業家でも、
女子高生探検家でも、
他の誰がやるよりも目を引く。
(なぜ女子高生だけこんなパワーがあるのかはいつか議論してみたいけどw)

それが、今回は殺し屋。
洋画やアニメならまだしも、
邦画の実写ではありそうでなかったのでは。
それも、世界観がファンタジーなどの非現実な設定ならともかく、
舞台はあくまでも現実の日本。
彼女らはバイトの面接も受けるし、
メイドカフェで萌え萌えキュンもやる。

そんな中で、ちさととまひろの女子高生らしい言動によるリアルな日常と、
人を刺して撃って殴って蹴るという非日常のバランスがものすごく心地いい。

ただ、割とすぐに女子高生は卒業しちゃうので、
どうせなら学園生活を挟みながらの殺し屋稼業も観てみたかった(笑)

あと、まひろがちくわをくわえてるシーン、
元ネタがわかる人は笑えるかも。
演じた髙石あかりは『鬼滅の刃』の舞台で禰󠄀豆子役だったそうなので(笑)

②ヤクザ×メイドカフェというWhat if
もしも、ヤクザがメイドカフェに行ったら……?
そんな妄想の再現もメチャクチャ面白い。

ヤクザの浜岡一平(本宮泰風)と浜岡かずき(うえきやサトシ)は、
新たなシノギを探してメイドカフェを訪問。
極道の世界に生きる彼らが、
頭の中お花畑のメイドカフェにいるっていうだけで笑えるのに、
そこで言葉にするのも恥ずかしいメニューを頼み、
メイドといっしょに萌え萌えキュンまでしちゃうところが最高におかしくて。

で、何がそこまでツボるかってさ、
これを「芸能界喧嘩最強の男」とされる本宮泰風がやっちゃうギャップだよね。
いつも悪い役が多い彼が、
そこまでするんだっていうところに笑った(笑)

③日本のアクション映画を変えるアクション
そして、何と言ってもこの映画の最大のウリはバトルシーン!
特に、冒頭のコンビニでの戦いと、
最後のカチコミは本当に圧巻。
個人的には『ファブル 殺さない殺し屋』以上のすごさだと思ったし、
『るろうに剣心 最終章 The Final』に匹敵するぐらいの興奮っぷり!!

目にも止まらぬ速さでの技の連続に、
「邦画のアクションもここまでやれるんだ!」と驚いた。
監督のインタビューによると、最後の格闘シーンは、
「映画の殺陣にはない"実戦の間合い"」らしくて。

でもね、これはやっぱりまひろ役を演じた
伊澤彩織本人がスタントパフォーマーだってのも大きいと思う。
普段アクションをやっていない女優さんが撮影のためにちょっと特訓して、
他はスタントダブルに任せるっていうのとは違うよね。

中国や香港のカンフー映画だって、
ジャッキー・チェンやドニー・イェンは
役者であると同時に武術家でもあるから、
本格的なアクション映画になると思ってる。

本作の監督は、
まだ25歳という若さ。
こういう洋画みたいに振り切ったアクション映画、
日本でももっと増えたらいいなあ。

https://babywalkure.com/

あまりにも理不尽な展開と衝撃の結末に令和最大の悲しみを感じた『ダンサー・イン・ザ・ダーク』

2021年10月28日 00時42分45秒 | 映画


【個人的な評価】
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ミュージカル
冤罪

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
1960年代のアメリカ。
チェコからの移民であるセルマ(ビョーク)は、
女手ひとつで息子のジーン(ヴラディカ・コスティック)を育てながら工場で働いている。
彼女はまわりに理解と愛情を持つ人々に囲まれ、
満ち足りた生活を送っていた。

しかし、彼女は遺伝性の病気のため、
視力が失われつつあり、
やがて失明してしまう恐れがあった。
ジーンも手術を受けない限りは同じ運命をたどることに。
そのために、セルマは内職もしてジーンの手術費用を蓄えていた。

だがある日、セルマは工場を解雇された上に、
貯めていたお金まで盗まれてしまう。
犯人に心当たりのあった彼女は、
警官であるビル(デヴィッド・モース)を訪ねるのだが……。

【感想】
2000年のデンマーク映画。
僕はここでは基本的に映画館で観た映画の感想しか書かない。
そう、つまりあの名作が21年ぶりに映画館で上映されているのだ。
4Kで!
といっても、本公開は12月10日(金)から。
今日は一夜限りの先行上映日。
2022年6月に国内上映権利が終了するため、
日本での劇場公開は今回でラスト。
観たい人は12月まで待つべし!

実は初めて観るんだ、この映画。
もうね、セルマの絶望のどん底っぷりが心苦しいし、
息子を想う母親の愛情が深すぎるし、
最後の結末があまりにも悲惨すぎて、
ただただ悲しかったよ。。。
特に、ラストがとてつもなくショッキングだった。。。

これは当時大ヒットしたのもわかる。
わかるのだけど、、、
期待値が高すぎたせいか、
正直僕は思ったほどハマらず。。。(笑)
なぜ名作と言われたこの映画がハマらなかったのか、
よくよく考えてみると、
ちゃんと明確な理由が3つありました。

ひとつはミュージカルの無理矢理感。
セルマはミュージカルが大好きで、
そのことを考えているときだけは幸せを感じられる人。
だから、彼女の妄想シーンはすべてミュージカル仕様になる。
それがとても無理矢理ねじ込んでいるように見えて、
不自然さを感じてしまったんだよな。
さらに、歌のメロディーが覚えづらいのよ。。。
他のミュージカル映画で歌われる歌って、
覚えやすくて耳に残るんだけど、
これは思い返そうにも頭に浮かんでこなくて。。。
ただ、ビョークの歌唱力はさすが。
あの大きく通る歌声には圧倒されたのは事実です。

もうひとつは、ちょっと疲れるカメラワーク。
手持ち撮影が主体となっているから、
手ブレが多くて観るのに体力が持っていかれる気がして。。。
いや、この手法こそがこの映画の醍醐味なのかもしれないけど、
最初ドキュメンタリーなのかなって思って、
映画って感じがしなかった(笑)

最後に、裁判でのセルマの戦う姿勢のなさにやや違和感があったかなーって。
セルマは無実の罪で法廷に立つんだけど、
一切事実を語らない。
事実を語ることで、
息子のジーンにもストレスが溜まり、
目の病気が悪化してしまうことを危惧していたからだとは思うけど。
とはいえね、事実は話すべきなんじゃないのかなって思った。
セルマは息子に必要なのは
「母」ではなく「目」と強く主張していたけど、
そこは共感できなかったかなー。

あと、僕が個人的にびっくりしたのは、
あのクソ野郎ビルを演じたデヴィッド・モース。
この映画、日本では2000年12月23日に公開しているんだけど、
同じ2000年の3月25日には『グリーンマイル』が公開されてて(ちなみにアメリカでは1999年12月10日公開)。
彼はそこでブルータル役を演じているんだけど、
それはとてもいい看守さんだったんだよね。
あんなにいい人が、
こんなクソ警官を演じているっていうギャップに驚き。

総じて、絶賛される理由はわかるけど、
個人的にはそこまで……っていう感じかな。
とにかく悲しい映画を観たい人にはいいかもしれないけど、
けっこう好みは分かれるかも。

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